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  1. 東京都議会 1996-03-25
    1996-03-25 平成8年_予算特別委員会(第5号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時六分開議 ◯花川委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。  これより付託議案の審査を行います。  第一号議案から第三十一号議案までを一括して議題といたします。  この際、部局別質疑について申し上げます。  去る三月十五日に議長を通じ常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元に配布のとおり報告がありました。ご了承願います。  これより締めくくり総括質疑を行います。  お手元配布の順序表により、順次発言を許します。  立石晴康理事の発言を許します。 ◯立石委員 質問に入る前に、マスコミでも報道されている公金の不正使用について申し上げます。  現在、一部地方公共団体において、公金の不正な使用が問題となっておりますが、都においても同様な事態が生じたことは、極めて残念なことであります。特に、会計処理の適正な執行を監査するために、法律上、知事とは独立した行政機関として設置された監査委員の事務部局において生じたことは、まことに残念でなりません。不適正な事務事業の処理は、直ちに改める必要があることは申し上げるまでもありません。  知事は、不祥事は不祥事として、事と理由のいかんを問わず、過ちは直ちに改めるとともに、これを契機に事務事業の処理のあり方について抜本的な見直しをされ、即刻正しい対応処置を講じて信頼の回復に努め、都民の期待にこたえることを強く要望しておきます。  初めに、都財政の再建についてお伺いいたします。  都財政は、現在、都税収入が激減し、都債や基金など財政の対応能力が限界に達するなど、極めて厳しい状況に置かれております。また、さきの予算特別委員会の冒頭において、我が党の質問により明らかになったように、平成九年度には約五千億円の財源不足が生じるという深刻な状況となっており、この巨額な財源不足を穴埋めできる有効策をいかに提示していくかが最大の課題であります。このような財源不足は、単年度で済むようなものではありません。社会経済状況が変化する中で試算するのは困難な面もあると思いますが、平成十年度、十一年度には財源不足はどの程度見込まれるでしょうか、まず質問いたします。 ◯西念財務局長 今後の財政収支につきましては、算定に当たっての前提となる諸条件が不確定なことなどから、現時点で予測を行うことは困難な面がございます。  仮に平成八年度予算を基礎として、都税収入については三・五%の伸び、そして来年度に予定されております地方消費税創設による影響予想額を盛り込むとともに、投資的経費につきましては、新海面処分場などの大規模施設関連事業以外の伸びをゼロとするなど、平成九年度約五千億円の財源不足が見込まれると同様の条件のもとに試算をしますと、平成十年度、十一年度ともに四千億円程度の財源不足が予測されるところでございます。 ◯立石委員 お話にありましたように、平成八年度の二千六百五十九億円を上回る財源不足は、九年度だけではなく、それ以降も大変厳しい状況が続くわけであります。今後、知事は、財政健全化計画を策定されることを明らかにしております。  都財政を振り返りますと、昭和五十年代初めに、オイルショック後のインフレの中で、巨額な赤字に苦しみ、まさに起債制限団体転落寸前の状況にありました。これを立て直すべく昭和五十四年には、鈴木前知事が就任早々の六月に、当時の都財政の現状を都民の前に明らかにするため、都財政白書を作成されました。その中で、財政が悪化した原因について、当時の都財政運営が適切さを欠いていたことを明らかにしております。  白書を読みますと、今日までの都財政を振り返ってみますと、高度成長から低成長への転換期における対応が必ずしも適切でなかったこと、それと並んで財政運営が必ずしも適切でなかったことを率直に認めなければなりませんと、まさに赤裸々な告白文となっております。これに対して、都は昨年七月、十六年ぶりに財政白書を発表しましたが、この中では今日の財政状況を招いた原因をどのようにとらえていますか。 ◯西念財務局長 昨年の七月に発表しました都財政白書の中で、都財政が今日のような深刻な事態に陥った最大の原因は、長引く景気の低迷により、歳入の根幹をなします都税収入が三年連続して前年度を下回るなど、大幅に減少したことにあると申しております。また、こうした都税収入が近年大幅に減少したにもかかわらず、歳出規模は、立ちおくれた社会資本整備のため普通建設事業費を積極的に伸ばすなど、拡大傾向にあったことにも一つの原因があるとしております。
    ◯立石委員 当時と現在では、インフレとバブル崩壊後の低成長というように、都財政の置かれた経済環境も大きく異なっております。  そこで、前回と今回の都財政の状況は、財政構造から見ますと、どのような点に相違がありますか。 ◯西念財務局長 昭和五十年代前半と現在とでは、ご指摘のとおり社会経済環境が大きく異なるため、二つの都財政の状況を単純に比較することには困難な面があります。しかし、概括的に申し上げれば、財政構造の面から次のような相違があると考えます。  まず、五十年代前半の都財政は、人件費比率など歳出に占めます義務的経費の割合が五〇%前後で推移するなど、極めて高くなっており、財政硬直化のまさに危機的状況にございました。  一方、現在は、投資的経費の割合が比較的高くなっており、逆に義務的経費はこれまでの内部努力の結果、低い状況にあります。しかし、最近の都債の大量発行により、今後、公債費負担の急激な増加が見込まれております。  現在、都財政は、都税収入が大幅に減少する中で、都債や基金など財政の対応能力も限界に近づいております。構造的な面での違いはあるものの、まさに憂慮すべき状態に置かれていると、このように認識をしております。 ◯立石委員 お話のように、当時は人件費比率が高く、硬直的でしたが、現在は投資的経費の割合が高く、財政構造も全く異なっており、また、財政悪化に至った原因にも差異があります。破綻寸前の危機的状況という点では同様であります。  このような瀕死の重体に陥った都財政に本格的なメスを入れ、速やかに健康体に回復させるために、鈴木前知事は昭和五十四年七月に都財政再建委員会を設置し、まず、翌年度予算の編成における即効策の検討に着手され、昭和五十四年十一月に中間答申が発表されましたが、その中ではどのような事項が提言されておりますか。 ◯西念財務局長 東京都財政再建委員会は、都財政の再建に向けた総合的、具体的な方策を検討するため、昭和五十四年の七月に設置されております。同年十一月に、昭和五十五年度予算を中心に、緊急に措置すべき方策について中間答申を出してございます。  そこでは、一つ、定数削減、給与費の見直し、徴税努力、財産の活用等内部努力の推進、一つ、事務事業の見直しと受益者負担の適正化、一つ、区市町村との事務分担の見直しと財政負担の適正化、一つ、税財政制度の改善、以上四つの基本的事項に沿って具体的な方策が提言されております。 ◯立石委員 具体的にそれぞれ、その内容をお示しいただきたいと思います。 ◯西念財務局長 昭和五十五年度予算の編成に当たっては、都財政再建委員会からの中間答申に基づきまして、可能な限りその実現を図っております。  具体的には、まず、内部努力の推進として、三千人に及ぶ職員定数の削減や給与費の見直しを行う一方、歳入面では都税の捕捉、徴収率の向上に努めております。また、事務事業の見直しとして、公営企業への任意的補助金を打ち切るとともに、受益者負担の適正化を図るため、使用料、手数料の改定などを行いました。さらには、区市町村との事務分担の見直しと財政負担の適正化を進めるため、国民健康保険事業の所要経費などを都区財政調整に算入するとともに、財政補完的補助金の整理などを図ったほか、義務教育教職員給与費への国庫負担金の財源調整措置の緩和など、税財政制度の改善にも努めております。  こうした取り組みによりまして、昭和五十五年度当初予算においては、総額で約一千四百億円に上る財源捻出を図っております。 ◯立石委員 このように、定数削減、給与費の見直しなど内部努力や、公営企業への財政支出の見直し等事務事業の見直し、受益者負担の適正化、区市町村への財政負担の軽減など、かなり具体的かつ多岐にわたり、また制度的にも相当踏み込んだ内容となっております。  私は、このような財政再建における取り組み手法は、今も通用する財政再建の王道であると確信しております。現在の都財政は、当時に匹敵する、あるいはそれを上回るほど厳しい状況にあると思いますが、九年度約五千億円、三カ年で約一兆三千億円に及ぶ財源不足を穴埋めするためには、かなり思い切った見直し策を提示することが必要であります。  具体的にどのように削減するかについては、平成八年度の例を見るまでもなく、個々の施策ごとの見直しでは、どうしても弱いところから切ることになりがちであります。私としては、一律、例外なく、すべてを削減の対象にすべきではないかと思います。すなわち、マイナスシーリングの活用であります。経常的経費に対するマイナスシーリングについて、国と都とを比較してみますと、国は歳出全体の約六%が対象であるのに対して、都は約二%と非常に低くなっております。平成八年度においては、用地費にもマイナス一五%シーリングを設定しておりますが、今後は、従来の経費節減型から国のように歳出抑制型へと転換を図ることが必要であります。このため、都民生活への影響にも十分に配慮しながら、マイナスシーリングの適用の拡大を図り、思い切った削減をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。 ◯西念財務局長 平成八年度の予算編成におきましては、従来の一般事務経費に加え、新たに投資的経費のうち、単独事業の用地費を対象として一五%のマイナスシーリングを実施したところでございます。しかし、都財政を今日の困難な状況から脱却させるためには、何よりもまず歳出を厳しく抑制することが不可欠でございます。今後、ご指摘いただきましたように、都民生活への影響にも十分に配慮しながらも、さらにシーリングの対象経費の拡大に努めなければならない、このように考えます。 ◯立石委員 こうした方策とあわせて、さまざまな工夫により歳出を削減することが必要であります。今回の定例会を通じたこれまでの議論の中で、最近の都債の大量発行により、このままでは平成十四年度以降には毎年度八千億円を超える公債費の支払いを余儀なくされ、都財政が破綻することは明らかであります。  このような事態への対応策としては、二つあると思います。その一つは、歳出削減を通じて都債発行を抑制し、公債費負担を軽減することであり、他の一つは、これまで余り議論されていませんが、公債費負担そのものを削減するよう努力することであります。  まず、現在の市中公募債の手数料にはどのようなものがあり、また、それぞれ幾らでしょうか。それを引き下げる努力はしていますか。仮にしているのなら、引き下げによる財政効果もあわせてご答弁を願います。 ◯西念財務局長 現在の公募債の手数料は、発行額百円につき、受託手数料が三銭、引受手数料が九十七銭、当初登録手数料が五銭、元金償還手数料が十銭、利子支払い手数料が二十銭となっております。  これらのうち、元金償還手数料については、平成七年九月債から、十四銭から十銭に、利子支払い手数料については、二十八銭から二十銭にそれぞれ引き下げを実施してございます。また、受託手数料については、平成八年三月債から、五銭から三銭に引き下げたところでございます。この引き下げ措置の財政効果は、仮に公募債発行額を平成七年度並みの六千億円としますと、償還までの十年間で五億一千八百万円、このように試算されます。 ◯立石委員 ご答弁にありましたように、一定の努力はしているようですが、手数料のうち一番高い引受手数料については、最近引き下げられていないようです。それでは、国債及び政府保証債の引受手数料はどうなっていますか。 ◯西念財務局長 国債の引受手数料は、発行額百円につき六十三銭、政府保証債は八十五銭でございます。 ◯立石委員 もし、都債の引受手数料を国債並みに引き下げたとしたら、毎年度どの程度の財政負担の軽減となりますか。 ◯西念財務局長 公募債の引受手数料を国債と同率とし、また発行額を六千億円と仮定しますと、年間二十億四千万円の軽減が期待できます。 ◯立石委員 大変財政効果があるということがわかります。  なぜ都は、国等と比較して、それほど高い引受手数料を支払わなければならないのか、都債は、そんなに高い引受手数料を支払わなければ引き受けてもらえないものなのか、お尋ねいたします。 ◯西念財務局長 引受手数料は、発行体が債権の引き受けを行う金融機関に対して、引受業務の対価として支払うものでございまして、地方債においては、各発行体ごとに金融機関等と協議して料率を決定してございます。  しかし、実際には、公募都債の引受手数料率が他団体の公募債手数料にも適用されており、その結果、公募地方債の引受手数料はすべて同率となってございます。  引受手数料の料率は、発行額あるいは市場流通性などにより決まってくるものでございまして、国債との間に一定の格差が生じるのはやむを得ないもの、このように考えます。  しかしながら、現行手数料において、これほど大幅な格差がある背景には、ただいま申し上げました公募地方債における手数料率決定の仕方も影響しているもの、このように考えております。 ◯立石委員 要するに、他団体が都債よりも厳しい条件でないと発行できないという現実があるにもかかわらず、全団体が同じ料率の発行条件としているので、それを補うために、都にとっては不必要に高い手数料を支払っているのではないかと思います。全団体が同一の条件のもとで発行するシステムとなっていることに、私は大変疑問を感じております。  都債には、もう一つ縁故債がありますが、縁故債の手数料は幾らですか。また、これは全国一律で決まっていますか。 ◯西念財務局長 都の縁故債の手数料は、発行額百円につき、引受手数料が九十銭となっており、他の手数料については公募債と同率でございます。  縁故地方債の手数料率は、各発行体がそれぞれ金融機関と協議して決定することとなっており、各団体ごとに異なった料率を採用してございます。  なお、当該団体の縁故債の手数料率決定に当たって、都債の手数料率を参考としている例がある、このように聞いております。 ◯立石委員 縁故債については、他団体との横並びというルールもないので、縁故債の手数料を引き下げることはできないのでしょうか。関係金融機関に働きかけて引き下げをすべきと考えますが、どうでしょうか。 ◯西念財務局長 都は、従来から、国債、政府保証債や民間事業債の動向等を勘案しながら、都債の発行手数料を引き上げる努力をしてまいりました。  一方、都債は、全国の地方自治体が発行する地方債のいわばプライスリーダーとしての役割をも果たしており、都債の手数料率の動向は、地方債市場全体に大きな影響を及ぼすものでございます。  今後とも、これらの点を踏まえつつ、より一層、手数料率の引き下げに努力しなければいけない、このように考えております。 ◯立石委員 都債の発行条件や手数料において、都ががんじがらめになっている状況が手にとるようにわかります。地方分権、地方分権と、今やちまたでは大いにもてはやされておりますが、こうした実態は、まさに地方分権に逆行しております。本当に地方分権を実現するのであれば、各団体が努力と能力と工夫とによって、より安い資金を調達することができるようにすべきと思います。  私がこれまで述べてきたように、現在の厳しい財政状況の中で、本当の財政健全化を図るためには、歳出の削減とあわせて、可能な限り公債費負担を軽減することが必要であり、そのためには、引受手数料について、せめて政府保証債並みに引き下げるよう、金融機関に強く働きかける努力をすべきであると考えますが、財務局長の決意を伺います。 ◯西念財務局長 前問で間違ってご答弁申し上げました。  都債の発行手数料を引き下げる努力でございまして、引き上げるというふうに申し上げたようでございます。訂正させていただきます。  財政状況が厳しい折、財政健全化を図るためには、歳出全体の削減などの努力とあわせて公債費負担の軽減を図ることが必要でございまして、発行手数料の引き下げは、そのための重要な課題の一つである、このように認識をしてございます。  多面的にご指摘をいただきましたが、ご指摘を踏まえまして、関係金融機関などと協議もしながら、政府保証債との格差是正を図ることなどにより、低コストの資金調達に努力してまいります。 ◯立石委員 上げると下げるでは、えらい違いなので、大事なことなので、間違えないようにお願いします。  都は、四月早々から、行政改革大綱を踏まえながら、財政健全化計画の策定に着手するといいますが、私がこれまでるる申し上げてきたような、前回の財政再建における取り組みや私の提案も十分に踏まえ、今後、歳出の削減と歳入の確保という両面にわたりあらゆる工夫をしながら、都政のリストラに全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。  次に、都にとって極めて不都合に運用されている地方交付税の中の特別交付税についてお伺いいたします。  まず、この特別交付税の仕組みや内容をお聞かせください。 ◯西念財務局長 特別交付税は、普通交付税を補完するものとして、地方団体の長または議会の議員の特別選挙があったことなど、全国画一的に算定される普通交付税では捕捉されなかった特別の財政需要がある場合、あるいは風水害、大火災など、普通交付税の算定期日後に生じた災害等による特別の財政需要がある場合などに交付されるものでございまして、その額は、地方交付税総額のうちの六%となってございます。 ◯立石委員 昨年一月の阪神・淡路大震災においては、都を含め全国の地方公共団体が、災害救助法等に基づき応援活動を行いました。  応援団体が負担した経費は、原則として特別交付税で措置されたと聞いておりますが、どのような状況になっているのか、また、都がこれまで特別交付税の交付を受けたかどうかもあわせてお聞かせください。 ◯西念財務局長 阪神・淡路大震災において、被災団体の要請等に基づきまして全国の地方公共団体が行った応援等に要した経費については、特別交付税により財源措置がなされてございます。  しかし、都は、今回の応援経費について、都分、特別区分を合わせて、平成六年度で計算しますと、九億八千万円の対象額があったにもかかわらず、交付を受けてございません。  また、都は、昭和二十九年度の地方交付税制度創設以来、一度も特別交付税を交付されたことがございません。 ◯立石委員 特別交付税の趣旨からいえば、まさに都も当然交付を受けるべきと考えますが、なぜ交付されないのでしょうか。 ◯西念財務局長 特別交付税は、府県分、市町村分とも、算定対象となる財政需要額が、普通交付税の算定結果における財源超過額を上回る場合に初めて交付されることになってございます。ただし、災害等に係る財政需要額については、市町村の場合には、財源超過額に関係なく交付されることになってございます。  しかしながら、都の場合は、市町村分に相当する大都市分の災害等に係る財政需要額についても、財源超過額を上回らない場合には交付されない仕組みになっているため、事実上、特別交付税は交付されない、こういう状況に置かれております。 ◯立石委員 ご丁寧に説明をいただきましたが、よくわからないのでありまして、要するに特別交付税は出ないということでありまして、局長、悪いんですが、今のところをもう少しわかりやすく解説していただきたいと思います。 ◯西念財務局長 特別交付税は、普通交付税の算定上、超過額が生じた場合には、その超過額を上回る額としての特別交付税需要額が認められる場合に初めて交付される、こういう仕組みになってございます。  普通交付税算定上、超過額が出た場合に、その超過額を上回る特別財政需要額の需要額が出た場合に初めて交付される仕組みになっているわけでございます。  東京都は、今、五千億を超える財源超過額がございますので、五千億を超える特別交付税としての需要額が見込まれない、このような仕組みになってございます。  ただし、市町村に係る場合については、全国的に財源超過額に関係なく特別交付税は交付される仕組みになっているわけでございます。府県分については、財源超過額を超えない場合にはだめですけれども、市町村分については、財源超過額に関係なく交付されるわけでございます。  したがいまして、東京都にありましても、市町村分に相当する大都市分、いわゆる二十三区内で東京都が行っている市町村行政分並びに二十三区内で特別区が行っている特別区行政分の特別交付税に関する需要額が生じた場合には、これがもらえるというようなことになるのですが、都の場合には合算規定があるために、事実上、大都市分に相当する場合にも交付されない。こういう制度上の仕組み、都と二十三区分を合算するという規定から来ているわけでございます。    〔発言する者あり〕 ◯立石委員 委員からもご指摘があるように、大変わかりにくい話だと思います。丁寧に説明をいただければいただけるほど、わかりにくくなりますので、これは都民の皆さんが聞いておられますので、もう一度、小学生か中学生にもわかるように……。 ◯西念財務局長 毎月入ってくる給料と毎月出す家計支出とを比べまして、収入の方が多いという場合には、それが超過額になるわけでございます。毎月の給料が十万円で、家計が七万円で済むならば、三万円の貯金相当額が生じるわけでございます。  一方、当該月は、事故があったために、七万円の普通の月では想定しないものを歳出しなければならなくなった、この場合には、毎月入ってくる金で余った金をオーバーして、初めて交付される、こういう仕組みになってくるわけでございます。  東京都は、普通交付税の算定において、五千億も財源ロス額、超過額がある、こういう状況でございますので、たまたま阪神・淡路大震災に応援をして数億円の金がかかっても、あなたの方は五千億円の財源超過額があるから出しません、こういうことになっているわけでございます。  しかしながら、制度上は、府県分はそのような算定をしますが、事市町村分については、財源超過額に関係なく、災害等にかかった金はお出ししましょうという規定になっているわけでございますが、たまたま東京都は、二十三区分と都分とを合算するという規定がございますので、この分についてももらうことができない、こういうことになってございます。わからないですか。(笑声) ◯立石委員 中学生にも小学生にもわかりやすく話をしていただきました。  大事な点なので──こうした点を見ますと、現在の地方交付税制度は、初めから都を対象外としているのではないかと思えるほどであります。  特別交付税の対象となる大規模災害の復旧費は膨大であることから、一地方団体のみで負担することは極めて困難であり、こうした場合、特別交付税は大いに威力を発揮します。阪神・淡路大震災では、国庫支出金や地方交付税など、かなりの額に上る財政措置がされたと思いますが、平成六年度と七年度の特別交付税として幾らぐらいの交付がなされましたか。 ◯西念財務局長 どうもまずい説明で申しわけございません。  阪神・淡路大震災の災害対策経費に係る特別交付税としましては、被災地域における特別の財政需要に対する交付金と、先ほど申し上げました被災地域への応援等のための交付金、合わせまして平成六年度で五百九十一億円、平成七年度で五百十三億円、このようになってございます。 ◯立石委員 かなりの巨額に上りますが、仮に都において阪神・淡路大震災のような震災が起こっても、特別交付税をもらえないことになりますが、やはりこのような場合でも、都が特別交付税の交付を受けられないというのは、地方交付税制度自体の欠陥ではないかと考えます。一日も早く制度を改善し、せめて特別交付税だけでも交付を受けられるようにすべきであると考えます。  都は、国に向かって、この点を強く主張していくべきであると思いますが、今後、国にどのように働きかけていくか、伺います。 ◯西念財務局長 東京都は、これまで国に対し、普通交付税の算定に当たって、都の行財政実態にふさわしい方法に改善するよう要望を重ねてきたところでございます。  一方、ご指摘いただいてございます特別交付税については、東京に大規模な災害が発生した場合、阪神・淡路大震災の事例からも明らかなように、膨大な財政需要が発生することが想定されているにもかかわらず、現行の制度上は、その交付がほとんど期待できない状況にございます。このため、昨年十一月、冬の、国に対する要望において、災害等に伴う財政需要額が適切に交付されるよう、特別交付税の算定方法の改善について新たに、初めてでございますが、要望を行ったところでございます。今後、特別交付税を含めた地方交付税制度の改善については、都議会の先生方のご協力も得ながら、国に対してより一層強力に働きかけていかなければいけない、このように心しております。 ◯立石委員 次に、固定資産税について伺います。  今定例会と予算特別委員会においては、既に幾度となく固定資産税の問題が取り上げられてきました。それだけに、最近の大幅な地価下落と経済不況との板挟みになっている人々の関心の強さを示しているということであります。そこで、私は、特にバブル崩壊の影響を最も深刻に受けている都心部の特殊性に焦点を当てながら質問いたします。  つい先ごろ、平成八年一月一日の地価公示価格が公表されました。中央区を初めとする都心区では、地価の大幅な下落が続いております。平成五年一月一日以降、三年間の地価公示価格の下落率を、二十三区と都心五区を比較しながら、住宅地、商業地別にお示しください。 ◯辰川主税局長 固定資産税に関連してのお尋ねでございますので、地価動向についても私の方からお答えをさせていただきます。  お話の下落率は、二十三区全域では、住宅地二五・七%、商業地五一・四%、千代田、中央、港、新宿、渋谷の都心五区では、住宅地五五・四%、商業地六三・二%となっております。 ◯立石委員 下落率はわかりました。それでは、固定資産税はどうでしょうか。平成六年度の評価替え以後、平成八年度までの三年間の固定資産税負担は、平成七年度の臨時特例の措置と平成八年度の緊急臨時の措置により、税負担の上昇は相当に抑えられていますが、私自身の試算によると、中央区では二六%程度の増税となっている例もあります。この三年間で税負担がどの程度伸びるのか、二十三区の平均的住宅用地と比較して、同程度の規模のものを都心区で所有している場合、住宅用地と事業用地の別に、具体的にお示し願います。 ◯辰川主税局長 固定資産税と都市計画税を合わせた負担の状況を、具体的なモデルを用いて申し上げますと、区部の平均的住宅用地の場合、土地、家屋を合わせた税負担は、平成五年度の十六万五千三百円が平成八年度には十七万三千四百円と、三年間で約八千円、四・九%の増となる見込みでございます。これを都心区に置きかえますと、平成五年度の六十一万九千円が平成八年度には七十一万四百円と、三年間で約九万円、一四・八%の増となる見込みでございます。  また、都心区の事業用地についてでありますが、土地面積約百十六平方メートル、床面積約百八十三平方メートルの店舗兼住宅の例で申し上げますと、平成五年度の九十二万九千百円が平成八年度には百十一万九千三百円と、三年間で約十九万円、二〇・五%の増となる見込みでございます。 ◯立石委員 これまでの答弁でも明らかなように、地価が大変に下がり、家賃収入なども減っている中で、固定資産税だけが高くなっていくのが問題なのであります。こうした矛盾は、次の平成九年度の評価替えで解決していただきたいのであります。  そこで、平成九年度の評価替えに関してお伺いいたします。  このような地価の情勢の中で、平成九年度の評価替えを平成八年一月一日の地価公示価格をもとに行えば、平成六年度の評価替えのときのように、再び逆転現象が発生するのは避けられないと考えます。そのときになって、慌てて対策を講じることのないよう、その対策についてお考えをお示しください。 ◯辰川主税局長 今後の地価動向については種々の見方がございまして、予断を許しませんが、ご指摘の事態を避けるためには、評価替えの基準日を極力賦課期日に近づけるとともに、毎年評価替えを実施する方向で検討する以外にないと思います。しかし、当面の対応としては、種々困難な問題がございまして、すぐには実施不可能なため、今後、地価動向によって何らかの対応を迫られる場合には、評価替えを行ったと同様の効果のある措置を導入するように国に適切に働きかけてまいりたいと存じます。 ◯立石委員 ご答弁いただきましたが、実施不可能なためといっていますが、世間でよくいわれるように、昨今のことは戦後なかったことが起こっているわけでありまして、まさに緊急避難の大事態が起こっているわけでございます。ですから、実施不可能というような冷たいことをいわないで、ぜひ実態に合った方向にいくようにお願いしたい。と同時に、予断を許しませんが、となっていますが、予断を許さないどころか、必ず下がることは間違いないわけであります。山のように売り物があるわけでございますから──大変失礼ですが、ぜひそこら辺は庶民の感情を理解してほしい、こういうことを要望して、指摘しておきます。  次に、先日の当予算特別委員会での我が党の代表質問に対する答弁の中で、地価が七、八割下落し、固定資産税評価額が実際に税額を算出する基礎となる課税標準額を下回らない限り、税負担が減少することはないとありました。つまり、現行の七割評価を前提とする限り、税負担が減少しないということであり、すべては七割評価自体を変えない限り、根本的な解決にはならないということであります。七割評価に対する見解をお示しください。 ◯辰川主税局長 いわゆる七割評価については、土地基本法の趣旨を踏まえまして、公的土地評価の均衡化、適正化を図る一環として導入されたものでございまして、平成九年度の評価替えにおいても、引き続きこれを推進することとされております。これにつきましては、制度的に当分の間とされておりますように、将来的には平成六年度及び九年度の実績を踏まえながら、評価方法や税負担のあり方等との関係も含めまして、総合的に検証されていくものと考えております。 ◯立石委員 私自身は、少なくとも都においては、平成九年度から七割評価を改めるべきであると考えますが、既に決定されている七割評価の方針を変えることができないのであれば、税負担を軽減できる何らかの措置が必要であると考えます。いかがですか。 ◯辰川主税局長 現行の固定資産税制におきましては、評価額の上昇がそのまま税負担にはね返らないように、種々の負担調整措置等を用いまして、税負担増を抑えているところでございます。平成九年度の税負担水準については、現時点では確たることは申し上げられませんが、適切な負担水準にするためには、引き続き課税標準額を適正化する何らかの措置が必要になる、このように考えております。 ◯立石委員 ここで、知事にお伺いいたします。
     都心部では、この三年間に地価は四分の一にまで下落したところもあらわれ、今なお下落に歯どめがかかっているとは申せません。しかも、この地価下落によって、不況に苦しんでいる都民も大勢いるわけであります。知事には、こうした庶民の悲鳴、苦しみをぜひ知っていただきたいと思うのであります。地価の大幅な下落があった場合には、実際に税負担が下がるよう、国に何らかの制度改正を求めるべきであると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 ◯青島知事 ただいまの委員のお話や、当委員会において、これまで種々ご議論いただきましたことを通じましても、私も平成九年度の評価替えにおいて、都民に納得していただける税負担水準をどの程度にするか、これが重要なテーマであるということを痛感しております。  今後、政府税制調査会におきまして、固定資産税が全国の市町村の基幹税目であることも踏まえつつ、種々議論が加えられることと思いますが、都としても、都議会のご意向を十分に承りながら、都の実情に即して検討を加え、税制改正に反映させるよう努力を重ねてまいりたいと思っております。 ◯立石委員 知事も、地価が下落する、固定資産税が下がらないのはおかしいという認識である、そう理解しておりますが、とにかく、下がるのに上がるということは理解できないわけでありまして、これはかなりの意地悪でありますから、下がるものは下がるというふうに、知事も大いに努力をしてほしい、こう要望しておきます。  ところで、次に、東京都の行政改革大綱が今月末にもまとまると聞いており、その内容については大いに期待しているところでありますが、その行革大綱の目指す基本的なねらいについて、まずお伺いいたします。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  行政改革の目指す基本的なねらいについてお尋ねがございまして、二十一世紀を目前にした社会経済状況の変化に対応するとともに、厳しい財政状況の克服や、パートナーでございます都民の信頼を回復していくためには、積極的に行政改革を推進していく必要があると考えております。こうした観点から、今回の行政改革に当たりましては、従来の改革が基本としてきました都政の簡素効率化を図ることはもとより、都政と都民との新しい関係の創造や時代変化への対応など、中長期的に都政のあり方を改革することを目指しているわけでございます。 ◯立石委員 いうまでもなく、行政改革は単なるお題目ではなく、目に見える形で成果を上げることが肝心であります。行革大綱に基づく具体的な行革実行計画の中で、どのような成果が期待できるのか。例えば、事務事業はどのように整理され、それによって職員数はどの程度削減されるのか、また、年間どの程度の経費が節減できるのか、こうした目標の数値を具体的に示すことが、都民の皆さんの理解を得るために必要であると考えます。所見を伺います。 ◯佐々木企画審議室長 行政改革を実現するには、都民を初め関係者の理解と協力を得ることが不可欠でございます。このため、行政改革大綱においては、改革についての基本的な考え方のみならず、具体的な改革事項とそのスケジュールを明示いたしまして、都民等に理解しやすくしていきたいというふうにしております。  お話の事務事業についても、時代変化の対応や区市町村への分権、民間活力の活用などの観点から、見直しの事業を示すほか、職員定数のあり方などについても、都としての方針を可能な限り具体的に示してまいります。 ◯立石委員 行革は、官民の役割分担を明確にして、過度の行政サービスを改めなければならないケースも出てまいります。都の今後の行政改革の中で、都民への行政サービスの低下が生じるおそれのある事例はどういったものがあるのか、また、関係する都民、団体への理解と協力をどのようにして求めていくか、考えをお聞かせください。 ◯青島知事 今後、長期的にも厳しい財政状況が続きそうだということがはかられる中で、施策を積極的かつ効果的に展開してまいりますためには、新たな着眼点から施策の重点化や、あるいはシフトなどを行いまして、既存の施策を見直していくことが必要であろうと考えます。こうした施策の見直しなどにつきまして、都民を初め関係各方面の理解と協力を得るには、都として具体的な情報を提供するとともに、都民等の意見をできる限り反映させてまいりたいと考えております。  同時に、都みずからも状況の厳しさをはっきりと認識し、執行体制の簡素化など内部努力を積み重ねていくことが不可欠であろうと考えております。 ◯立石委員 官民の役割分担に関連して、行政改革の大きなテーマとなっているのが民間委託の問題であります。各自治体とも、ごみの収集業務や公共施設の管理運営といった現業部門を中心に、積極的に民間への委託を進め、経費の節減や民間活力の発揮に成果を上げております。一般会計に特別会計、公営企業会計を加えて、十二兆一千億円以上の予算を使う都行政全体の中にも、本来民間で行う分野まで侵食し、民業を圧迫している事務事業がかなりあるのではないかと思われます。  例えば、総務庁行政監察局でも、用地補償業務のうち、土地及び建物等の登記簿の調査及び土地等の権利者の確認調査といった業務の効率化を勧告しております。こうした業務については、専門的な知識や技能を持つ司法書士あるいは行政書士、土地家屋調査士等を積極的に活用すべきと思います。今後、行政は、行政しかできない分野を受け持ち、その他の分野は、民間の専門家の積極的な活用により行政の簡素効率化を図っていくべきであります。民間のノウハウを積極的に活用するための事務事業の民間委託についてどのように考えているか、伺います。 ◯佐々木企画審議室長 これまで行政が直接行ってきた事業にあっても、民間の専門能力を活用し、あるいは事業執行の簡素効率化を図ることは、ご指摘のとおり大変重要でございます。こうした民間委託は、コストの削減に有効な手法であるばかりでなく、行政サービスの柔軟な供給を可能にしたり、あるいは競争原理の導入、また専門性の充実などにより、行政に活力を与えるというような効果もあると思います。  今後も、こうした観点から、民間委託が有効なものについては、いろいろな分野で積極的に活用してまいります。 ◯立石委員 どうぞ専門家の皆様とか、そういう職種を分けて、しっかりと活用して、行政マンは行政、政策の実行のために、本来の仕事に頑張ってほしいな、そういう感想を述べておきます。  行政改革の真のねらいは、都の仕事を減らして都庁職員の負担を軽くすることではもちろんありません。効率的な行財政運営によってむだ遣いをなくし、都民の福祉や生活環境をより向上させるための施策に重点的配分をするとともに、都民の負担を軽減することにあると思います。行政需要の増大を理由に、増税など都民負担の増大を図ることは許されません。既に、都民はどの自治体の住民よりも多大な負担を強いられております。都の職員が本気になって行革に取り組むためにも、金の出を厳しく抑制するだけではなく、金の入りも厳しくすることが必要と考えます。  そこで、お伺いいたしますが、法人都民税と法人事業税の超過課税の問題であります。  まず、法人都民税と事業税について、地方税法上の標準税率に比べてどのような税率になっているか、初めにお伺いいたします。 ◯辰川主税局長 法人二税の超過課税の税率でございますが、法人都民税につきましては、二十三区外では、標準税率が五%であるところを六%に、二十三区内では、都が法人市町村民税を合わせて法人都民税として課税していることから、標準税率が一七・三%であるところを二〇・七%にしております。  法人事業税につきましては、基本的な標準税率が一二%であるところを一二・六%にしているところでございます。 ◯立石委員 法人住民税と事業税について超過課税を行っている自治体は、それぞれ幾つあるのか。また、これら法人二税の超過課税をダブルで行っている自治体は幾つあるか、お伺いいたします。 ◯辰川主税局長 現在、法人道府県民税の超過課税を実施しているのは、静岡県を除く四十六都道府県でございます。  法人事業税の超過課税を実施しておりますのは、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県の七都府県でございます。  したがいまして、法人二税の超過課税を同時に実施しておりますのは六団体ということになります。 ◯立石委員 法人住民税と事業税のダブルで増税となっているのは、東京及び神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫の六都府県だけということであります。  ところで、この法人二税の超過課税はいつから実施され、また、実施期間はそれぞれどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◯辰川主税局長 法人二税の超過課税は、法人事業税につきましては昭和四十九年度から、法人都民税につきましては昭和五十年度から実施をいたしております。  また、その適用期限でございますが、法人事業税につきましては、現在は当分の間となっておりまして、法人都民税につきましては、昨年の第一回定例会におきまして、平成十二年九月末まで、五年間延長されたところでございます。 ◯立石委員 当分の間ということでありますが、平衡感覚のすぐれた直木賞作家青島都知事に、当分の間の意味をご説明いただきたいと思います。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  普通、当分の間といいますと、当座とか、あるいはしばらくの間というふうに考えられると思いますが、法制上では、最高裁の判例にもありますように、他の立法措置がとられるまでは効力が存続する、こういうふうになっておりまして、都の法人事業税の超過課税につきましては、その応益的性格を勘案いたしまして、大都市特有の財政需要を考慮した地方税財政制度が実現するまでの間、その財政需要をもたらしている法人企業に応分の負担を求めるため実施しているものであると。したがいまして、その適用期限を当分の間としておりますのは、このような事情が改善するまでの間というふうにお考えいただきたいと思います。 ◯立石委員 期待したところでありますが、知事というお立場もあれば、そういうことになるのかなと思いながら聞いておりましたが、当分の間というのは、普通、二、三年とかちょっとの間とかということでありますが、ご答弁を聞いておりますと、他の立法措置がとられるまでは効力が存続するとされておりますというご答弁でございました。これは、つまり他の立法措置ができるまではずっとやっていいと、こういうふうに読まされるわけでありますが、法律を読む立場の一般市民は、こういうふうには恐らく読んでおらないはずであります。  したがって、最高裁までいったということになるわけでありますが、当分の間は、しばらく当分の間を論争するとしまして、昭和四十九年以来二十年以上も当分の間が続いていることになります。少なくとも法人都民税と同様に一定の期限を定めて、都議会、つまり都民の判断を受けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、この間には、好景気で税収が大幅にアップした時期もあったはずであります。財政難に備えて基金に積み立てることも必要でありますが、財源にゆとりがある場合には、超過課税を中止して、むしろ標準税率より下げて減税し、都民負担の軽減を図るシステムを確立することが必要であると考えますが、見解を伺います。 ◯辰川主税局長 超過課税は、ご案内のとおり、財政上特別の必要がある場合に許されているものでございまして、そうした状況にあるかどうかの検討は、常に求められていると思います。  都も、これまで、法人都民税の超過課税の適用期限が到来する都度、あわせて法人事業税につきましても、適用期限のあるなしにかかわらずそうした検討を行うなど、適時適切に見直しを行ってまいりました。そして結論的には、都議会の皆様から、中止の時期にあらずとのご判断をいただいてきたものと受けとめております。  また、この超過課税を中止し、さらに標準税率を下回る税率を用いることにつきましては、法人二税の大幅な税収減が都財政に大きな影響を及ぼすことに加えまして、いわゆる起債制限を受け、都のみならず区の財政運営にも支障を来すことになりますので、ご理解を賜りたいと存じます。 ◯立石委員 長い平成不況の中で苦しい経営を強いられている中小企業に対しては、固定資産税を含めた思い切った減税の措置で経営を助けることが必要であります。これが景気への回復にもつながり、結果的には税収の増加となって、都財政にもプラスになるはずであります。世界一高い法人税に耐えかねて、企業の海外移転が続き、産業の空洞化が進んでいる現状に目を向けるべきであります。  地方税法では、地方税はすべて自治体が条例で定めると規定し、その上で国が目安として標準税率を決めているだけで、本来、税率を決める裁量権はすべて自治体にあります。超過課税による増税には裁量権を発揮し、減税には、国の標準税率や起債制限といった制約を盾に首を振る、これでは都民は納得できません。  都民の負担軽減についての知事の考えを、改めてお聞きいたします。 ◯青島知事 お答えいたします。  地方税の税率を自治体の責任で自由に決定できるようになるということは、一つの理想であろうかと思います。しかし、そうなった場合には、行政サービスとその負担のあり方について、これまでにも増して厳しい決断が求められることも多くなると思いますし、私といたしましては、今日の状況下で、お話のように直ちに都民負担の軽減を図ることができるとは思いませんが、都民のご意向を代弁されておいでになられる都議会の皆さん方と手を携えまして、重い責任を分かち合いながら対処してまいりたいと考えております。 ◯立石委員 官官接待だの空出張だのと、最近、大変騒がれております。そういう意味からも、謙虚に──知事も、都議会と一緒にということをおっしゃられておりますので、それはそれとして理解をしていきたいと思います。  次に、都区制度改革について伺います。  国主導の行政システムを打破して、真の地方の自立を目指そうという地方分権の具体的な手順についての審議が、政府の地方分権推進委員会で進められておりますが、私が腑に落ちないのは、この委員会における論議の陰になって、都区制度改革についての論議が、国からは全く聞こえてこないことであります。  特別区は、現在、東京都の内部団体的性格を有しており、一般の市町村に比べ自治権が大幅に制限されております。特別区を基礎的な地方公共団体として位置づけることは、特別区や区民にとって、戦後一貫した悲願となっております。最近の地方分権推進の流れの中で、従来から都と区で進めている都区制度改革に日が当たらないのは、東京という一地域の問題にすぎないと見られているからだと思われます。  しかし、日本の人口の一割が住み、福祉行政一つをとってみても、在宅福祉の充実などきめ細かい行政サービスが求められている現状から見て、都区制度改革は何よりも先に実現すべき課題ではないかと考えます。  知事として、都区制度改革をどのように考え、政府に実現をどう働きかけていくか、ご所見をお伺いいたします。 ◯青島知事 都区制度改革をどのように考え、政府に実現をどう働きかけていくかというお尋ねでございます。  都区制度改革は、ご指摘のとおり、都区間における最重要課題でありまして、都における内なる分権として、ぜひとも実現してまいりたいと考えております。  これまでも、私自身が直接、自治大臣に早期の法改正を要請するなど働きかけを行っておりますが、また、昨年の十一月には、国、東京都及び特別区の三者で都区制度改革連絡調整会議を設置いたしまして、都区制度改革の推進に必要な課題の整理など、実務的な取り組みを行っているところでございます。  今後とも、あらゆる機会をとらえまして国に強く働きかけていくとともに、都区間で清掃事業移管のための条件整備を着実に進めるなど、法改正が早期に行われますよう、環境づくりに努め、平成十二年の都区制度改革の実現を確実なものにしていきたいと決意している次第でございます。 ◯立石委員 都区制度改革は、いうまでもなく都における分権の大前提であります。知事としても、その実現を目指して、今まで我々が心血を注いできた経過を肝に銘じ、今後とも一層の努力をお願いし、次の質問に移ります。  友好都市提携問題に入ります。  世界の都市及び市民と友好交流を拡大し、相互理解を深め、相互協力を推進していく上で、姉妹・友好都市提携は極めて効果的であり、有意義なことであります。  都は、これまでも十の諸都市と都市提携を結び、行政レベルの交流や協力を初め、市民レベルでも、教育、文化、スポーツ、技術、青少年の交流などを推進し、友好のきずなを強め、相互の市民生活の向上に寄与してきたところでありますが、必ずしも十分とはいえない面があります。  特に、一九七二年に国連ユネスコ総会で採択された、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約は、我が国もおくればせながら一九九二年に批准しましたが、古い歴史と文化を有する都市と市民が手を結び、人類共通の文化遺産や自然遺産の保存に向け協力し合うことは、まことに意義あることであります。都は、既に北京、パリ、カイロなど、人類の歴史の上で世界の文明や文化をリードしてきた都市と友好都市提携を結んでおりますが、まだ重要な都市が残されております。  こうした観点から、友好都市提携をさらに拡大し、世界の文明と文化の保存と発展に寄与していくべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 ◯青島知事 お答えいたします。  世界の文化遺産及び自然遺産の保護と保存に関しまして、我が国においても急速に関心が高まりつつありますし、国内の遺産はもとより、外国の遺産の保存に向けたさまざまな活動も展開されているようでございます。  このような人類全体のための世界遺産を保存するためにも、世界の文明や文化の発展に寄与してきた都市が手を携え、国際的な協力を強めてまいりますことは、ご指摘のとおり、大変重要なことだと考えております。  友好都市提携を進める際には、こうした視点も十分に考慮に入れる必要があろうかというふうに考えております。 ◯立石委員 次に、開発途上国における都立病院職員の国際的な医療協力についてお伺いいたします。  財団法人読売光と愛の事業団では、昭和五十七年以来、毎年、ミクロネシアなど南洋諸島に眼科医療団を派遣する事業を行っており、ことしで十五回の実績を重ねております。この眼科医療団は、伊豆七島における三十四年の経験と実績をもとに編成されています。  南洋諸島は、かつて太平洋戦争時には激戦が繰り返されたところでありますが、現地には眼科医が決定的に不足しており、その治療は、事業団の派遣する医療チームに頼っているというのが実情であります。  この派遣される眼科医、薬剤師、看護婦らは、主として現職の病院職員から成る自主的なボランティアとして、毎年、多摩老人医療センター顧問の山本由記雄先生を団長として編成され、二千人近い患者を診療し、約百件の手術を施すなど、現地の住民の皆さんに心から喜ばれています。  私が先日、機会を得てミクロネシア連邦ポナペを訪ねた際には、オルター大統領夫妻から直接、青島都知事と都民の皆様にぜひお礼をいってくださいといわれ、大変誇らしく思いました。こうした民間団体の国際協力事業に都としてかかわっていくためには、いろいろな問題もあると思いますが、そうしたハードルを乗り越えて、関係者の善意と熱意によって実績を積み重ねてきたことを、高く評価いたします。  開発途上国においては、医療体制の整備のおくれから、乳幼児の死亡率が高く、平均寿命も短いのが実情であり、国際協力の実効が上がるものと考えます。  私は、医療技術の専門家集団の人材を多数抱える都立病院として、開発途上国支援のボランティア活動を希望する職員が参加しやすい環境整備を行っていくべきだと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  発展途上国におきまして、我が都立病院職員が医療ボランティア活動を主体的に行いまして、友好親善に努められたということは、私も大変誇らしく思っておりますし、また、立石理事から、大統領から私あてにお礼の言葉をいただいたというご表明がございまして、私も心から喜ばしく、ありがたいと思っております。  ただいまの具体的で示唆に富むご意見を踏まえまして、今後とも都立病院の職員が、ご指摘の開発途上国支援のために、有意義なボランティア活動に励めますよう、環境整備に努めてまいりたい、かように思っております。 ◯立石委員 次に、都心部のまちづくりについてお伺いいたします。  日本全体が混迷の中で精彩を失っている今こそ、東京が日本に、あるいは世界に向かって元気を発信していくべきであります。東京生まれの東京育ちである知事は、東京の魅力はどんなところにあるとお考えか、まずお伺いいたします。 ◯青島知事 まさに私は、東京に生まれまして、東京に育ちました。東京には、情緒あふれる下町もございますれば、高層ビルの林立する新宿のようなところもございますし、事務所がたくさん林立しております中央部分もございます。また、豊かな自然に恵まれました地域もございます。そこではさまざまな人や企業が住み、暮らし、活動し、東京の魅力を一言で申し上げれば、そういったさまざまな形態を持った懐の深さにあるのではなかろうか、かように思います。その多様性といいますか、懐の深さみたいなものが、東京の魅力になってはおります。すなわち、東京は、政治、経済、文化などさまざまな機能が集積して、活力あるまちを形成し、都民はもとより国内外からの多くの人々が交流し、活躍するまちとなっております。これが東京の魅力であると思っておりますし、この魅力をますます高めていくことが、我々にとっての責務だと考えております。 ◯立石委員 答弁からもわかるように、多様な機能が東京に集まり、それぞれが元気よく働き、全体として東京の活力を支えている、それが東京の魅力の源泉だということだと思うのであります。いわば、にぎわいが東京の魅力の大きな要素なのであります。  しかし、今、その東京の中心、都心部が空洞化して、寂しい限りであります。バブル経済期を通じて、都心部の定住人口は大幅に減少しました。また、都心では近年、人口の減少が著しく、これに伴い、都市の活力や魅力の減退が懸念されております。  ところで、都心居住については、外国の主要都市の状況が参考になると思います。都心居住人口を、東京とニューヨークのマンハッタンと比較してみますと、マンハッタンは都心三区の五・六倍の人口が居住しており、人口密度も一ヘクタール当たり二百四十人と、三・八倍になっています。さらに、平成二年までの十年間の人口の推移を見ますと、都心三区は七万三千人もの人口が減少しているのに対し、マンハッタンでは五万九千人の増加となっています。  このように、世界都市と比較しても、東京都心部の居住実態は極めて深刻な状況にあります。いずれも地域の住民の心を荒廃させ、活力を低下させています。こうした都心部の置かれた状況を背景として、都の考え方について幾つかお尋ねいたします。  まず初めに、都心部における人口空洞化がいわれて久しいですが、人口と未利用地の動向についてお伺いいたします。 ◯木宮都市計画局長 国勢調査によりますと、都心三区の人口は、昭和六十年から平成二年までの五年間では、約五万九千人と、大幅の減となっております。また、平成二年から平成七年までの五年間におきましては、約二万三千人の減と、減少幅がやや緩やかになってきております。  また、都心三区の未利用地でございますけれども、平成三年の土地利用現況調査によりますと、約百七十二・二ヘクタールで、昭和六十一年の前回調査に比べますと、約三十一・七ヘクタールの増加となってございます。 ◯立石委員 都は、国土庁、区とともに東京土地有効利用促進協議会をつくって、都心部の未利用地の有効利用促進のために取り組みを行っていると聞いていますが、取り組みの基本的考え方をお伺いいたします。 ◯木宮都市計画局長 都心部を初め区部の低未利用地の有効利用を促進するために、国、都及び二十三区は、東京土地有効利用促進協議会を設置し、関係機関から情報を集め、公共団体や民間事業者等に提供するとともに、土地利用の可能性、方向性の検討に取り組んでいるところでございます。  今後とも、この協議会を活用し、低未利用地の利用を促進するなど、定住人口の回復と良好なまちづくりの推進に努めていきたいと思っております。 ◯立石委員 時間がなくなってきたので、少し急ぎます。  都心部の低未利用地は、市街地整備や住宅建設に活用すべきと思いますが、具体的活用方策はどのようになっておりますか。 ◯木宮都市計画局長 お話のように、点在的に残されました低未利用地につきましては、区画道路の再編や大きな街区の形成により、これを集約し、都心居住のための宅地の供給を一層推進するため、平成七年度に、国におきまして街区高度利用土地区画整理事業の地区要件の緩和などの制度拡充を行ったところでございます。  都におきましても、この事業を推進するため、「とうきょうプラン’95」におきまして新たに補助事業として計画化を行いまして、当面、二地区について事業を進めることとしております。 ◯立石委員 都心部への人口呼び戻しは、都心三区にとって悲願であります。私の描く都心三区の人口フレームは、千代田十万、中央十五万、港二十五万、合わせて五十万人で、夜間でもにぎわいのある魅力的なまちにすべきと考えます。  各区の掲げる将来の人口目標はどうなっているか、お伺いいたします。 ◯木宮都市計画局長 各区の基本計画等において掲げられております将来の人口目標は、千代田区が、平成十四年で五万人、中央区が、平成二十二年で九万四千人、港区が、平成十五年で十五万人となっております。目標年次は異なりますけれども、単純に足し合わせますと、二十九万四千人となってございます。 ◯立石委員 都心部の人口回復を一層進めるには、これまでの施策にとどまらず、より一層積極的な取り組みが必要であります。新たな決意のもと、今後進める都市計画的手法による都心居住実現の方策、戸数、目標年次について、具体的な数字を挙げて説明してください。 ◯木宮都市計画局長 都心三区における都心居住実現の具体的方策といたしましては、平成四年改正の都市計画法により新たに創設されました中高層階住居専用地区により、約一万三千戸の住宅供給が想定されます。  また、都心居住型総合設計制度の創設等により、年間約千百戸の供給が見込まれます。  さらに、市街地再開発事業によって、平成十五年までに約三千二百戸の供給が予定されているところでございます。  これまで述べてまいりました方策を初め、これらの施策をあわせて、今後、一層の都心居住の推進に努めてまいります。
    ◯立石委員 通告の質問項目から多少前後いたします。築地市場の再整備についてお尋ねいたします。  築地市場も建設後半世紀を経て、施設の老朽化が著しく、現在、再整備が進められております。再整備計画につきましては、昨年十二月、東京都卸売市場審議会でいろいろと論議されました。その際、市場当局は、基幹市場である築地市場整備基本計画の見直しの必要性にも触れております。  ところが、昨年十二月七日の都議会第四回定例会の本会議で、我が党代表質問に対して当局は、築地の再整備は、東京都総合三カ年計画において、現在地においてこれまでどおりの計画とした、現在、東京都卸売市場審議会において第六次卸売市場整備方針について審議中であり、平成七年度内には答申をいただける予定となっており、これを受けて積極的に再整備を進めていく、と答弁しております。  この際、この審議会における基本計画の見直しの考えと、本会議での三カ年計画に係る答弁の矛盾がありますが、どのように理解すればいいのか、真意をお伺いいたします。 ◯番所中央卸売市場長 築地市場は、現在地において営業を継続しながらの再整備であることから、計画段階では予測できませんでした各種の調整に日時を要しているため、工期の長期化、工事費の増大が予想され、当初の計画どおり工事を進めることは困難な状況にございます。  今後は、近々に予定されている東京都卸売市場審議会の答申を踏まえまして、工期の短縮、建設コストの縮減、効率的で使いやすい市場とする視点から、これまでの経緯をも考慮いたしまして、必要な基本計画の見直しを行い、一日も早い完成を目指す考えでございます。 ◯立石委員 昨年からことしにかけて、さまざまな理由があったとは思いますが、築地市場の関係者や地元住民の間で、築地市場の移転が話題となっております。業界関係者の中には、針一本の可能性があれば検討する必要があるとの意見もあったと聞いております。  都は移転を検討しているのか、伺います。 ◯番所中央卸売市場長 お答え申し上げます。  築地再整備は、長年にわたり都と業界で論議を重ねてきた結果、現在地において基幹市場として機能を果たせるよう、現在、再整備を進めているところでございます。  昨年十一月の築地市場再整備推進協議会において、業界側委員から、工期や工事費の関係から、現在地での見直しや移転の可能性について検討してはとの意見があり、都としては、業界の総意として要望があれば検討せざるを得ないとしてきたところでございます。これまでのところ、業界の総意としての要望は受けておりません。 ◯立石委員 ご答弁では、業界の総意として要望があれば検討せざるを得ないとしてきたところでありますと。業界の総意といえば、どこまで入るのか。 ◯番所中央卸売市場長 お答え申し上げます。  築地市場再整備推進協議会の業界代表委員の全員の意見がまとまるということを前提といたしております。 ◯立石委員 バブル崩壊後の現在、市場整備計画の財源確保は非常に厳しい状況となっていると聞いております。市場会計において、施設整備に充てられる積立金などの余剰金は、六年度末現在では幾らあったか、また七年度末の見込みはどうなのか、伺います。  なお、二月二十日付の日本経済新聞によると、市場長は、築地の再整備には三千四百億円かかるといっておりますが、平成二年度の基本設計の時点では約二千四百億円弱と承知していましたが、なぜ一千億円もふえたのか、あわせてお伺いいたします。 ◯番所中央卸売市場長 お答え申し上げます。  施設整備に充てられる余剰金でございますが、六年度末現在で建設改良積立金は約三千三百億円、七年度末現在の見込みで約二千八百億円でございます。  次に、再整備事業費の増加につきましては、現在地において営業を継続しながらの再整備であるため、計画段階では予測できませんでした各種の調整に日時を要しまして、工期の長期化及び工事費の増大が予測されるところでございます。加えて、業界との調整の過程でいろいろと要望がございまして、それらを取り入れたため、施設規模も増大したということもございました。  このため、平成二年の基本設計策定時の試算によりますと、おおむね二千三百八十億円となっておりましたが、昨年十一月に発表いたしました「とうきょうプラン’95」策定時の試算では約三千四百億円となり、約一千億円の増額になったものでございます。 ◯立石委員 バブル崩壊で市場会計の財源が大幅に減少している半面、工事単価も当然下落しています。さまざまな要件が重なったとしても、基本設計時の工事費が大幅にはね上がったのは、直ちにはうなずけません。工事費についても厳密な見直しが必要であると考えます。  ただいまの説明によれば、七年度末の余剰金が二千八百億円、当初計画どおり築地市場の再整備を進めると三千四百億円がかかるとなりますと、見直しが必要になってくると思います。今後、築地市場の整備にどのくらいの資金が投入できるのか、果たして投入できる金額で満足な再整備ができるのか、関係者は不安を持っております。見通しをお伺いいたします。 ◯番所中央卸売市場長 お答え申し上げます。  バブル崩壊後、市場財政は大変厳しい状況のもとに置かれておりまして、第六次の卸売市場整備計画の策定に当たりましては、健全な財政計画との整合を十分に図る必要があります。市場全体に要する経費の大きさを考えました場合、使用料、起債等による収入には一定の限界があります。  したがって、市場運営経費及び現行整備計画の合理的見直しなど、財源確保のための可能な限りの努力をいたしてまいりますが、築地市場再整備に投入できる資金は相当厳しいものと考えております。  今後、見直しに当たりましては関係者と十分に協議を行い、基幹市場としての機能を果たせるよう努力をしてまいります。 ◯立石委員 揚げ足をとるつもりはありませんが、今後、見直しに当たりましては関係者と十分に協議を行い、基幹市場としての機能を果たせるよう努力をしてまいりますと。この関係者とは何を意味しますか、どなたを意味しますか。 ◯番所中央卸売市場長 お答え申し上げます。  現在、築地市場には水産部と青果部がございますが、それぞれの卸売業者、仲卸業者、買い出し人、売買参加者、それから関連事業者等の組織を考えております。 ◯立石委員 築地市場関係者は、再整備を現在地で見直すのか、それとも移転するのか、ただいまでも強い不安を持っています。それは、なかなか難しい問題ではありますが、築地現在地で再整備をする、そういう話が、答弁の中で触れているわけではありませんが、多少、触れているように聞こえました。しっかりと築地市場で再整備をするのだと、こう発言をいただければ安心いたしますが、その点は大変不安であります。  ところで知事は、生家は、代々日本橋において飲食関係のご商売をされておると聞いております。市場とは大変関係の深い知事が、ご就任以来、まだ築地市場を視察されていないということを聞いておりますが、そのことは大変残念であります。ぜひ築地市場を訪問されまして、ただいまの関係の皆さんの強い不安を打ち消して、しっかりと築地市場の基幹市場としての役割、そして現在地築地で再整備をする、心配はない、そう──開花宣言も聞こえる桜の時期にご視察をいただきたいと思いますし、ご所見をお伺いいたしたいと思います。ただ、四月一日はエープリールフールでありますので、ご注意をいただきたい。 ◯青島知事 お答えいたします。  私に築地市場を訪問する意思があるかどうかというお尋ねでございます。  私の生家は下町で弁当屋をやっておりまして、かなり深いえにしがあるわけでございますし、築地市場につきましては、私も深い関心を持っておりますので、新年度になりまして、でき得る限り早い機会に訪問してみたい、かように考えております。 ◯立石委員 大歓迎をいたします。  次に、高齢者福祉対策についてお伺いいたします。  高齢社会が進展する中で、高齢者が介護を必要とする状態となったときの不安は、大きな問題であります。ヨーロッパの福祉先進国では、介護を必要とする高齢者であっても、寝たきりという状態はないという話を聞いておりますが、日本では、介護を必要とする状態として、寝たきりの高齢者が代表的な事例として挙げられます。なぜこのような違いが生じているのか。  福祉サービスの目標として、サービスのレベルを改善して、在宅で生活できる高齢者の方であっても、あるいは特別養護老人ホームで生活をされる高齢者であっても、寝たきりの状態をなくすということを目指して、必要なサービス供給体制をつくり上げていく必要があると考えますが、知事の取り組みを、まず初めに聞いておきます。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  高齢者の生活の質の低下をもたらす最大の問題は、寝たきりや痴呆であると考えております。  高齢者が寝たきりの状態になるのは、何らかのきっかけによりまして活動能力が低下をいたしまして、心身機能の衰弱が進みまして、さらに活動能力が低下する、そういう悪循環によるものだろうと思っております。これは訓練と、あるいは介護のやり方によっては、かなり予防ができるのではないかというふうにも考えられております。  今後とも、ご指摘を踏まえまして、寝たきりの状態をなくすことを目指しまして、健康づくり、疾病予防対策の充実はもちろんのこと、訪問看護、デイサービス、ホームヘルプサービス等の在宅サービスの充実を図るとともに、特別養護老人ホームなどにおきましても、機能訓練の充実など、処遇の向上が図られるように努めてまいりたいと考えております。 ◯立石委員 可能な限り自宅でお世話をして、これまでも家族の力での世話が限界に達したとき、特別養護老人ホームに頼らざるを得ない現実がありますが、特別養護老人ホームには待機者が大勢いて、必要なときに入所できる状態にはなっておりません。  都は、特別養護老人ホームの待機者を解消するため、どのような対策を講じてきたのか伺います。 ◯奥福祉局長 都は、特別養護老人ホームの入所待機者を早期に解消するため、緊急整備五カ年計画に基づく施設整備と、在宅サービスの充実に努めております。  また、施策展開を効果的に行うため、現在、特別養護老人ホーム待機者対策検討委員会において、待機者解消のための具体的な方策についても検討しておるところでございます。 ◯立石委員 特別養護老人ホームの整備の促進を進めていくことは大切なことではありますが、特別養護老人ホーム待機者の中には、必要な在宅福祉サービスが用意されるならば、住みなれた地域で生活をすることが可能な人もいると思われますが、都はどのように認識されておりますか。 ◯奥福祉局長 特別養護老人ホームの待機者の中には、必要なときに必要な保健、医療、福祉の各種サービスを提供することにより、在宅での生活が可能となる方もいると考えております。  ご指摘のように、待機者を解消するためにも、在宅サービスを充実することが重要であると考えております。 ◯立石委員 介護を必要とする状態になっても、できるだけ自分の家で家族に囲まれて生活をしたいというのは、高齢者の切実な願いです。このような願いにこたえるためには、ホームヘルプサービスや訪問看護サービスなどのサービスを充実していくことが大事であると考えます。  都は、どのような考えでこれらのサービスを充実していこうとしているのか、お伺いいたします。 ◯奥福祉局長 「とうきょうプラン’95」では、平成十二年度までに、必要とするすべての高齢者が利用できるよう、ホームヘルプサービスについては四万六百世帯に派遣するとともに、訪問看護ステーションについては二百カ所設置することといたしております。 ◯立石委員 「とうきょうプラン’95」では、平成十二年度に、ホームヘルプサービスも訪問看護サービスも、必要とするすべての世帯に派遣することを目指しておりますが、本当に平成十二年度までにこのようなサービス体制が構築できると考えておられますか、所見を伺います。 ◯奥福祉局長 平成七年度末でのホームヘルプサービスの派遣世帯数は約三万世帯、また、訪問看護ステーションは九十七カ所となる見込みであります。  これらの進捗状況から見て、現行計画の達成は十分可能と考えておりまして、今後とも、必要とするすべての高齢者が利用できるよう努めてまいります。 ◯立石委員 ホームヘルプサービスと訪問看護サービスは、緊密に連携をとりながら行われる必要があると考えます。ホームヘルプサービスの拠点であるホームヘルパーステーションと、訪問看護の拠点となる訪問看護ステーションの設置についての考えを伺います。 ◯奥福祉局長 ホームヘルパーステーションは中学校区に一カ所、訪問看護ステーションは、おおむね対象者四十人に一カ所程度設置することといたしております。 ◯立石委員 この両ステーションの設置場所は同一と理解してよいのか。違う場合、連携はどのように図られるのか。今後、両ステーションの設置のあり方についても、きちんと検討する必要があると考えますが、所見を伺います。 ◯奥福祉局長 ホームヘルパーステーションと訪問看護ステーションの設置場所は同一ではありませんが、在宅の要介護高齢者を支援するためには、保健、医療、福祉の各種サービスを総合的に提供する必要があり、両ステーションの連携を図ることは重要であると考えております。  今後、ご提言の両ステーションの設置のあり方についても検討し、保健、医療、福祉のサービスを総合的に提供する仕組みづくりに一層努めてまいる所存でございます。 ◯立石委員 多少前後いたします。  次に、少子化対策について伺います。  都は、本会議での我が党の質問に対して、少子化対策が緊急かつ重要な課題であるとの認識を示した上で、子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを推進し、子育て家庭の支援対策を計画的に推進していくための総合的な計画づくりを本年度行うとの答弁がありました。その計画が、ぜひ実効性に富んだ、子供とその家庭のニーズに十分こたえるものとなることを望んでおります。  さて、子供家庭支援対策といっても、さまざまな生活の場での対策があるわけでありますが、特にここでは、就労と子育てとの両立支援対策についてお伺いいたします。  まず、子育てと仕事との両立支援対策の必要性についてどのように認識しているのか、伺います。 ◯奥福祉局長 女性の社会参加が進み、共働き家庭が増加している今日、子育てと仕事の両立を支援していく対策は大変重要であります。  このため、育児休業制度の普及、労働時間の短縮などの雇用環境の整備や、保育サービスの充実等が不可欠でありまして、積極的に推進する必要があると考えております。 ◯立石委員 この両立支援策の具体的施策の一つである保育事業についてでありますが、国でもエンゼルプランの具体策として、緊急保育対策等五カ年事業を打ち出し、低年齢児保育や時間延長保育等の充実を図ろうとするなど、具体的な取り組みが進んでおります。  また、今定例会の知事施政方針演説でも、仕事を持つ親にとって切実な願いである保育サービスの充実について触れております。子供の数は減少し、保育事業全体としての需要は減るかもしれませんが、出産休暇後に仕事に復帰する際の乳児保育の受け皿や、勤務時間や通勤時間を考慮した保育時間への配慮などが必要であります。  これらの保育事業の都における状況と、その充実についてどう取り組まれるか、お伺いいたします。 ◯奥福祉局長 ゼロ歳児保育や延長保育の推進につきましては、これまでも都は国の基準を上回る助成を行うなど、その充実に努めてきたところでありまして、実施主体である区市町村と協議しながら、より一層の推進に努める必要があると考えております。  このため、「とうきょうプラン’95」において、ゼロ歳児保育事業及び時間延長型保育事業について、計画事業とし、拡充を図ることといたしました。  これらの事業を着実に推進するため、平成八年度、新たに、ゼロ歳児保育推進保母の配置と延長保育促進特別事業を実施することといたしております。 ◯立石委員 ニーズに応じたきめ細かい保育サービスの充実に積極的に取り組むよう、お願いをしておきたいと思います。  次に、保育所の児童が小学校に就学した後の対策についてであります。  学校が終わった後、だれもいない家庭で一人留守番をするような状況は、子供の健全な生育にも好ましいものではありません。都の学童クラブ事業でありますが、指導時間が午後五時までがほとんどであるようでありますが、これは必ずしも保護者の勤務実態に即したものではありません。  都は、この事業に対して基本的にどう取り組んできたのか、お伺いをいたします。 ◯奥福祉局長 子育てと仕事の両立を図り、また、児童の健全な育成を図る上でも、学童クラブ事業は大きな役割を担っておりまして、都はこれまでも、運営費の助成や実施箇所数の拡大等の充実に努めてまいりました。  今後、保護者の就労の実態等に即した対応がさらに求められていると考えております。 ◯立石委員 先ほど指摘したように、指導時間の問題などにどのように取り組んでいくかを明らかにしてほしいと思います。 ◯奥福祉局長 保護者の就労状況等を見ますと、指導時間の延長等に関するニーズは高いものと考えられることから、平成八年度に、おおむね午後七時までの指導時間の延長や、学校休業日における早朝からの運営等を行うモデル事業を、区市町村と連携して実施いたします。  このモデル事業の実施を踏まえ、実施主体である区市町村とも協議しながら、学童クラブ事業の拡充に努めていきたいと考えております。 ◯立石委員 ぜひとも、地域における住民ニーズに即応した施策の展開に速やかに取り組んでいただきたいと思います。  次に、環境問題について伺います。  ところで、人々が健康で快適な生活を送ることのできるまちづくりを進める上では、環境面からも十分な配慮がなされなければなりませんが、この観点からの都の環境行政についての基本的方針を伺います。 ◯青島知事 お答えいたします。  都民が健康で快適な生活を送ることができるまちづくりを進めるために、都は、環境基本条例に示されておりますように、環境への負荷の少ない土地利用を図るとともに、水と緑のネットワークを形成いたしまして、望ましい生態系の保全や回復に努めるつもりでおります。  あわせまして、事業者の事業活動や都民のライフスタイルがより環境に配慮したものになるように、さまざまな施策を進めてまいりたいと考えております。 ◯立石委員 都市には、清掃工場など都市の基盤を支える施設を整備することが不可欠でありますが、施設の建設や運営に当たっては、環境問題への万全の対応が求められております。環境行政を進める立場から、このような問題にどのように取り組んでいくのか、伺います。 ◯青島知事 都では、従来から都市の基盤を支える施設の整備に当たりましては、環境面からも十分な配慮を加えることによりまして、快適な環境の創出に努めているところでございます。  今後とも、現在策定中の環境基本計画におきまして、環境面から配慮すべき事項を定めることなどによりまして、環境への負荷の少ない都市づくりを目指してまいりたいと考えております。 ◯立石委員 続いて清掃工場の建設について伺います。  快適なまちづくりに当たっては、環境面からの配慮が望まれますが、清掃工場の建設に際して、地域の環境を守るためにどのような配慮をされてきておりますか。 ◯喜多沢清掃局長 清掃工場を地域に受け入れられる施設とするためには、周辺環境への影響に十分に配慮した対応が必要であります。このため、地域の特性や景観に配慮して、建物や煙突のデザイン、色彩などにも工夫を凝らしまして、その地域にふさわしい施設とするよう努めてまいりました。  また、最新の公害防止施設を備え、環境に対する配慮に万全を期してきたところでございます。 ◯立石委員 先日のこの委員会で、清掃事業の長年の懸案であった可燃ごみの全量焼却が平成八年度中には達成の見込みとのことでありましたが、さらに安定的焼却体制の確立を目指して、清掃工場の建設を進めるという答弁がありました。全量焼却が達成してもなお清掃工場の建設が必要なのはなぜか。安定的焼却体制の確立とはどういうことなのか伺います。 ◯喜多沢清掃局長 ごみの発生量は季節により変動するため、年間を通して全量焼却を維持しますには、季節変動を見込んだ焼却能力が必要であります。  また、清掃工場は、稼働開始後一定年限を過ぎますと、設備の経年劣化等により焼却能力の低下を来し、さらに、おおむね二十五年ないし三十年程度を経過すると建てかえが必要となります。このため、これに対応できる焼却能力の確保も不可欠であります。  新海面処分場につきましては、可燃ごみはすべて焼却処理の上搬入する予定でありまして、安定的な全量焼却体制を確立することが急務でございます。このため、清掃工場建設計画の着実な推進を図っていくことが必要でございます。 ◯立石委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。(拍手)
    ◯花川委員長 立石晴康理事の発言は終わりました。  この際、議事の都合により二十分間休憩いたします。    午後三時二分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時二十五分開議 ◯花川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  土持正豊委員の発言を許します。 ◯土持委員 まず初めに、平成八年度都政最大の課題であります行政改革について、お伺いをいたします。  我が党は、橋本幹事長、そして曽雌議員の予算特別委員会総括質疑でも、都政のリストラについて、具体的な事例を挙げ、その推進を図ることをお願い申し上げました。既に一部新聞報道されておりますけれども、それによれば、我が党の提案がすべて網羅されている、そんな状況でございます。具体的にお示しいただきたいと思います。  また、リストラによって、平年度ベース、総額幾らの経費節減になるか、お示しいただきたい。  あわせて、我が党が今日まで一貫して主張してまいりましたAランクの外郭団体の理事長の報酬、そして退職金、五年間で一億円になるといわれておりますけれども、行革大綱の中ではどのように示されているか、ご答弁を願いたいと思います。 ◯佐々木企画審議室長 お答えいたします。  まず最初のご質問でございますが、現在策定中の行政改革大綱の中では、二十一世紀に向けて、環境に適応した責任ある執行体制を確立するために、既にご提案のございました組織の再編や財政支出監理団体の自律的な経営の促進についても触れてまいります。  組織再編については、企画審議室と情報連絡室の統合であるとか、福祉局、衛生局、養育院の再編の方向で取りまとめを進めているところでございます。  また、財政支出監理団体の事業の再編や団体の統廃合については、東京臨海副都心建設株式会社、株式会社東京テレポートセンター、東京臨海熱供給株式会社など、臨海地域の第三セクターの統合を含めた再編の検討などについて、お示しする予定でございます。  次に、リストラについての平年度ベースでの総額幾らか、経費の節減になるか、また、Aランクの外郭団体の理事長の報酬等についてのお話でございますが、今回の行政改革においては、都政の中長期的なあり方を目指しまして、都民とのコミュニケーションの充実であるとか、ボランティア等との協働について触れたことを特色としておりますが、また、施策の見直しにつきましても、見直し事業を明示していきます。時代状況に適応していくために、制度のあり方を見直すものもあり、また、現段階では、その効果について、総体として金額的に試算することは大変困難でございます。しかしながら、行政改革大綱において、改革についての基本的な考え方のみならず、可能な限り、具体的な改革事項とそのスケジュールを明示してまいります。  また、役員の報酬、退職金等については、経営評価制度を導入いたしまして、経営状況等をより反映したものとなるよう指導することを盛り込んでいく予定でございます。 ◯土持委員 次に、ノンバンクについてお伺いいたします。  我が党は、都民の血税投入反対の立場から、今日まで、コスモ問題、住専問題等を取り上げてまいりました。同様に、それ以上の問題でありますノンバンクについてお伺いをしたいと思います。  住専の貸出債権は十三兆円といわれておりますけれども、ノンバンクは三十兆円に上るともいわれております。現在、東京都に登録されているノンバンクの数、そして業者数、並びに貸付残高をお示しください。 ◯高村労働経済局長 いわゆるノンバンクのうち、貸金業の規制等に関する法律によりまして都知事に登録される貸し金業者は、都内にのみ事務所を有する業者でございます。平成八年一月末現在、登録業者は六千六百十七社となっておりまして、また、貸付残高は、平成七年三月三十一現在で、貸付実績のありました二千五百十社について見ますと、十六兆二千七百四十九億円となっております。  なお、登録事業者数には営業実績のないものも含まれてございますので、事業者数に差があるのはそのためでございます。 ◯土持委員 六千六百十七社のうち二千五百十社ということで、約四千社が営業実績のない貸し金業者という状況でございます。  ところで、最近倒産したノンバンクがございましたら、その負債額とその原因が何であるか、お示しいただきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 都知事登録の貸し金業者の中で、非訟事件手続法に基づきまして、裁判所から会社整理手続開始の申し立てについての通知を受けましたものは、これまでに二社でございます。  この裁判所からの通知には、負債総額や倒産の原因は記載されておりませんが、民間の調査機関によりますと、この二社の負債総額は三千七百六億円となっており、その倒産の原因は、二社とも、バブルの崩壊に伴う不動産や有価証券の価格の下落によって不良債権が増加し、経営が悪化したためとされております。 ◯土持委員 平成四年、五年、六年、年度別に都内のノンバンクの貸付残高総額をお示しいただきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 都知事登録の貸し金業者の貸付残高の総額でございますが、まず平成四年度末におきましては二千六百四十三社でございまして、十八兆九千三百九十億円、平成五年度末は、二千五百七十三社、十六兆七千十四億円でございます。平成六年度末は、先ほど申し上げましたように、二千五百十社で十六兆二千七百四十九億円となっております。 ◯土持委員 その中で、五百億円以上のノンバンクの貸付残高と、いわゆる不良債権となる一年以上、そして一年未満の延滞債権について、どのぐらいあるか、お示しください。 ◯高村労働経済局長 貸付残高が五百億円を超える貸し金業者につきましては、平成三年五月の法律改正によりまして、事業報告書を都を経由して大蔵省に提出することになっております。  その報告書によりますと、平成五年は、六十四社で八兆二千二百四十八億円、平成六年は、六十五社で七兆二百三十四億円、平成七年は、六十六社で八兆八百二十三億円となっております。  なお、この報告書に記載されております貸付金の延滞状況につきましては、貸し金業の統一的な経理の処理基準が定められていないところから、公表につきましては差し控えるようにとの大蔵省の見解が示されておりますので、ご容赦をいただきたいと存じます。 ◯土持委員 大蔵省の金融行政の不透明さの典型的な例のように感じられます。  我が党の調査では、コスモ信組の回収不能債権と同じ一年未満と一年以上の延滞を合わせますと、四兆円を超す約五〇%が厳しい状況にございます。  ところで、東京都は、不良債権を抱えている、この危険なノンバンクに対して、今日までどのような指導をしてきたか、また、大蔵省とも打ち合わせをしてきたかどうか、お答えいただきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 都は、貸金業の規制等に関する法律に基づきまして、貸し金業者に対し、貸付金利などの契約内容や、あるいは取り立て方法などの業務規制を遵守しているかどうかについて、報告の徴収や立入検査などを行っておるところでございます。  これはもっぱら資金需要者、いわゆる借り手の保護を図るものでございまして、お話にございましたような、延滞債権の多寡であるとか、あるいは経営内容、こういったことにつきましては、都知事の指導監督の権限外でございます。したがいまして、こうした問題について大蔵省と相談を行うこともございません。 ◯土持委員 銀行系列、企業系列、ノンバンクそれぞれございますが、例えばコスモ信組系のアポロファイナンス、現在どのような状況になっているか、お示しください。 ◯高村労働経済局長 都は、コスモ信用組合及びアポロファイナンスとの資金関係については、それぞれの法に基づいて、検査等を通じて把握をいたしておるところでございますが、個別企業の情報でもございますので、この点についての公表は差し控えさせていただきます。 ◯土持委員 私の調査では、コスモ信組とアポロファイナンスの間でいろいろな資金操作を行っておりまして、不良債権、いわゆる一年以上、一年未満の延滞につきましては、二〇%ちょっとという数字で抑えられております。これはいかにコスモ信組が身内のアポロファイナンスをかばっていたか、擁護していたかということでございます。コスモ信組もアポロファイナンスもどちらも東京都労働経済局の所管であります。権限は限られていると思いますけれども、有機的にその実態の解明が必要だと思います。所見を伺いたいと思います。 ◯高村労働経済局長 お話にございましたように、都は、コスモ信用組合及びアポロファイナンスを、それぞれの法に基づいて指導監督する立場にございます。そして、その資金関係については、重大な関心を持って事態の解明に努めているところでございます。  今後とも、こうした信用組合と貸し金業者との資金関係などにつきましては、関係部署の連携を一層密にいたしまして、実態の把握に努めてまいります。 ◯土持委員 いずれ遅かれ早かれ、このノンバンクの不良債権の問題は大きな社会問題になろうかと思います。ノンバンク支援のために血税を使うということはまさかないとは思いますけれども、知事の見解をお伺いいたします。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  コスモ信用組合の破綻処理に当たっての都の公的資金の支出は、預金者の保護を図ることを通じまして、中小企業者や生活者である都民への影響を最小限にとどめるため、緊急避難的措置として、都民福祉の立場において行ったものでございまして、お話しの貸し金業者の破綻につきましては、都として、公的資金による措置を講じることは考えておりません。 ◯土持委員 次に、現在、社会問題になっておりますエイズ問題についてお伺いをいたします。  エイズ患者及びHIV感染者は、現在、増加の一途をたどっており、最近では、血友病の患者さんに対する非加熱凝固因子製剤の投与によるHIV感染が大きな問題ともなっております。  そこでお伺いいたしますが、エイズ患者及びHIV感染者の数について、日本全体と東京都に分けてお示しください。 ◯原山衛生局長 お答えいたします。  エイズ患者及びHIV感染者については、いわゆるエイズ予防法という法律がございまして、それに基づき、診察をした医師が都道府県知事に報告することになっております。  平成七年十二月末日現在、全国では、患者五百七十二人、感染者千七百十八人、東京都では、患者二百十人、感染者五百三十五人が報告されています。  また、血友病患者等に対する血液凝固因子製剤による患者、感染者数は、厚生省の研究班からの報告では、平成七年十一月末日現在、全国で千八百六人という数字でございます。 ◯土持委員 東京都の場合の血友病の患者さんに対する血液凝固因子製剤による感染者数ですね、答弁がありませんでしたけれども、なぜでしょうか。 ◯原山衛生局長 血友病患者の血液凝固因子製剤投与によるHIV感染は、エイズ予防法による報告の対象から除かれております。このため、厚生省の研究班が、都道府県を経由しないで、治療に当たっている医師から直接報告を受け、独自に取りまとめを行っております。厚生省からは、都道府県別患者、感染者数については公表されておりません。その理由は、公表により個人が特定される可能性があるからでございます。 ◯土持委員 相当数の感染者がいるのではないかと思われます。今後、増加を極力抑えるということのために、予防、治療、社会的支援等、総合的な対策が必要であるかと思います。東京都の対策についてお伺いをいたします。 ◯原山衛生局長 都では、エイズ対策基本方針を定めております。そして、エイズの蔓延防止、患者、感染者に対する偏見のない社会の実現及び保健医療の確保を図るため、普及啓発活動の強化、相談、検診体制の充実、医療体制の確保及び調査研究の充実を基本とし、プライバシーと人権の保護に配慮しつつ、総合的なエイズ対策を推進しております。 ◯土持委員 昨年十一月、都は、エイズ診療の協力病院として二十カ所の拠点病院を指定、公表いたしました。連携病院も、ことしの二月に十三カ所指定いたしました。  本来、エイズ診療は、他の疾患と同様、すべての医療機関で実施されるのが望ましいと思います。 所見を伺います。 ◯原山衛生局長 ご指摘のとおりだと思いますが、現実にはなかなかそこまで至っておりませんので、当面、エイズ診療協力病院を指定したものでございます。  今後とも、エイズ患者、HIV感染者が身近なところで安心して適切な医療を受けられるよう、エイズ診療体制の整備に努めてまいります。 ◯土持委員 次に、血液凝固因子製剤による薬害についてお伺いいたします。  まず、血液凝固因子製剤とは何か、また、血友病とは何か、都内には何人くらいの患者さんがいるか、お示しください。 ◯原山衛生局長 一般に、健康な人の場合、切り傷などによりまして血液が流れ出たときでも、自然に血がとまります。これを血液凝固といっております。この血液が凝固するプロセスに関与する因子は十二種類ございまして、そのうちの一つでも欠けると凝固が生じなくなります。この欠けている因子を補うために、人間の血液から開発された製剤が血液凝固因子製剤でございます。  また、血友病とは、今申し上げた血液凝固に必要な十二の因子のうちの一つが生まれつき欠けている病気で、遺伝病の一つでございます。全国には約五千人の患者がいるといわれておりますが、プライバシーの問題等があり、都道府県別には把握されていないのが現状でございます。 ◯土持委員 本人の全くあずかり知らないところで感染を受けた、いわゆる第四ルートによる患者、感染者に対して、早急に適切な手を打たなくてはならないと思います。また、本人も、あるいは周囲の人も、生命の危険にさらされるということになります。  先般、厚生省が全国調査を行いました。その結果を発表されておりますけれども、内容についてお示しください。また、東京都の場合はどうであったか、内容をあわせてお示しいただきたいと思います。 ◯原山衛生局長 お尋ねのございました、いわゆる第四ルートに対する厚生省の全国調査は、血友病以外の患者に非加熱血液凝固因子製剤を投与した可能性のある全国の五百四十四医療機関に対し、都道府県を通じて実施したものでございます。  その調査結果によりますと、非加熱血液凝固因子製剤を投与した施設は、全国で九十一施設、投与された患者数は三百二十二名から三百四十二名、そのうちHIV感染者数は十一名と発表されております。  東京都の場合でございますが、厚生省から都内五十二の医療機関について示され、衛生局で調査をし、その結果を厚生省に回答いたしました。しかし、回答内容を公表することは、個人が特定されるおそれがございますので、プライバシー保護の観点から公表は差し控えさせていただいております。 ◯土持委員 公表ができないことは理解するところですが、HIV抗体検査の陽性者の方々には、早急な適切な対応をしなくちゃならない。その対応策について伺います。 ◯原山衛生局長 先ほどご答弁申し上げました調査の結果、HIV感染者が確認された場合には、都は、その医療機関に対して、プライバシーの保護に留意しつつ、本人への告知やカウンセリング及び治療等、早期に適切なフォローアップを行うよう指導することとしております。 ◯土持委員 非加熱製剤がいかに危険な薬剤であったか、今さら改めていうまでもないわけでございますが、このような製剤を野放しにしておいた国、そして製薬メーカーの責任は大変に重大であると思います。特に製薬メーカーは、加熱血液製剤の製造、販売が承認された後にもかかわらず、なおかつ非加熱血液製剤を販売し続けた。社会的制裁はもとより、都としても、製剤を製造、販売をし続けた製薬メーカー五社に対する製品購入停止をするなど、厳しいボイコット等を含めた制裁措置が必要と考えます。知事の答弁を求めます。 ◯青島知事 お答えいたします。  先ほど来のお話にありますように、多数の血友病患者の方々が、その治療のために投与されました非加熱血液製剤によりましてエイズウイルスに感染し、不幸にして亡くなられた方、あるいは想像を絶する苦難の生活を余儀なくされる方々など、深刻な被害を受けられたことに対しましては、まことにお気の毒この上ないと感じております。  このような悲惨な事態の発生をいち早く防ぐことができなかったのはなぜかなと悔やまれてならないところでございますが、現在、血友病患者のエイズ訴訟につきましては、東京地裁の和解勧告を受けて協議が進められております。近々、和解が成立すると伝えられております。東京地裁の和解勧告に当たっての所見では、ご指摘のような点が述べられた上で、国及び製薬メーカーは被害者を救済すべき責任を有していると決めております。  私といたしまして、東京地裁の所見の考え方に沿った和解が成立した段階で、製薬メーカー五社に対しましてペナルティーを課すかどうか、都議会のご意向も伺いながら検討してまいりたいと考えております。 ◯土持委員 都議会の意向を、ということで答弁をされました。ぜひ都議会の各会派の皆様のご協力をいただいて、この問題については厳しく制裁措置を、お願いを申し上げたいと思います。三月二十九日に正式な和解が行われると聞いております。ぜひともその際、一緒に行動してお願いを申し上げたいと思います。  次に、都立高校の問題についてお願いをしたいと思いますが、都立高校の全日制の転入学についてお伺いをいたします。  新しく高校生になられた生徒は、期待に胸を膨らませております。しかし、東京都においては、平成六年度の都立高校全日制の中途退学者は、五千五百四十二名おります。過去最高の退学率となっており、中央教育審議会の答申の中でも、高校生の他校、他学科への移動がもっと認められていいんじゃないか、こういう指摘がなされております。現実に、同一県内の全日制高校間の移動、転学は行われておりません。  東京都は、実施に先立って研究を進めてきているということを伺っております。大変に評価したいと思いますけれども、転校することによって環境を変えることができれば、退学をしないでも済む場合が大変多いと思われます。都立高校間の転校を、ぜひ平成八年度からでも実施をしていただきたい。答弁を願います。 ◯市川教育長 ご提案のとおり、実施につきましては、平成八年度からと考えておりまして、その時期につきましては、八月下旬の第二学期補欠募集を念頭に入れて検討をしております。 ◯土持委員 従来、転入学は、定員にあきが出たとき、その場合に欠員補充に応ずる形で行われてきました。しかし、去年の一年生の二学期の実績を見ますと、島しょ(一名)を除くほか、都内は全くこういう実績を見ることができませんでした。  制度をつくっても実績が出ない、これでは中途退学防止とはなりません。一定の募集人員の規模がどうしても必要であり、それも都内すべての高校で実施しなければ、その実は上がりません。見解を伺いたいと思います。 ◯市川教育長 ご指摘のように、従来から、第一学年の補欠募集の人員が極めて少ないこともございますので、全校において補欠募集が実施できますよう検討を進めてまいります。 ◯土持委員 中途退学の理由として、進路変更が一番多いわけでございます。例えば、定時制から全日制へ、あるいは工業科から普通科へ転学ということが可能なら、中途退学防止に大変な効果を発揮すると思います。こうした移動もあわせて認めていただけるんでしょうか。 ◯市川教育長 異なる課程、学科間の移動につきましては、履修教科の違い等により、大変難しい点もございます。  しかし、今回の制度改正に当たりましては、中途退学防止等のために早期の進路変更を認めるという趣旨から、特に第一学年の第二学期の補欠募集におきましては、原則として転学を認めるべきというふうに考えております。 ◯土持委員 転学といっても、あくまでも中途退学防止という観点からの転学を行うべきだと思います。そのためにどのような措置を考えているか、また、選考の方法をどのように考えているか、お示しください。 ◯市川教育長 今回の制度改正に当たりましては、高校入学後も受験競争を継続させたり、生徒を安易に他の学校に転学させることのないよう、在籍校と受け入れ校との協議や、毎学期繰り返し受験することの制限などの措置を検討しております。  また、選考方法につきましては、現在の補欠募集と同様に、学力検査と面接を原則とし、その総合した成績によりまして合否が決定されます。 ◯土持委員 中途退学の問題は、都立高校だけの問題じゃございません。東京都内にあります私学につきましても、平成六年度の退学者数を見てみますと、三千七百五十九人、大変たくさんのお子さんが退学をされております。  私立高校に対して、中途退学防止策を総務局はどのように今日まで指導してきたか、お伺いいたしたいと思います。 ◯渡辺総務局長 中途退学の理由はさまざまでございますけれども、私立高校といたしましては、中途退学を未然に防ぐため、それぞれの学校の建学の精神や独自の校風を入学前によく理解してもらうとともに、生徒の多様なニーズにこたえ、魅力ある教育を行っているところであります。  都は、各学校に対しまして、生徒一人一人がその個性を伸ばし、有意義な高校生活を送れるよう取り組むとともに、教育上必要な配慮を十分行い、安易に退学させることのないよう、要請をいたしているところでございます。 ◯土持委員 次に、心身障害教育の充実についてでありますが、我が党は、障害の軽度な生徒の職業教育を今日まで推進してまいりました。知的発達障害の生徒に職業技術を身につけさせたい、これは一人前にさせたいという親の切なる願いでもあります。  養護学校高等部の卒業生の一般企業への就職率、全国と東京の両方をお示しください。 ◯市川教育長 平成七年三月に、都立養護学校高等部を卒業しました知的発達障害の生徒のうち、一般企業に就業した生徒は三〇%でございまして、全国平均の三三%を下回っております。 ◯土持委員 本年四月に、南大沢学園養護学校の高等部に、一般企業への就労を目指した産業技術科が設置されました。大変な人気で、十六名の定員に対して、全東京から六十名を超える応募者があったと伺っております。この職業学科に対する期待の高さ、これからの大きな課題になってくると思いますが、現在、就業を希望している生徒さん、全東京で一学年およそ百五十人から二百人、大変な人数に上っております。
     聞くところによりますと、青鳥、葛飾、田無、板橋の養護学校では、職業教育の推進ということを研究をされているというふうに伺っております。地域的なバランスも考慮しながら、ぜひ職業学科を早急に併設していきたい、お願いしたい、こういうことでございます。教育長の所見を伺います。 ◯市川教育長 保護者や生徒の期待にこたえていきますためには、ご指摘のように、職業学科を全都にバランスよく配置していく必要がございます。  そこで、南大沢学園産業技術科の状況等も見ながら、既設の養護学校高等部に職業学科の併設を鋭意検討してまいります。 ◯土持委員 次に、築地市場の整備に関連して、何点かお伺いいたします。  築地市場で取り扱っている生鮮食料品、水産物の取扱量は約四十六万トン、全国の二〇%を占めております。また、青果物取扱量は三十九万トンで、四%を占めております。全国的にも取扱量がずば抜けています。  生鮮食料品などを対象とした流通白書を作成してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。 ◯番所中央卸売市場長 お答え申し上げます。  東京都中央卸売市場では、市場における取扱高を水産物、青果物、畜産物、花きのそれぞれについて取りまとめ、年報、月報、日報として発行し、国等の公的機関、出荷団体、関係業界、研究機関等で広く活用されているところでございます。  また、事業概要、市場PRのパンフレット、広報ビデオ、テレビ番組など、多様な方法で市場の状況を伝える努力をしているところでございます。  ご提案の趣旨につきましては、貴重なご意見として受けとめまして、十分研究してまいりたいと考えております。 ◯土持委員 ところで、築地市場は基幹市場であるという認識は、今も変わりありませんか。 ◯番所中央卸売市場長 築地市場の水産物部は、我が国最大の取扱量であり、全国の建て値市場として機能しているところから、極めて重要な役割を担っております。また、青果物におきましても、大田市場に次ぐ取扱量があり、つま物や促成野菜においては、建て値市場としての機能を有しております。  このように、築地市場は大規模拠点市場であり、我が国の農漁業や食品産業に大きな影響力を持つ基幹市場として認識しております。 ◯土持委員 東京の経済活性化や食生活安定という観点から、築地の基幹市場としての機能を高めるべきだと思います。ご所見を伺います。 ◯番所中央卸売市場長 築地市場の取扱量は減少傾向にはありますけれども、水産物部、青果部の基幹市場としての機能は、今後とも変わらないものと考えております。  築地市場の再整備につきましては、これらの点を踏まえて、工期の短縮、建設コストの縮減、流通環境の変化に対応した、より効率的で使いやすい市場とする視点から、基本計画の見直しを行い、一日も早い完成を目指す考えでおります。 ◯土持委員 東京の将来像、特に道路計画等を考えますと、築地市場との整合性、非常に大事な課題だと思います。  どのようなこれからの考え方で、この体制を進めていくかということをお示しください。 ◯番所中央卸売市場長 お答え申し上げます。  築地市場及びその周辺の道路計画としては、臨海部開発広域幹線道路として、環状二号線延伸、高速晴海線及び晴海通り延伸が予定されております。  これまでにも、再整備事業と道路計画との整合を図るべく、関係者と協議、調整を行ってきたところでございますが、今後とも、十分に関係者と連絡を密にしながら整合を図ってまいります。 ◯土持委員 次に、世界の都市と都市、市民と市民が相互交流、相互理解を進める上で最も基本的で効果的な方法は、姉妹・友好都市を提携し、交流の実績を積み上げることにあるかと思います。  今や世界的な傾向とはいえ、ニューヨーク、パリ、北京、ソウル、ベルリンなど、積極的に展開しているわけでございます。  東京都の姉妹・友好都市提携は、現在十都市でありますが、その交流事業の近年の実績についてお示しください。 ◯小久保生活文化局長 活発かつ安定的な交流が継続をされております都市があります一方で、相手姉妹・友好都市の政治状況の変化とか、あるいは財政状況の変動、こうしたことから、一時的に交流事業が進んでいない都市もございます。そういう中で、実績にばらつきが出ているのが現状でございます。 ◯土持委員 相手都市の政治状況あるいは経済状況によってばらつきがあるということですが、姉妹・友好都市交流は、原則として相互主義に基づき、ツーウエーの交流であることが望まれるわけです。  ところで、都と姉妹都市提携を希望し、申し込みのある海外の都市は幾つありますか。 ◯小久保生活文化局長 友好都市の提携の申し入れは、さまざまなルートを通じて受けておりますが、これまでのところ、二十余りの都市から希望の表明あるいは意向の打診が寄せられてきております。 ◯土持委員 安定した交流、また発展的な交流を図るためには、せめてG7、先進国首脳会議のメンバー国の都市ともっと交流を深めるべきだと思います。  この中で、都としていまだ提携を結んでいない国はどこでしょうか。 ◯小久保生活文化局長 先進国首脳会議のメンバー七カ国のうち、東京都の姉妹・友好都市がない国は、英国、イタリア、カナダの三カ国でございます。 ◯土持委員 これらの国の都市に対して都が積極的な姿勢を示した場合、実現に向けて急速に進展する状況が考えられます。  知事の所見をお伺いしたいと思います。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  姉妹・友好都市提携につきましては、都市と市民を挙げて、多面的かつ継続的なつき合いをしていこうとするものでございます。両都市の盛り上がりと合意形成の可否につきまして、十分見きわめる必要があるかと思います。  都議会のご意向も踏まえまして、その可能性につきまして引き続き検討を続けてまいりたいと思っております。 ◯土持委員 次に、敬老金に関連し、高齢者福祉施策についてお伺いをいたします。  知事は、我が党の代表質問に答え、敬老金を見直して、本格的な高齢社会にふさわしい、時代ニーズに即した高齢者福祉施策を充実すると答弁されております。  また、敬老金にかわるものとして、東京都版スーパーゴールドプランともいえる計画の策定を提言したところ、本格的な高齢社会に向けた地域福祉の将来像や、福祉サービスの目標値を明らかにした計画の策定に取り組むとの答弁がありました。ぜひ、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  現在、都は、「とうきょうプラン’95」に基づいて、確保すべきホームヘルパーの数など数値目標を提示しております。高齢者に対する介護サービスの推進を図っておりますけれども、とうきょうプランの欠点は、例えば寝たきりの高齢者に対して、週に何回ホームヘルパーを利用できるのか、その人がどういう利用ができるのかという、困った方が判断ができる、そういう部分が欠如しているように思われます。  ホームヘルパーが月に何回あるいは何時間ずつ派遣されるか、そうした具体的な目安をきちっと示した計画とすべきであると思います。見解を伺います。 ◯奥福祉局長 新たな計画を策定するに当たっては、ご提言の趣旨を踏まえ、高齢者の状態に応じて、どのようなサービスがどのように提供されるかを具体的に示した、都民にわかりやすい計画とするよう、十分検討していく考えであります。 ◯土持委員 次に、事業系ごみの全面有料化についてであります。  ことし十月を目途として実施することになっておりますが、かつての半透明ごみ袋導入の際に起こしたあの混乱を二度と起こしてはならないと思います。  今後、半年間の準備期間中に、都民、事業者に対する理解と協力を得るためのPR策をお示しいただきたいと思います。 ◯喜多沢清掃局長 事業系ごみの全面有料化を円滑に実施するためには、ご指摘のとおり、都民、事業者の方々に十分な周知を行い、事業者一人一人のご理解を得ることが必要であると考えております。  今後、有料化の実施に向けまして、さまざまなマスメディアや「広報東京都」の活用を初め、リーフレット等を作成し、各種事業者団体や自主的組織等を通じた説明会を実施するなどして、きめ細かい情報提供を行ってまいります。 ◯土持委員 試験的なモデル事業を実施するわけですけれども、大がかりな事業の割に、わずか二、三週間の間に一事務所一地域という、大変に少ないモデル実施になっております。  拡大を図るべきと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯喜多沢清掃局長 試行モデル事業は、有料化の実施に当たって混乱を来さないよう、事前に事業者の方々に有料化の具体的な実施方法についてご理解を深めていただくとともに、収集、指導体制等の整備を図ることを目的として実施するものでございます。  具体的には、事業系ごみと家庭系ごみの区別や、シールの貼付方法等の指導、また、不適正排出の防止や不法投棄対策等の執行体制の確立を図ることといたしております。  今後、試行モデル事業の実施につきましては、ご提案の趣旨を踏まえ、規模の拡大や実施方法、時期等についてさらに検討してまいります。 ◯土持委員 今回の有料化で一番影響を受けるのは、排出ごみ量が十キロ以下の中小零細企業であると思います。中でも零細事業者、ご夫婦で仕事をしている、あるいは、要するに一人、二人で事業をしているところだと思いますが、特に影響が強いと思います。経済的負担を課すことは厳しい状況でありますが、我が党の代表質問の中でも、このことを指摘したところでございます。  零細企業者に対して、負担の軽減をぜひ図るべきと考えます。局長の見解を伺います。 ◯喜多沢清掃局長 現下の厳しい経済情勢の中で、特に零細事業者が経済的影響を受けることは、ご指摘のとおりでございます。  零細事業者に対する負担の軽減策につきましては、ご提案の趣旨を踏まえまして、客観性を担保できること、収集作業に混乱を来さないこと、事務処理が可能なことなどの観点から、対象範囲、実施方法及び期間等につきまして、鋭意検討をしているところでございます。 ◯土持委員 現在、東京都でいろいろ試行錯誤しながら進めておりますが、一番今問題になっているのは、事業系ごみの四〇%を占める紙類です。古紙ですね。古紙のリサイクルを推進することは、とりもなおさず、ごみの減量に寄与することになります。  どのように取り組んでいるか、お伺いをいたします。 ◯喜多沢清掃局長 都は、区や資源回収業界と十分連携協力を図りながら、事業者の自己処理責任の原則を基本としつつ、事業者による自主的な古紙のリサイクルルートの確立に努めてまいります。  具体的には、複数の商店街等をネットワーク化しますとともに、ミニオフィス町内会方式のように、複数のオフィスを結んで、資源回収業者等による古紙を中心とした効率的なリサイクルルートができるよう支援してまいります。  また、事業者が、資源回収業者や問屋の既設のヤードへ古紙等を持ち込めるよう、資源回収業界の協力を得てまいります。 ◯土持委員 古紙の回収の中で、特に配合率の問題、あるいは紙の白さの問題がございます。白色度を高めますとコストが高くなる、あるいは環境へ及ぼす影響も大きくなる、利用者の白さに対する意識の変革がどうしても必要になってまいります。  局内の物品の調達に関して、再生品の利用促進のためにどのような努力をしているか、お示しください。 ◯喜多沢清掃局長 清掃局では、再生品の利用を率先して推進していくために、昨年十二月、再生品利用指針を策定いたしました。  この内容は、例えば報告書類の作成に際しては、特別の場合を除き、古紙配合率七〇%以上の用紙を必ず使用すること、また、ご指摘のように、紙の白色度につきましては、必要以上に高い白色度を求めないことといったように、業務上よく使用する物品、特に紙製品を中心に再生利用の指針を定めたものでございます。 ◯土持委員 再生品の利用は、都庁全体はもとより、区市町村にも働きかけるべきであります。  さらに、事業者や都民にも積極的に要請をしていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 ◯青島知事 お答えいたします。  再生品の利用促進は、リサイクルを進めてまいります上で大きな課題でございまして、「とうきょうプラン’95」の計画事業にも位置づけているところでございます。  今後も、ご指摘のとおり、再生品の利用促進の取り組みを都や区市町村がみずから率先して行うとともに、事業者、都民への拡大も図っていく必要があると考えております。  そのため、区市町村と連携協力をいたしまして、取り組みを進めてまいりますとともに、平成八年度には、事業者向けの再生品利用ガイドラインを整備し、普及啓発を行っていく予定でございます。  今後一層再生品の利用を促進し、リサイクルの輪を大きく広げ、資源循環型社会の形成に向けて努力を重ねてまいりたいと考えております。 ◯土持委員 次に、財政健全化計画についてお伺いいたします。  都財政を立て直すため、知事は、我が党の代表質問に答えて、ことしの秋までに財政健全化計画を策定することを表明されております。  まず、財政健全化計画の計画期間についてですが、計画の目標や行政改革大綱の期間などとの関係があるとは思いますけれども、現在のところ、三カ年とするか、あるいは五カ年計画とするか、明らかにされておりません。どの程度の期間を考えているのか、お示しください。 ◯西念財務局長 財政健全化計画は、都財政の健全化を目指して緊急に達成すべき目標を設定し、その実現のための具体的な方策を明らかにするために策定するものでございまして、このため、計画期間は、平成八年度を初年度とする三カ年程度を想定してございます。 ◯土持委員 鈴木前知事の財政再建は、民間人や学識経験者など第三者による東京都財政再建委員会を設置し、都財政再建の具体的方策の提言を受け、それを実行したわけであります。  今回の財政健全化計画の策定は、どのような検討方式に基づいて進めるおつもりか、お示しください。 ◯西念財務局長 財政健全化計画は、行政改革大綱を踏まえて策定する予定であることから、その検討方式につきましては、東京都行政改革推進本部のもとに、財政健全化検討委員会といった組織を設置しまして、具体的な検討を行っていくことを考えております。 ◯土持委員 鈴木前知事の財政再建計画はどのようなものであったか。また、先ほどの答弁では、今回の健全化計画は三カ年計画ということでした。果たしてそのような短期間に財政再建が達成できるかどうか、改めてお伺いをいたします。 ◯西念財務局長 鈴木前知事は、巨額の赤字を抱え、起債制限団体転落寸前でございました都財政を再建するため、職員定数の削減など、徹底した内部努力の推進や事務事業の見直しなどの財政再建策を実行しました。  その結果、当初、昭和五十四年度から四カ年で予定していた財政再建が、一年早い昭和五十六年度に達成されたところでございます。  一方、現在の都財政は、歳入の根幹をなす都税収入と歳出総額とのギャップの拡大により、特別な財源対策に大きく依存した財政運営を余儀なくされております。  そうした状況を早急に克服するため、今回の財政健全化計画では、特別な財源対策に頼らない堅実な財政運営を目指して、三カ年の間に可能な限りの方策を講じ、全力を挙げて取り組んでいく、このように考えております。 ◯土持委員 今回の財政健全化計画においては、大幅な財源不足を解消するための方策が中心となると思います。どのような点を重視してこれから検討されるか、お伺いをいたします。 ◯西念財務局長 都財政を今日の深刻な状況から脱却させるためには、都政のリストラを強力に進め、何よりもまず、総量として歳出を厳しく抑制することが不可欠でございます。  そのため、財政健全化計画では、施策の徹底した見直しや投資的経費の削減などの歳出抑制策に重点を置くとともに、歳入確保努力についても十分検討を行う必要があると、このように考えております。 ◯土持委員 私の質問は以上で終わりますが、引き続いて石井委員より、コスモ信組について関連質問を行わせていただきます。ありがとうございました。(拍手)      ───────────── ◯花川委員長 質疑持ち時間の計測をとめてください。  ただいま石井義修副委員長から関連質疑の申し出がありました。  本件は、予算特別委員会実施要領第七項の規定に基づき、質疑委員の持ち時間の範囲内で認めることになっております。  石井副委員長の関連質疑を認めます。  石井副委員長に申し上げます。  発言は土持正豊委員の質疑持ち時間の範囲内となっておりますので、あらかじめご了承願います。  質疑持ち時間の計測を再開してください。 ◯石井委員 コスモ信用組合問題について、一点だけお尋ねをいたします。  泰道前理事長が東京都によりまして刑事告発され、コスモ関連の八社、十六社、三十一社のさまざまなルートの解明が捜査当局によって行われているわけでございます。遠からず経営者責任が明確になると思います。  あわせて、もう一つの責任論、すなわち信用組合を指導監督する大蔵省、そして東京都の監督責任は果たしてどうであったのか、これもまた大きく検証されなければなりません。したがって、その行政の指導監督責任について、私はお尋ねをいたします。  昨年の二信組以来、私は一年三カ月間、二信組、コスモ信用組合、大阪の木津信組等々さまざまな調査研究をしてまいりました。そして、この一年三カ月で得た結論は、これはまさに国の住専にもいえることでございますが、一にも二にも挙げてこの信用組合の破綻の最高責任者は国であり、大蔵省であります。
     すなわち、バブル経済は国の政策の判断の誤りでもたらされました。一九八五年、昭和六十年、ニューヨークのプラザホテルで行われました先進国五カ国蔵相会議からバブル経済は始まるわけであります。そして、前川リポート、規制の緩和、ビル需要の過大な見誤り、こうした中で日本はバブル経済に突き進んでいくわけであります。そして、そのバブル経済が臨界点に達し、一九九〇年、平成二年三月、当時の橋本大蔵大臣の総量規制によって、このバブルは一気に崩壊に向かうわけであります。こうした国の政策判断の誤りの中で、日本国じゅうが苦しみ、翻弄されたわけであります。したがいまして、一にも二にもこの金融不安の根源は大蔵省の政策判断の誤りであると思います。  国は、金融の自由化を掲げながら、その環境整備を全く怠ってまいりました。すなわち、信用組合を初めとする金融機関の破綻の処理の原則でありますペイオフの制度、また、業務改善命令、そして、業務停止命令、こうした命令権を東京都に与えながら、いつどういう形でその行政命令を発するのかという手段、方法、基準、こうした整備が全くなされていなかったのであります。そして、護送船団方式で、一つも信用組合を破綻させてはならない、こういう至上命題のもとに手も足も縛られて、東京都の労働経済局の信用組合行政は大変に苦しんできたわけであります。したがって、高村局長一人を責めても気の毒な話でございます。  しかしながら、第一義的には国に責任があるとはいえ、現に機関委任された東京都が、長い間国の意を受けて、ずさんな信用組合の監督をやってきたことは、これは責められなければならないと思います。  すなわち、東京都の労働経済局は、長年にわたってコスモ信用組合の粉飾決算を、平成四年から四年間にわたって、事実上、結果的に暗黙の指導をしてきたことであります。また、コスモ信用組合が放漫経営で破綻した事実を知りながら、昨年の九月の第三回定例会には、青島知事は、コスモ信用組合は二信組と違いまじめな地道な経営をやってきた、このような説明をして都議会を大混乱に陥れたのであります。  また、三番目には、昨年の一部業務停止命令の発生後の融資は、東京都が毅然とした対処をしなかったために生じたものであり、あたかもコスモ信用組合に非があったかのごとく説明するやり方は、まさに人の道に反すると思います。  さらに、告発はしません、告発はしません、あくまでもコスモが告訴するんです、このようにいったあげく、コスモ経営陣の東京都に対する猛烈な反発に遭い、まさに一寸の虫にも五分の魂といってもいいような反発に遭って、急転直下告発に切りかえざるを得なかった東京都の読みの甘さ、論理的矛盾、こうしたことは厳しく問われなければならないと思います。  まさに、東京都のこうした今日までの指導監督上の欠陥を改めない限り、同じような誤りを繰り返すわけであります。したがって、この構造的な瑕疵を断じて遮断する、そのような東京都の今後に向けての、二度とこのような過ちを起こさない、率直な総括、反省、そして、都民に明確に、私は都知事の立場として謝罪すべきであると思います。  知事の所見を伺います。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  ただいま、石井副委員長から、コスモ信用組合に係る都の指導監督上の問題や告発の問題等々、種々ご指摘がございました。  旧二信用組合に続きましてコスモ信用組合が経営破綻に陥りましたことは、これまで都において実効性のある指導監督をなし得なかったことがその要因の一つであるというふうに思うとき、深く反省をしているところでございます。  今後、信用組合の指導監督に当たりましては、議会との連携を密にしつつ、私自身も、また職員におきましても気を引き締めまして、適切かつ厳正な執行を行い、万全を期してまいりたいと考えております。 ◯石井委員 ただいま知事から陳謝がございましたけれども、また、先ほど自民党の立石議員からもお話がありましたが、こうした綱紀の緩みというのは、一労働経済局だけではなくて、監査すべき東京都の監査事務局が監査されるような状況に追い込まれるというようなことは、まさに頂門の一針として都庁全体の綱紀粛正をぜひとも図るべきであるし、また、それをチェックする私たち東京都議会もみずからを総括しなければならない、私はそのように思っているわけでございます。  ところで、二度とこのような信用組合の破綻を起こさない、その再発防止策、いわゆる行政責任をとるということは、どなたかお一人がおやめになればいいと、そのような問題ではないと思います。すなわち、トカゲのしっぽ切りではならないということであります。行政の責任をとるということは、将来に向けて二度と同じ誤りを繰り返さない決意、そして、そのための体制をつくることでございます。  さきに東京都は、信用組合の指導監督の基本方針をつくりました。しかしながら、その基本方針は、余りにも抽象的であり具体性に欠けております。この信用組合の指導方針のより一層具体的な指導要綱をつくり、そして、都議会に提示すべきであります。  また、二番目に、最も大事なことは、労働経済局の信用組合に対する監督体制を拡充するということであります。信用組合の担当の職員の皆さんも一生懸命やっていただいておりますけれども、この任には難しいわけであります。ほかのところでは優秀であるけれども、果たして信用組合の管理監督に向くか、こういうことがあるわけであります。したがって、この検査官というのは、実務に精通した、熟練のプロ級の専門職を置くべきであります。そして、その検査官というのは、東京都の二年ないしは三年ごとの人事異動のサイクルに乗せるのではなくて、あくまでも、腐敗とかそういうことが起こってはいけませんけれども、きちんと信用組合を監督できる、そのようなサイクルで、システムでこの体制をつくるべきだと思います。  さらに大切なことは、信用協同組合精神の教育徹底であります。すなわち、信用組合を規制、規則でがんじがらめに縛るのではなくて、あくまでも信用組合の自力、自助、自主性、そういうものを大事にしながら、町の貴重なコミュニティバンクとして育成できるような、そういう信用組合の精神の徹底が大事だと思います。  信用組合は、西洋のロバート・オーエンが提唱し、明治二十四年、品川弥二郎大臣のときにドイツのシュルツ式信用組合をモデルに、地方自治の信用組合として出発をしたわけであります。日本の信用組合の元祖は二宮尊徳であり、報徳社が信用組合の元祖であります。協同組合というのは、相互扶助、そして、道徳を重んじながら資本主義の行き過ぎを抑えながら、経営者も組合員も利用者も構成員も一緒になって組合運営をしていくというのが協同組合の精神であります。  こうした精神を信用協同組合に徹底をして、そして、町のコミュニティバンクとして、今一番大事な中小企業の皆さんやベンチャー企業に対する支援、また、地域のボランティアに対する支援、このようになくてはならないコミュニティバンクとして、この信用組合を育成していくべきだと思います。  こうした体制を整備することこそ、行政が責任をとることであると私は考えますけれども、労働経済局長、そして人事に関連しては総務局長に答弁を求めます。 ◯高村労働経済局長 信用組合の指導監督の任にある者といたしまして、将来に向けて二度と過ちを繰り返さないという決意のもとに、そのための体制整備等を行っていくことが、私ども都としての責任であるという認識を持っております。こうした立場から、さきに議会にご報告を申し上げました、信用組合の指導監督についての基本方針を策定したものであり、今後、この基本方針をいかに実効あるものとしていくかが大きな課題であると認識をいたしております。  このため、基本方針に基づく都独自の指導基準などを早急に策定し、それに基づいて、実効ある指導体制がとれる指導要領といったものを作成をいたしまして、都議会にご報告をしたいと考えております。また、既に五十の信用組合の理事長に対しましては、組合員のための組合であれと、私どもとともどもにこれからの信用組合のあり方についてお話を申し上げたところであります。  また、専門機関への職員の派遣研修や民間金融機関経験者の能力活用を図ることはもとより、指導監督に当たる職員の専門性を高め、資質の向上に資する方策について検討してまいります。  このようなことを通じて、都内の五十の信用組合が都民の信頼にこたえられる信用組合となりますよう、万全の努力をしてまいる覚悟であります。 ◯渡辺総務局長 信用組合に対します指導強化、都の重要な課題の一つと考えておりまして、これに係る人事制度面での仕組みづくりが必要であると考えております。  現在、特定の分野に精通する職員の専門的能力を生かすことにより、複雑化、専門化する職務に的確に対応していくことを目的といたします行政専門職制度を設けております。都におきましては、ほかにも類似する業務がございます。今後、これらも含め、専門職設置等について早急に検討してまいります。 ◯石井委員 それから、コスモ信用組合の職員に対する処遇についてでございますが、コスモ信用組合は本日をもって東京共同銀行に譲渡されます。しかしながら、これによって残っている九十人の職員が職を失うことになるわけであります。本来、旧経営陣がその自己責任の原則に基づいて、その職員についても処遇、対応すべきでありますが、今日までその破綻の原因の一つが東京都の指導監督にあったということにかんがみ、これまでまじめに働き、そして、むしろコスモ信用組合の犠牲になった職員に対して、東京共同銀行や都信協、さらに他の信用組合に再就職のあっせんをとるなど、最後の一人まで東京都が責任を持つべきであります。  見解を求めます。 ◯高村労働経済局長 コスモ信用組合には、昨年七月三十一日の段階で四百三十七人の職員がおりましたが、現在九十人余の職員が残っております。このうち、東京共同銀行に三十七名、都内の信用組合が十人、東京都信用組合協会に八人の採用が予定をされております。  なお、残る職員四十人につきましては、都信用組合協会の協力を得て、都内信用組合での就職の道を開くとともに、職業安定所におきましても、その雇用の確保に積極的に取り組んでまいります。 ◯石井委員 最後に申し上げます。  私たちは、あくまでも二百億円の支出には反対であります。したがって、この予算は凍結すべきだと訴えます。  それは、第一番目には、東京都みずからが背任で訴えた相手に対して二百億円を支出するということは、到底都民の理解を得られないからであります。  また、二番目には、信用組合の破綻の最終責任は都ではなく国であると金融制度調査会が報告を出したことであります。そして、間もなく金融関連三法案が国会で審議をされ、日本版RTCができるわけでありまして、大阪の木津信用組合もびた一文出さない、このようにいっているわけでありますから、大阪と連携をとりながらこの動きを見るべきであります。  さらに、コスモ信用組合、本日、東京共同銀行に譲渡されるわけでありますが、九割近くが不良債権になっているという状況を考えれば、二次損失は必至であります。  さきに知事は、二次損失の負担は東京都はしないといいましたけれども、それでは国がやるのか、預金保険機構がやるのか、日銀がやるのか、これは重大な問題点であります。したがって、こうした状況を考えるときに、今直ちに支出することは早計であると思います。このような観点から、私たちは凍結を主張いたします。  ただし、昨年の九月の定例会で、平成七年から平成十六年まで向こう十年間、二十億ずつ支出するということを議会の意思で──六十四対六十一という状況ではあれ、議会の意思で決めたことですから、その今年度の二十億円についても議会がこれを削除するということは地方自治法上できないわけであります。しかしながら、先日の都信協と東京都のこの協定によりますと、将来この毎年の二十億ずつは日本版RTCの中に移行していくんだと、このように書いているわけでございます。したがって、東京都議会がこれを削除することはできませんけれども、行政の長であり、または都民の皆さんの信託をいただく政治家としての青島知事が、政治判断として、平成七年度都信協に差し上げた二十億についてはご返上いただきたいという要請をすることはできるわけであります。また、その協定書の中には、八年度以降毎年支出を決めていく、最終的に平成十六年度に二百億円が決定すればいいと書かれているわけでございます。 ◯花川委員長 石井副委員長、時間です。 ◯石井委員 このような状況から、事実上の凍結をすることは可能であります。  以上、意見を申し述べまして、オーバーをいたしまして大変恐縮でございますが、質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ◯花川委員長 石井副委員長の関連質疑は終わりました。  土持正豊委員及び石井義修副委員長の発言は終わりました。      ───────────── ◯花川委員長 中山義活副委員長の発言を許します。 ◯中山委員 先ほど、トカゲのしっぽを切るような解決はいけないといったら、あちらの方で何といったと思います。頭を切れという話をしましたよ。  大体、国の方でも、予算を立てておいて大蔵大臣がやめたり、総理大臣が敵前逃亡みたいなやめ方をする、全く無責任ですよ。  今回の問題でも、本来であるなら、東京都は告発をしました、しかし、ああやって泰道三八氏に何回も何回も欺かれて、詐欺罪で告訴したっていいくらいですよ。そのくらい毅然とした態度でいかないと、東京都もあの乱脈経営に同じような責任をとられているんじゃないか、または責任を共有しているんじゃないか、粉飾決算の片棒をかついだんじゃないか、こういうふうに思われますよ。  我々議会だって、同じような責任を共有しているんだから困りますよ、そういうことじゃ。もっと毅然とした態度で取り組んでもらわない限り、我々は、平成八年度以降、コスモ関連の二十億円は支出を執行停止、要求しておきます。  さて、質問に入ります。  我々は、今回の予算で一番の聖域というのは、やはり防災だと思います。この間も、山梨で地震があったときに、梶山静六さんが慌てて首相官邸に駆けつけて、首相官邸の防災状況はどうだろうと、あの村山さんの失敗を繰り返しちゃいかぬということで頑張ったらしいんですが、いろいろやってみた。  さて、知事公邸も、今度十億円かけて直すという話を聞いていますが、そこにはどういう機能をつけて、防災のとき、どういうような機能をもって東京都民の命と財産を守るのか、まずお聞かせください。 ◯渡辺総務局長 知事は、大災害が発生した場合、直ちに都庁内の防災センターに駆けつけ、指揮をとることとなっております。  また、公館におきましても、その初動期などの情報収集や指揮をとることができるようにするため、新公館では地震に強い免震構造を採用した建物といたしますとともに、危機管理の観点から、防災行政無線やファクシミリ、CHTV回線を使用いたしました映像通信設備などを整備する予定となっております。 ◯中山(義)委員 東京都には皇居もあるし、いろいろ省庁がありますね。今、総理大臣の方も一生懸命防災のことをやっていると。いざ地震が起きたときに、首相官邸が主導権をとるのか、知事公邸が主導権をとるのか、どっちですか。 ◯渡辺総務局長 都の地域で、夜間、休日に震度五以上の地震が発生した場合、災害対策職員住宅に居住しております総務局の災害対策職員が直ちに都庁防災センターに参集いたしまして、警視庁、東京消防庁、自衛隊と情報交換を行うことといたしております。  同時に、区市町村など関係防災機関に対しまして被害状況等の報告を求めるなど、初動期の情報連絡体制をとりまして、知事にはこの旨報告し、適切な指示を仰ぐことになっております。  なお、夜間、休日に震度六以上の地震が発生した場合、知事も含め、全職員が自発的に本庁または事業所に参集することになっております。 ◯中山(義)委員 知事が主導権をとるという認識でよろしいんですね。  震度七以上の地震は、昨年、阪神大震災の教訓からいえば、人生観が変わるくらいすごい地震だった。青島知事が、腰抜かしちゃって、慌てて何にもできなかったというんじゃ、一千二百万都民が困っちゃうんですね。じゃ、地震の経験をしろといっても、まさか今、地震の経験するわけにいかない。しかし、東京都では防災センターというのがあるんですよ。  私は、この間、秘書を連れて防災センターへ行ってきて、震度七の地震を体験しました。まず知事、めがねかけていると、めがねなんか飛んじゃいますよ。その揺れ方といったらすごいんですよ。それから、何とかシアターというのがありまして、そこでめがねをかけると、電子レンジは飛んでくるわ、かわらは飛んでくるわ、いすの方も揺れを感じるんですね。まさに地震の真っただ中に自分がいるような体験ができるんです。そういう地震を体験をしてこそ、初めて自分が指揮ができると思いませんか。自分のとこにある施設に自分が行ってないで──困りますよ、そういうんじゃ。何で行かないんでしょう、防災センターに。  その意義をまず、消防総監殿、ここでちょっと説明してください。有意義だということをいってくださいね、しっかり。 ◯小宮消防総監 防災館は、都民の皆様に防災知識や防災行動力をより一層高めていただき、災害に強いまちづくりを目指しまして、現在、池袋、本所、立川にそれぞれ開設しております。  とりわけ、最も新しい本所防災館は、地震を体で体験できる3Dシアターや起震装置、また消火訓練、応急救護訓練、さらには暴風雨体験などができる施設であります。  これまで、多くの方々にご利用していただいており、都民の防災行動力の向上には大きく寄与しているものと考えております。  なお、平成八年度予算案には、渋谷地区における地震館の建設に向けまして、基本構想の調査研究費を計上しております。 ◯中山(義)委員 実際、体験しますと、実に私どもも、地震というのはやっぱり、そのときには自分で自分の身を守らなきゃいけない、まずとにかく自分の命を守らなきゃいけない、自分の命はみずから守るということがよくわかるんですね。  それと、あの地震の中では、異常な体験の中で異常な行動をしてしまうということがよくわかるんです。例えば、トラックの運転手さんは慌てて、普段の習慣で地震のときにキーを抜いたまま逃げちゃう。そうすると、車を置きっ放しにされて動かせない。それが障害物になるとか、火を消そうと思っても、あの震度七の中では火は消せないんですね。そのまま逃げちゃうとか、その画面の中で、それぞれ個人個人が、あのときの体験を通して地震の恐ろしさを語っている。あれは、女性が見たら大変恐ろしくて、気持ちが悪くなっちゃう方もいらっしゃるらしくて、そういう方はちゃんといってくれというくらい、すごい体験ができるわけですよ。  そういう面で、消防総監からぜひ青島知事にもう一度──防災館に行って地震体験をしてもらいたい、それでこそ知事公邸にいて地震の指揮がとれると私は確信するんですが、総監、いかがですか。 ◯小宮消防総監 昨年の四月二十六日、本所防災館は開館したわけでございますけれども、その節は青島知事に来ていただくという予定で、直前まで来る予定でございました。たまたま、急に知事、所用ができまして、副知事がお見えになったわけでございますけれども、できましたら体験していただければと、そう思っている次第でございます。 ◯中山(義)委員 それ、どっかで聞いたせりふで、「ゆりかもめ」のときも、直前まで来たんですけど行かれなかった、乗れなかったといってる。困るんですよ。  私は、初めからいろんな質問している。あの世界都市博が中止になったとき、臨海開発やるんだったら、臨海に何回行きましたかという質問をしているんですよ。それから、ホームレスの皆さんがいろいろあったですね、問題が。あのときも、まず山谷へ行って実態をごらんなさいと、私、質問したんですよ。それも行ってないでしょう。今度は、防災館へ行けと。中山のいうことを聞いていてよかったなと、後で思いますよ、本当に。(笑声)そういう面でも、私は、本当にためになることを──知事さんが、これから八年も十年もやるんだったら、私のいうことを聞いてりゃ間違いないですよ。ちゃんと実際にやってもらいたい。  実は、あそこにいる仁木大先輩が、何か百メートル先でアウトボクシングやってる、そういう感じがすると。それは、知事が答弁すごくうまくなった。しかし、やっぱり体で東京都を見てもらいたい、体で感じてもらいたい、私はそういうことを要望しているんです。  きょうは、アウトボクンシグじゃなくて、インサイドへ入ってレバーあたりをたたくように、かなり(「先に知事の答弁」と呼ぶ者あり)──そうですね、私だけ演説してもしようがない、知事のひとつ答弁を、防災に関しての認識を新たにお願いします。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  地震というような異常な体験をするということ、異常な立場に置かれた人間が、非常に落ちついて行動ができるかどうかということは大変に疑問に思われておりますし、私も自信はございません。  しかし、本所防災館につきまして、体験はいたしませんでしたが、他の起震車と申しますか、車の上に乗りまして地震を体験できるものに乗りまして、震度六までの経験をいたしましたが、まさに驚天動地と申しましょうか、みずからを失ってしまうような大変な体験でございました。あのぐらいの震度が、実際には阪神・淡路で起こったということでございますから、あの地域においでになって実際に体験なすった方は、大変な驚きを感じられたし、それを教訓といたしまして、震災対策に励まなきゃならぬというお気持ちになられたことと思います。  そのような短い間の体験でございましたが、より多くの都民がそういう体験ができる、あるいは防災について心がけを確認するという意味におきましても、防災館に参りましてさまざまの体験をすることは、私は大変重要なことだと思います。私も、昨年九月、直下型地震を想定した東京都総合防災訓練におきまして、消火訓練とか応急訓練など、人口呼吸のやり方なども──あれは大変体力が要るものでございますが、私も体験させていただきまして、皆さん方にもぜひ多くの体験を積んでいただき、地震の際にその能力を発揮していただきたいと思っているわけでございまして、ご指摘の件につきましては、早い機会に防災館を訪ねて、一層その力を体験したいと考えておる次第でございます。 ◯中山(義)委員 この問題については、一点要望を申し上げますが、職員さんも、何分間で東京都庁へ来れるかとか、いろんな訓練をされているようですが、やはり一番大切なのは、地震のときに自分がどんな行動をするんだろうと、自分自身で一回確かめておくことが必要なんですね。そうすれば、都民の皆さんが地震のときどんな行動をするかよくわかりますので、ぜひ一回、地震館もしくは防災センターには行ってもらいたい。これは要望でございます。  次に、財政再建についてご質問させてもらいます。  鈴木前都知事が入ってきたときには、もともと自分の公約が、財政再建、行政改革でした。ですから、恐らく東京都へ入って、腕まくりして、よし、とにかくリストラやるぞ、首を切るものは切るぞと、そういう覚悟でやってきたと思うんですね。そのときは、恐らく労働組合も相当な緊張感があったし、職員さんの中にも緊張感があったと思うんですね。首を切られるかもしれない。恐らく、我々でも、中小企業でも大企業でもそうですが、部長さんクラスが一番嫌なのは、自分の部下の首を切ることですよ。だから、正月のお話でも、知事さんが、皆さんの仲間になりたいというお話がありましたけど、やはりそれは好かれる方がいい、人間は。しかし、嫌われてもやるべきことをやるのが上に立った指導者だと思うんですね。  そういう面で、あの当時の鈴木前都知事の緊張感、東京都にぴんと張り詰めたものが、労働組合からすべてあったと思うんですね。そのころ、主計部にいた財務局長と主税局長、それぞれ、その当時の雰囲気をちょっと教えてください。ぴんと張り詰めた雰囲気で話をしてくれないと困りますから。 ◯西念財務局長 昭和五十四年、鈴木前知事が都知事に就任した当時、私は、財務局主計部財政課の副主幹をしておりました。財政再建に向かって、猛烈な勢いで走っていく先輩諸氏に追いついていくのが精いっぱいでございまして、都庁内の当時の状況を語るなどおこがましい限りでございますが、私なりの感想を述べさせていただきます。  確かに、当時の庁内は緊張した雰囲気に満ちておりました。それは、財政破綻が目の前に迫っているという危機感だったと思います。  昭和五十三年度の都財政は、事実上の倒産ラインでございます赤字限度額まであとわずか八十億円という膨大な実質収支の赤字に加え、年間収入だけではその年度の歳出を賄えず、翌年度の歳入を先食いするという形式収支の赤字まで出すという、もう、にっちもさっちもいかない状況にございました。  この逃げ場のない危機を打開するためには、できることは全部やるしかなかった、このような状況だと思います。事務事業の見直し、下水道料金など公営企業の料金の見直し、区市町村との役割分担や財政負担の見直しなど、都民や区市町村に率直に負担をお願いいたしました。そして、その前提として、退職手当など人件費の削減、一万人に及ぶ職員定数の削減など内部努力を実施させていただきました。当時、庁内に満ちていたあの緊張感をばねに、これらの改革を実行したのだと思います。  今日の都財政はといえば、経済環境の中で急激に悪化しているとはいえ、まだ、にっちもさっちもいかないという状況には至っておりません。前回の財政再建時と今回の庁内の雰囲気に違いがあるとすれば、財政危機の段階の違いが反映しているのではないかと思います。しかし、現状を放置しておけば、あるいは一時的な財源補てん策だけで当面を乗り切っていくならば、数年先には確実に破綻が訪れることになります。  人間は学習する動物だといわれております。都政も、二十年前のあの経験に学んで、破綻に瀕する前に都財政を健全化させていかなくてはなりません。そのための時間は、もうそう多くは残されていないと思います。  青島知事が、平成八年度予算を財政健全化元年予算と名づけられたのは、さあ、本気で始めようという私ども職員への檄だと、このように受けとめております。 ◯辰川主税局長 せっかくの機会でございます。美濃部都政の末期から鈴木都政の半ば過ぎまで、都合十四年間、財政戦争、財政再建に文字どおり狂奔してまいりました経験を踏まえまして、三点感想を申し上げます。  まず第一に、当時の危機感たるや、執行機関、議決機関を問わず、大変なものがあったと思います。それは、決算上も巨額な赤字がございまして、財政再建団体への転落が目前に迫っていたこと、当時はベア率が高く、人件費など義務的経費が財政を強く圧迫して、嫌でも政策的経費を削らざるを得ない状況にあったことなど、客観情勢の厳しさを反映していたことはいうまでもございません。  したがいまして、上司はもとより、都議会からも次々と荒療治を求められました。これを、今日も残る傷を受けながらも実行できたのは、それが悠久の都政のためだという我々の確信を、そうした厳しい危機意識のもとで、上司や都議会の皆様が強力に支持してくださったおかげだと感謝いたしております。  第二に、その対応がきちんと手順を踏んで、戦略的に、しかも、歳入歳出両面にわたりましてバランスよく行われたという印象が強く残っております。  ご案内のとおり、前知事は、就任後直ちに財政再建委員会を組織いたしまして、過去の財政運営を総点検して都財政悪化の要因を正確に分析した上、それぞれに的確な処方せんを書いてもらい、これを着実に実行するという手法をとられました。  中でも、人件費とか公営企業会計繰出金といった財政支出の大きな塊に目をつけ、それに焦点を絞る、そして一方では、みずから受益者負担の適正化を図るとともに、いわゆる内部努力で実績を上げることで国から税財政制度の改善を引き出すというふうに、入ると出るを合わせた総合的、戦略的な取り組みが行われたことが大きな特徴であったように思います。  最後に、もう一つ印象に残っていることを申し上げますと、前知事は常々、財政再建はあくまでマイタウン東京構想を実現するための手段であって、それ自体が目的ではないとおっしゃっておりました。  財政至上主義ではなく、財政がそのときどきに担うべき機能、役割といったものを考えるのが正しい財政運営のあり方だという教訓を得たように思っております。 ◯中山(義)委員 要するに、何を切って何をやるかというような、ある意味では選択だと思うんですね。ただ財政を縮小していくということが目的でないことは、十分にわかっています。しかし、例えば十億円だとかなんだとかと、いろいろのが出てくる、それを総論として出してきても議会が認められないというのは、やっぱりそちらの理事者側にも緊張感がないということがあると思うんですね。本当に緊迫しているんだというような財政事情をもっと真剣に説明するという態度が、上に立った人にないということが絶対あると思いますよ。美濃部さんから鈴木さん、やっぱり頭がかわったんじゃないですか。  鈴木さんから今度、青島さんにかわった。頭がかわってきたんですよ、そうやってね。だから、指導者がかわることによって財政問題についても考え方が変わる。しかし、そこには、ただ職員さんに仲間にしてくれというんじゃなくて、おれは切るものは切るぞと、しかし、やるものはやるというはっきりした提案がなければ、やっぱりそういう緊張感が我々にも伝わってこない。これは切りますけれども、もっといい高齢化社会に対する施策があるんですというものが提示されれば、我々だって、敬老金に対する考えだって変わるんですよ。やっぱり、ちゃんとした見えたものがないから、我々も反対せざるを得ないということが出てきたり、いろんなことがある。そういう面で、我々は、切るものは何なのか、これからやるべきものは何なのかと。  それから、もっと局を横断的にやってもらわなきゃならないものが随分あると思うんですね。私は、たまたま総務委員会にいますが、総務局で私学の問題をやっている。しかし、都立の高校と私学の問題、一緒に考えなきゃいけないと思うんですよね。よく都立の方でも、個性ある教育だ、何だかんだいってるけれども、そんなのは、私学の方は何十年も前に建学の精神を大変強く訴えて、個性的な教育をやってるわけですよ。そういうものも両方加味して、高校だったら高校を都立も含めて考えていくとか、または小さな幼稚園の場合だったらば、幼稚園、それから保育園、それも私学と公立とあるわけですね、そういうものを全体、局を横断してもっと考えていかなきゃいけないと思うんですが、財務局長、その辺はどうですか。 ◯西念財務局長 都財政を今日の深刻な状況から脱却させるためには、何よりもまず、総量として歳出を厳しく抑制することが不可欠でございます。このため、各種の事務事業について、今ご指摘いただきましたように、制度面にまで踏み込んだ思い切った見直しや、共通する分野において施策の統合化や再構築を図るなど、施策全般にわたり徹底した見直しを行う必要がある、このように考えます。
    ◯中山(義)委員 改革推進本部とか、いろいろ今新しい組織をつくってやろうとしていますが、そこの組織というのは、そういう制度面まで踏み込んでいるんだと思うんですね。私は、地方分権という問題も、当然、財政改革または行政改革、そういうものと財政再建とは全部関連していると思うんです。そういう面で、私どもは、都道府県の府県の事務と区市町村の事務と、そろそろ事務分担についても、しっかり知事部局の考え方としてなければおかしいと思うんですね。やはり、青島知事の顔が見えてこないというのは、知事の考え方が、知事の言動からそういうところが見えてこない。本来、府県の事務はこれなんだと、本来、区市町村の事務はこういうものだというところが見えてこないんですが、その辺、知事の考え方を示してください。 ◯青島知事 お答えいたします。  地方分権を推進するに当たりましては、地域の実態に即した住民サービスが提供できますよう、住民に身近な事務は区市町村が担い、区市町村を包括する広域的な事業は都が担うということが基本であると考えております。  こうした観点から、今回の行政改革に当たりましては、区市町村と十分協議をしながら事務事業の移管等を進めていく考えでございまして、また、その際、区市町村に対する必要な財政措置を講じるとともに、補助金など財政補完のあり方につきましても見直しを図ってまいりたいと考えております。 ◯中山(義)委員 よく臨海の問題で、臨海で何千億も使うよりも敬老金の問題とか、そういう比較になりますね。または、よく国の問題でも、自衛隊の戦闘機何機かつくらなければ学校が幾つか建つというような、そういう比較の問題がある。僕は、そういうような比較というのは、全然領域が違うと思うんですね。やっぱり、同じ福祉なら福祉の中で何にシフトしていったらいいかとか、例えば子供の保育園やなんかのことについても、それを効率的にどういうふうにやったらいいかというような論議でないと、僕はおかしいと思うんですね。むしろ、そういう大きなものと小さなものを分けるのだったら、これは地方分権の中で、これは広域的な行政だから府県の事務、これは区市町村の事務、そういう分け方だと思うんです。  そういう面で、臨海副都心の開発なんかも、実はこれは非常に広域的な行政である、本来、東京都がやるべき一番得意な分野であると、私はこういうふうに思うんですね。しかし、それでも臨海副都心だけを考えてはいけないよと、東京港全体を考えた中で臨海がどういうふうにあるべきかというような論点からいかなければいけないと思うんですね。  そこで、東京港について質問しますが、植野副知事があるときに書いた論文の中に、私、こういうのがちょっと記憶にあるんです。ハブポート、それからメーンポート、フィーダーポート、そういう位置づけをしていて、東京都はこういう港なんだということを説明されているんですが、よく意味合いがわからないんですが、東京港というのはどういうような位置づけの港なのか、また、三千五百万都市圏の物流基地としてどういう港がいいのか、その辺の見解をまず示していただきたいと思います。 ◯石川港湾局長 東京港は、外国貿易におきます大型コンテナ船が直接寄港するメーンポートでありまして、東京圏三千二百万人の生活と産業活動を支えます大都市生活港湾として重要な役割を果たしております。  仮に、東京港がメーンポートの地位を失いましてフィーダーポートとなった場合、積みかえ港での荷役料金、保管料金などのコスト増や輸送期間の長期化によりまして、東京のみならず、東京圏全体の人々の生活や経済の活力にとってマイナスの影響が懸念されるものと考えております。 ◯中山(義)委員 昔、大英帝国のロンドン港というのは、だんだんテムズ川の奥に入っていって、今は、本当に世界の海をまたにかけたあのイギリスが、ロンドン港の荒廃によって貿易が全然できなくなっちゃったというような記事があるとき出ていました。  そういう面では、東京港がもしその機能を失ってくれば、アジアの中での東京とか、世界の中での東京とか、そういう面でも大変困ると思うんですね。そういう面で、果たして東京港は、今、局長がいったようなメーンポートとして、ちゃんとこれから立脚できるのか、果たして立ち行くことができるのか、または、今の東京港では、将来、港としてフィーダーポートになっちゃいますよというような状況なのか、その辺はどうなんでしょうか。 ◯石川港湾局長 東京港を、国際競争力を確保いたしましてメーンポートの地位を堅持していくためには、何といいましてもコンテナ船の大型化に対応できる大水深の岸壁と広いヤードを備えました外貿コンテナターミナルを整備充実していくことが欠かせないことだと考えております。  このために、現在、青海ふ頭に、水深が十五メートル、延長三百五十メートルのコンテナバースを一バース増設中でありますが、五月に使用開始する予定でございます。  また、既存の大井コンテナふ頭につきましては、水深を十三メートルから十五メートルに増深するなど、再整備計画に基づきまして、八年度から事業に着手する予定になっております。  さらに、長期的には、平成六年七月に東京都港湾審議会から答申のございました東京港の長期構想におきまして、中央防波堤外側埋立地や新海面処分場に大型コンテナターミナルを整備することとされておりまして、今後、順次、港湾計画に位置づけいたしまして、東京港をメーンポートとして確保するように努力をしてまいりたいと思っております。 ◯中山(義)委員 今、そういうお話がありましたけれども、どんどんどんどん港に船が入ってくると、コンテナは、輸入というか、そういうものは日本一だという話だと思うのですけれども、しかし、コンテナが入ってきて、それを物流基地として受けても、非常に道路が問題があると思うのです。こういうような、ただ港だけよくしていく、しかし、港湾設備の後背地である道路とか、それから臨海部ですね、今の臨海副都心の、この辺についてはどういうような、後背地として何を考えているのか。よくフリー・トレード・ゾーンであるとか、いろいろなことを考えたり、または国際展示場につなげて、外国から来たものをすぐ展示して、何か見本市をやるとかいろいろなことがありますね。そういう機能的なことから考えて、臨海副都心というのはこの東京港とどういう関係にあるんでしょうか、それと道路のことも。 ◯石川港湾局長 お答えいたします。  東京港は、国際貿易港として、我が国経済と世界経済を結ぶ重要な物流拠点の役割を果たしております。  臨海副都心は、委員ご案内のとおり、東京港に隣接しているため、東京港の物流機能と一体となった国際貿易ゾーンを整備することによりまして、その業務・商業機能をさらに高めることが可能だろうと思います。あるいは、羽田、成田の軸上にあるということで、非常に位置的に好位置にございます。そうしたことから見ますと、いわゆる物流機能、港湾機能あるいは空港機能、そうしたものを充実をしていくことが臨海副都心の発展に寄与するものだろう。いうならば、相乗的に施策をやっていくということだろうと思います。 ◯中山(義)委員 つまり、港が非常に機能的によくなっていくということは、ある意味では臨海副都心のあの立地を上げていくわけですね。いわゆる付加価値を上げていくことだと思うのですね。これで、例えば羽田空港が国際化するとか、二十四時間営業できるとか、またはハブ空港化するとか、いろいろな形があればなおさらよくなってくると思うのですね。ただ、心配なのは、やはり道路だと思うのですね。今、ナビゲーターを使って、少しでも渋滞をなくしたり、または横断する道路をさらに充実させていくというようなことで、経済的に、もう一度東京の経済の活力が戻ってくるというような施策の中で、臨海ということを考えてくれば、当然、臨海部はどうしたらいいかということがだんだん見えてくると思うのですね。私は、臨海副都心の懇談会のいろいろなご意見もよく読ましてもらいますが、相変わらず森林公園だ何だという意見が出てくる。  私、一つ、これは「都政新報」かな、これは間違いだと思うのですよ、はっきりいって。青島都知事を応援する会の事務局長というのが書いていて、巨大な都市に大公園なんて書いてあるんですが、臨海見直しで発想の転換をと、これは、この人が勝手に青島知事を応援しているんだと思うのですけれども、やはりこういう問題が出てくるたびに、我々はいつも、また港湾局長と知事の意見が違うんじゃないかとか──この間NHKで見ていましたら、いろいろな人のところに、会派の名前まで出てきたり、そういう人たちの代表者みたいな人が出てきたり、何か港湾局長とやり合っていて、港湾局長ばかり悪者になっているようなあれですよ、どっちかといえば。そんな感じでなっているけれども、やはり僕らは、考えているのは、東京都は、今いったように、港、それから空港、道路、こうして考えたときに、あそこはどうすべきかということはおのずと出てくると思うのですね。そういう面で、まだ森林公園なんというあれがどんどんこうやって新聞に出てくるとなると困るんですが、その辺、港湾局長、どうでしょうか。(「局長じゃない、知事に答えさせろ」と呼ぶ者あり)いや、両方に答えてもらう。今、知事の答えと港湾局長の答えが同じであるという確信をここで持ちたいと思いまして、まず、石川港湾局長から。 ◯石川港湾局長 臨海副都心の開発につきましては、私、何回もこの場でも答弁をしているとおり、開発目標を踏まえてこれからの検討をし、かつ継続的に事業をする。かつ、従来東京都が数年にわたってこの事業をやってきました行政責任というものをきちっと認識をして事業をやっていくというのが私の見解でございます。  それから、緑につきましては、私は、この臨海部全体、二千七百ヘクタールの中ではかなり緑については配置をされていると思いますし、今後もそうした余地が十分あると思いますので、何も四百四十八ヘクタールという臨海副都心の地域だけで議論をするべきではない、二千七百ヘクタール全体の中で緑の問題については考えていくべきだというふうに私は認識をしております。 ◯青島知事 ただいま港湾局長が答弁申し上げましたが、私と同感でございまして、これまで再三お示ししましたように、臨海副都心の開発に当たりましては、今までの投資をむだにすることなく、現行の開発目標を踏まえまして、魅力ある副都心として開発を継続実施していくというのが私の考えでございまして、この開発は、業務、居住のほか、都民が集い、憩うなど、さまざまな都市機能を導入いたしまして、バランスのとれた理想的な都市づくりを目指してまいりたいと考えております。したがいまして、一つの機能に偏った開発は、現行の開発目標とは合致しないのではないかと思います。  いずれにいたしましても、現在、臨海副都心開発懇談会で、開発目標を踏まえ議論が進められているところでございますので、その結論を待ちたいと考えております。 ◯中山(義)委員 まさに知事のいうようにバランスのとれた都市ですよね。二六%以上の公園がちゃんとあるわけですから、周りは、今八百ヘクタールから千二百ヘクタールの緑の公園をつくろうということで、東京港全体にグリーンベルトをつくって、いろいろな意味での、健康とか環境とか、そういうものも考えているわけですよ。私は、そういう面でバランスのとれた都市をつくってもらいたいし、これから二十年先、三十年先、我々の子供や孫にも、東京が世界の冠たる誇れる都市であるように、やはり将来的な機能も持ってもらいたい、活力のある東京であってもらいたい、私はこういうふうに思うので、将来の東京港、それから羽田空港、そして道路、こんなこともあわせてお願いをしておきたいと思います。  次に、中小企業を初めベンチャー企業に対する支援についてご質問させていただきたいんですが、この間、産経新聞に出ていたんですが、ベンチャーと金融機関の出会いを後押しするということで、これは通産省がやっているんですね。私は、労経局の方で──東京都の、そういうベンチャー企業の人たちはうんといると思うのですよ。もうちょっと──東京都もちょっと冷たいんじゃないですかね。こういうベンチャー企業の皆さんにいろいろ後押しをしてもらいたいし、彼らが一番必要なのはやはりお金なんですね。投資家ともっとお見合いをさせるとか、今回、国際展示場みたいなものがありますね、ああいうものを利用してベンチャー企業の発展に努めてもらいたい。特に、ベンチャー企業というと、ハイテク産業だとかこういうことに目が移りますね。しかし、そうじゃないんですよ。今のベンチャー企業というのはむしろサービス業なんですね。例えば、糖尿の方に宅配でお食事をサービスするとか、お年寄りの方に、やわらかい、余り歯に負担のかからないものをサービスするとか、または肝臓が悪い人にこういう食事がいいとか、またはお子さんとか、いろいろなサービス業があるわけですね。そういう面で私どもは、いろいろなサービス業に、ベンチャーの才がありということで、いろいろな形で、やはりサービス業も範疇に入れてやったらいかがかと思うのですが、まず局長に答弁を。 ◯高村労働経済局長 先生ご指摘のように、ベンチャー企業というとすぐにハイテク産業と、こういう印象があるわけでございますけれども、やはり、あらゆる分野で新しい可能性をそこに見つけ、そこに新たな企業をつくっていこうとする、そういう意欲を持った方々が、私どもはこれからの都の産業を担う方々だと思いますし、そういう方々に対する支援策というものを、融資の面であれ、あるいは新たな事業を起こす場であれ、そういうところで全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。 ◯中山(義)委員 私どもも、たまたま自分のところで体操なんか教えているんですけれども、やはり今までは家庭教師なんかはいろいろな産業があるんですけれども、その中でも、体操専門であるとか、運動専門であるとか、水泳専門であるとか、またはダンスの指導なんか──今、「Shall we ダンス?」か何かで映画ではやってきて、ダンスをお宅に教えに行くとか、いろいろなサービス業があるんですね。それは、介護もそうですよ。それから、いろいろな形で新しいサービス業というのはこれから出てくると思うのですね。そういう面の色分けとか、新しい産業をこうやって労経局でいろいろ色分けしたり、探したり、そんなことはしていないんですか。インターネットや何かでそういうふうに出せば、恐らく来ると思うのですね。その辺どうですか。コスモでお忙しいでしょうけれども、ちょっと。 ◯高村労働経済局長 こうした新たな事業に取りかかろうとする、あるいはまた現に企業を経営していらっしゃる方々にとりましても、企業経営に関する情報というのは非常に大きな財産であろうというふうに感じております。そういう意味で、現在、私どもがみずから持っておりますそういった情報、これをパソコンに入れ、さらにはこれを「マイネット東京」あるいは中小企業振興公社が持っているものとさらに統合していく、こういう形でより広い利用ができるように、私どもは今後もそういう方面で取り組んでまいりたい、このように考えております。 ◯中山(義)委員 これ、三月十八日に、ベンチャー企業と投資家たちの出会いの広場。私たちはよく、例えば銀行とベンチャー企業と会わせていくというのは、これはちょっと問題があると思うのですね。やはりベンチャー企業というのは当たり外れがあって、実際、お金を貸しても、それが不良債権になる可能性があると。しかし、投資家というか、そういうものに投資をしてみようという種類の方もいらっしゃると思うのですね。そういう方、要するにベンチャー企業に投資をしようという起業者であるとか、そういう人たちは、今のその探そうという相手にはいませんか。そういう人とそういう人を引き会わせよう。つまり、結婚であれば、こっちに男の人がいるんだけれども、男の人だけじゃどうしようもないわけですよ、相手もいなきゃしようがない。両方探さなきゃしようがない。お金を出してやろうという人と、実にいいサービス業をやろうという人、このアイデアを持っている人、両方が会わなきゃしようがないわけでしょう。その辺はどうでしょうか。 ◯高村労働経済局長 やはり新たに企業を起こそうという場合に、先立つものはまず資金でございます。そして、その資金はまさに投資、投資家という形で限定しなくてもよろしいんでありますけれども、融資よりも投資である。また、そういった将来有望な企業を見つけ出してそこに投資をし、大きく育てていこうとする方々も一面いらっしゃるわけでございます。私どもは、融資制度は持っておりますけれども、単にそれにとどまらず、こうした新たな企業と、それから、有望な投資先を見つけてそれを育てようする投資家、これらの人々の結びつけというものも大切なことであろうというふうに考えておるところでございます。  そうした意味では、今後、例えば東京国際展示場という非常に大きな新しい施設ができました。そういうようなところで、新たなベンチャー企業を志す方々が自分のお考えをそこであらわし、それに、それを有望だと感ずるような投資家との出会いの場というようなものが、これから大いにそうしたところを利用していただけるものというふうに考えております。 ◯中山(義)委員 中小企業はお金もないし、また、新しいいろいろなアイデアで物を考えている方たちもいるので、なるべくうまく接点を設けて、お金を出したい人と新しいアイデアを持っている人、うまく結びつけば、いい仕事ができますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  それでは、もう一つ、我が会派ではずっとテーマにしております淫行処罰規定のことについてちょっとご質問をさせていただきますが、これは相当多くの陳情者が来ておりまして、私どももその対応を、一件一件随分お話を聞いて、大変深刻な問題を投げかけられているというふうにとっています。大変重く受けとめています。そのときに、今回、これからその陳情を、恐らく所管の委員会で採択をしたり何か、またはいろいろ採決までいって、そこでいろいろな論議がされて、結果的に採択をされたとします。それで議会の意思が出たと。議会の意思は、淫行処罰規定を盛り込むんだというようなことになったときに、知事が諮問したと。諮問の答えは、淫行処罰規定は盛り込む必要がないと出てきたときに、議会の意思と知事の諮問した意思と違った場合は、これはどうしますか、知事。 ◯青島知事 お答えいたします。  淫行処罰規定につきましては、議会におけるご議論や、青少年問題協議会における審議の結果を受けまして、双方にらみ合わせて判断をさせていただきたいと、かように考えております。 ◯中山(義)委員 それは、知事、それが百メートル離れてボクシングやっているということなんですよ。やはり仁木大先輩がいっているのは、近くでもっと接近戦をやりたいと、じっくり知事の考え方を聞きたいと。つまり、知事が青少年育成条例、つまり子供たちをどうやって正しく導いていくかということをどのように考えているか、そういう意見を聞きたいと。そういう理念をやはりまずお話をされて、だから私はやらないとかやるとかといってくれないと、答弁がちょっとうま過ぎて、わからないです。この「都政新報」にも載っていましたよ。最近知事はすごい答弁がうまくなったと書いてあるんです、これに。何かコラムに書いてありましたよ。すごく答弁がうまい、しかし、むなしさもあると書いてありますよ、余りうまくなり過ぎて。だから、やはりボクシングやるにしたって、やはりロープまで詰まっても、しっかり相手を打ち返すぐらいの気迫があっていいんですよ。私なんかどこ打たれたって平気ですから、ばんばんやってくださいよ。もうちょっとしっかりした答弁してくれないと困るんですね。これだとそれで終わっちゃうじゃないですか。まだ六分ある。これから質問しますよ。  実は、私どもいろいろあるんです。例えば、子供たちというのは僕は不完全だと思うのですね。大人は完全でも、子供は不完全だと思う。例えばこういう問題がある。これはちょっと教育長に質問をしたいと思うのですね。(「だれが完全なの」と呼ぶ者あり)いや、大人は完全とはいいませんよ。子供の方が──大人の方がより完全だと思いますよ、教育受けているんだから。  例えばバイクなんかありますね。これは三ない運動というのをやっているところがあるんですよ。例えば、バイクは買わない、乗せない、乗らないかな、これをやることによって、例えばバイクでけがして──僕はいろいろ警察のあれも聞きましたけれども、やはり十八歳以下で青少年が死んでいるケースは随分多いんですよ。バイクって無防備ですからね。そういう面では、やはり学校が乗せないとか、免許取らせないとか、そういうのが一番早いと思うのですが、やはりそういう規則でやることがいいか悪いか……(発言する者あり)いや、ちょっと待ってくださいよ。一応聞くんだよ、これから。教育長、教育長に聞きたいんだ、おれは。 ◯市川教育長 お話の、バイクに乗せない、要するに免許を取得しない、車を持たない、運転しないというような三ない運動、さらには最近は、これに、乗せてもらわないとか、買いたいという要求に負けないとか、いろいろ運動があるようでございますが、私どもとしては、一般的にそういった危険な、暴走族にもつながるような運転の仕方、あるいは交通規則を守るといった、交通道徳を守るといったような面からは、十分学校を通して生徒を指導していくというようなことは、毎期休みのたびとか、新学期が始まるときとか、そういうときに実際に実施しております。 ◯中山(義)委員 それでは、今度ちょっと学校から出まして、日ごろ電信柱に看板がいろいろついていますが──生文局長、お待たせしました、そちらの方へちょっと。  生文局長、よく電信柱にとんでもない看板が立っていますね。私ども見るに耐えかねるような看板ですよ、はっきりいって。私らはそういう看板を見て、それがテレビや何かで聞くと、十四歳ぐらいの子だとか、中学生が、四人に一人とか、うっかりすると三人に一人ぐらいは電話を一回かけているというんですね。社会がそういうことを認めちゃっていると思うのですね、ある意味では。ああいうやつだって、看板だって、社会が絶対認めないという、強い姿勢を東京都がやはり見せる必要があると思うのですけれども、ああいうものに対して敢然と立ち向かう気持ちを、局長、ひとつ何かの形で見せてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ◯小久保生活文化局長 いわゆるテレクラなどの風俗産業の看板あるいはビラ等につきましては、青少年の健全育成上、おっしゃるとおり好ましくないというふうに私も当然のことながら考えております。  現在、街路樹等に取りつけられておりますものにつきましては道路管理者、電柱等については例えば東京電力、電話ボックス等についてはNTT、そうしたおのおのの管理者がその権限で撤去をしているわけでございますけれども、その際、地域の住民やあるいは区市町村がそれに協力をしているというのが例としてたくさんございます。私どもといたしましては、こうした地域の住民の方々の運動に対します支援を一生懸命やっていきたいというふうに思っております。 ◯中山(義)委員 いや、非常に今、いろいろやっているというような感じでいっているんですけれども、実際問題として何も、例えば処罰規定一つ盛り込めないということは、罰則がないわけですよね、なかなかはっきりとした。だから、結局やり得というような感じになってしまう。  本当に我々ショックですよ。十四、十三とかそんな感じですね、あれ、テレビ見ていると。顔は確かに消してありますけれども、セーラー服の感じからいったって、本当に小さな子供ですよ。そういう子供を食い物にしている業者がいるんですよ、現実に。そういうところを断たなきゃだめだと思うのですね。私は、そういう面ではやはり厳しい態度で臨んでもらいたい、こういうふうに思うわけです。  我が会派は、先ほどのエイズの問題もありました。ああいう世の中の不正は絶対許さない。特に金融問題、コスモも住専も二信組も、悪いことは絶対許さないというのが、我々新進党の考え方で、友党とも一生懸命やっていきますし、世の中の不正は許さないというのが考え方ですから、知事、この淫行処罰規定についても真剣に取り組んでもらいたい。  ちょうど時間終わりました。終わります。(拍手) ◯花川委員長 中山義活副委員長の発言は終わりました。 ◯花川委員長 藤田十四三委員の発言を許します。    〔委員長退席、塚原副委員長着席〕 ◯藤田委員 知事が示した「とうきょうプラン’95」と平成八年度予算案は、今後の青島都政の方向を検証する上で重要だと認識をいたしておりますので、「とうきょうプラン’95」と財政の立て直しについて、今までの論議の中で積み残しになっていることに絞り込んで、何点かお尋ねをいたします。  第一に、「とうきょうプラン’95」についてでありますが、提案者である知事にまず伺います。「とうきょうプラン’95」で、これがいわゆる青島カラーだといえる主なものをお示し願いたい。 ◯青島知事 お答えいたします。  「とうきょうプラン’95」は、生活者の視点に立ってというのを基本にしておりまして、豊かでゆとりのある生活を実現していくことを基本理念としております。生活都市東京の創造を目指す各種の施策を体系的に示したものでございまして、平成八年度予算におきましても、限られた財源を重点的、効率的に配分いたしまして、「とうきょうプラン’95」を一〇〇%予算化することに専念をいたしました。特に、高齢社会への備えと震災対策の推進に力を入れたほか、産業の振興や児童福祉、市民活動などにつきましても、新しい工夫や試みを加えまして、さらに、都民の生活を守り、支え、豊かにするという生活都市東京にとって大切な平和への願いにつきましても、計画や予算に具体化したところでございます。 ◯藤田委員 基本は、生活者の視点に立った生活都市東京の創造だと。重点施策は、平和、福祉、防災、こういう知事答弁がございましたので、私の質問通告のその他というのは防災を予定しているんですが、時間の関係で防災まで行けるかどうかわかりませんが、四点について順次お聞きをいたします。  まず、生活者たる都民とはどういう都民を指すのか。これは「プラン’95」を一貫して流れる土台部分でございますので、生活者の概念を説明願いたい。 ◯佐々木企画審議室長 「とうきょうプラン’95」の中でお示ししました生活者とは、日常生活の中でゆとりと豊かさを求める都民であり、ある場合には、環境問題、地域福祉などの社会的課題の解決に向かって自主的、自立的に行動する都民であり、さらにある場合には、社会、経済のあり方や行政の仕組みについて積極的に問題提起を行うなど、参加し、提案する都民でございます。 ◯藤田委員 身近な暮らしを重視することに限定せず、求める都民、行動する都民、提案する都民が生活者だと、三つぞろえでなければだめだとはいわないが、シングルでもよいといっているわけではない、こういう答弁なんです。随分敷居の高い話なんですね。私だって生活者の仲間入りできるかどうか自信がないんです。察するに、憎まれ口をきいて恐縮なんですが、知事が生活者といい出したと。企画審議室が汗をかいて、理屈をこさえて、走って、一生懸命後を追ったという構図だから、答弁は理詰めだが、聞けば聞くほど抽象的になるということだろうと思うのです。  しかし、私は、生活者の視点に共感できます。生活都市東京も、庶民派知事らしい発想で好感が持てます。支持し、応援したいと思うから口を出したくなるのであります。  そこで、今の理屈の多い答弁に、全く私のささやかな実践をご披露申し上げるようで恐縮ですけれども、重ねてみました。  私は、医療生協を三十年やっております。職員五十名、組合員一万世帯、院・所三、ちっぽけなものですから、ご披露申し上げるようなことはないんですが、一階は外来で、都庁でいえば事業局部門です。二階は事務で、さしずめ企画、総務、財務などの官房局でしょう。三階はホール、これは都民ホール、タウンミーティング。したがって、診療所が小さな都庁というふうにまずお考えいただきたいんですけれども、この三階は大衆の笑いが絶えません。のぞくと、添加物を入れないみそづくり、廃油を利用した無公害石けん、糖尿病など慢性患者の料理教室、小児科のおちびさんを集めたスイカ割りなどやっているわけです。楽しいから人も寄る。そこにねらいをつけて、学びながら交流する仕組みを職員が提案をいたします。  すなわち、当生協でいえば中期計画ですけれども、都政でいえば、まさに「プラン’95」に基づいて社会保障学校とか保健大学とか介護教室などが提案されているわけです。保健大学というふうにいいましても、医学書をひもとくような難しい話をしているわけではありません。医者、看護婦などのメディカルスタッフと組合員大衆が喜怒哀楽を共有し合って、体のこと、病気のこと、健康のことを学び合っております。がん、高脂血症、ぼけ、骨粗鬆症、身に覚えがありますから、長生きしたいと思っておりますから、真剣になるわけです。社保学校でも理詰めでやっているわけではありません。身障者やお年寄りに車いすを贈りたいね、などという話が出る。缶つぶしをやって金をつくってやろうやということになる。その取り組みの中で、リサイクルやボランティアが実感されます。車いすに乗って町に出てみます。身障者は大変だということが実感されて、福祉のまちづくりの意味がわかるのであります。荒川区と北区にまたがって百人を超える高齢者の在宅療養をサポートしていますから、そこで、介護教室で両方の区の福祉の仕組みを調べようということになる。地域福祉計画の重みが、きちんととらえ返されるわけであります。  この積み重ねの中で、昨年暮れ、自治体要請をしようということで、アンケートも要請事項も、職員と組合員が共同作業で仕上げて、東京都に来ました。知事も会われたですね。みんな生き生きとしておったと思うんです。非常につたない、ちっぽけな、ご披露するような実践ではありませんけれども、企画審議室長が答弁された生活者、すなわち求める都民、行動する都民、提案する都民というのは、私のささやかな実験で、あるいは実践を重ねると、こういうことになるんじゃないでしょうか。  いま一つ、私は年四回、議会報告をやっております。今度もやります。多分テーマは、老人福祉と青島都政。手なれたプロの区議会議員が司会でとうとうとやる。どっちが主役かわからない。しかし、私の話ともども余り受けないし、集まらない。社会保障学校の公開講座、対都要請についてなどと、テーマはぶっきらぼうであります。司会も、人前でしゃべるのは初めてなどという組合員のお母さんや、受付の職員が顔を赤くしてやっています。しかし受ける、人も集まる。なぜでしょう。都政報告は、大衆にとって彼らの報告なのであります。社会保障講座は、まさに大衆にとって我らの報告であり、自分たちの確認だからであります。生活者の視点に立つ東京の創造というのは賛成ですし、応援したいと思いますが、しかし、都民にとって「とうきょうプラン’95」が、彼らの計画では、わっとこないということを押さえるべきだと私は思うんです。我らの計画にしなければならないというのが私の提案です。  では、どうするのか。私はささやかな実践の中で問題提起をしました。今度は知事、あなたがみずからの施策の中で答える番です。私はそういいたい。あえてここで答弁は求めませんが、提案者たる青島知事は当然のこと、私の前に並ぶ都庁幹部の皆さんが、今後の一切の都政運営の中で、総力を結集してよい回答を出されるよう心から期待をし、強く要望しておきたいと思います。  次に平和。久方ぶりに知事の施政方針演説の頭の方で、平和と民主主義という言葉を聞きました。「プラン’95」十項目の政策課題に、文化と平和という項目が出てきた。都の実施計画の中で最も大きな政策課題の柱の一つに平和を据えたということは評価できます。私は予算特別委員会で、横田基地問題とか在日外国人の人権問題、この質問に対して、知事ですから、方々気配りをしつつですけれども、知事は誠実に答弁をしておられた。これをかいま見て、平和というのは青島都政のキーワードだなというふうに思われてならない。  そこで、平和について、具体的に提案されている平和祈念館とも関連させて、何点かお聞きをいたします。  まず、私の質問の前提ですので、大岡昇平さんの作品に「野火」というのがございます。これは、戦争を知らない人間は、半分は子供であるというふうに記述してございます。青島知事は作家でもあるわけですから、作家でもある知事の所見をまずお聞かせいただきたいと思います。 ◯青島知事 今、委員ご指摘になりました大岡昇平さんの「野火」につきましては、私も拝見しました。一時大変な話題になりまして、私も読ませていただきましたが、その戦争の悲惨さと残虐さに大変な印象を受けた覚えがございます。戦争文学の傑作であるともいわれております。その内容についてここで申し上げるまでもないんですが、第二次大戦中のフィリピン戦線におきまして、大岡さんご自身が一兵卒として参加なすって、友軍が壊滅的に崩壊する戦場で、一人の兵士がたどった極限的な状況について書き上げたものだと記憶をしておりますが、大変印象深いものでございました。  ご指摘の、戦争を知らない人間は、半分は子供であるという記述は、戦争体験者の大変重い記述だというふうに私は受けとめております。現在我が国は、人々が、戦争が人間にもたらすさまざまな悪影響を学ぶことによりまして、平和を脅かす問題に目をふさぐことなく立ち向かっていく決意が必要だということをご指摘になられようとしているんだと思います。私は、そのためにも次代を担う青少年たちに、戦争の悲惨さというものを語り継いでいかなければならないということを肝に銘じているわけでございます。 ◯藤田委員 今の知事の認識、僕は大賛成です。  平和祈念館の意味というのは、私が申し上げるまでもないんですけれども、実際に戦争を体験していない人たちに、戦争における人間の極限状況を知らせることによって、平和への願いを共通なものにするところに、まずあるんだろうと思います。「東京都戦災誌」では、東京空襲の被害状況ですけれども、終戦までの被害状況を、人的被害二十三万四千五百九名、亡くなった方が九万四千二百二十五名と記されております。つまり、第二次世界大戦というのは、十万人近い都民が戦いの炎の中で死んでいった悲しい戦いの歴史であると思います。したがって、戦争のむごたらしさと平和のとうとさを、語り部のように幾世代にもメッセージをしていく責任が都政にあるというのが私の持論でありました。野党時代ではありますけれども、都政の中における平和施策のありようが、私と前知事は最も対立した点であります。無論、知事が常々語っているように、平和とは単に戦争やテロがないだけでなく、差別、抑圧など人権、貧困など経済問題、公害など環境問題を包摂したものと受けとめつつ、多くの都民の素朴な平和への願いを都政の中に体現することが青島カラーであり、都政の重要課題の一つだ、こう確信をいたしますけれども、知事のお考えをお尋ねします。 ◯青島知事 お答えいたします。  まさに委員ご指摘のとおりだと思います。私も、おっしゃられることすべて同感でございます。平和はすべての都民の願いでありまして、人類共通の目標でもあります。また、私はかねてから、人類にとって最も重要なことは、平和な世界の実現だという認識に変わりはございません。 ◯藤田委員 知事の考えを再確認した上で、具体的にお尋ねしますけれども、国も戦没者追悼平和祈念館をつくるので、二つも要らないという意見がございました。私は国と東京都は基本的コンセプトは違うと思うんですが、まず国のコンセプトをご説明いただきます。 ◯小久保生活文化局長 国が建設を計画しております戦没者追悼平和祈念館でございますが、これは戦没者遺族の援護施策の一環として、遺族が経験した戦中戦後の国民生活のご労苦にかかわる歴史的資料、情報を収集、保存、陳列するということを目的とした施設であるというふうに伺っております。 ◯藤田委員 つまり、国は陳列にとどまるなど限定された機能です。都は、今の答弁のように、資料収集、調査研究、展示を通じて都民とともに平和を考え、戦災都市東京の不戦の誓いというものを世界に発信をする、そういう幅広く深い機能を持つというふうに受けとめる、平和博物館的性格を持つのかなというのが私の感じですけれども、名称はともかく、平和博物館的性格を持った施設にすべきだと思いますが、いかがですか。 ◯小久保生活文化局長 東京都の平和祈念館は、東京空襲という悲惨な体験を持つ都市といたしまして、都民の戦争体験を次世代に語り継ぐ、それとともに都民の平和への願いを世界に向けて発信するというための施設であります。  したがいまして、平和祈念館は、東京空襲を中心に、戦争や平和に関する幅広い資料の収集、展示、普及活動などを通じまして平和について学び、考える場となるものでございまして、ご指摘のような博物館的性格を持つ、東京の平和のシンボルとして建設をしようとするものであります。 ◯藤田委員 次に福祉について。これは本会議で私は代表質問いたしておりますので、その質問と答弁を踏まえて、何点かお尋ねをいたします。  既にもう議論もされておりますので、ここは端的にお尋ねをいたします。  ショートステイ三十床未満の補助対象は、施設費にあわせ、運営費まで広げるべきだ。特別養護老人ホーム用地取得助成基本額は十七億から十億に下げましたけれども、下げるべきではない。そこで、八年度を再検討の努力期間とし、九年度直ちに実施すべきだ、こういうふうに私はかなり踏み込み、特定をしてお尋ねしますけれども、いかがですか。 ◯奥福祉局長 三十床未満のショートステイに対する運営費及び特別養護老人ホームの用地取得費助成の補助基本額については、八年度実施の経過を見ながら、支障があるようであれば、再検討のご提言を踏まえ、適切に対処いたします。 ◯藤田委員 支障があれば九年度に実施をするというニュアンスで、この答弁は確認をしておきます。  次に、公的介護保険が導入された場合、都の財政負担は幾らになりますか。一定の条件を仮定して結構ですから、具体的な金額でお示しをいただきたい。 ◯奥福祉局長 国の老人保健福祉審議会に提出された資料によりますと、新ゴールドプランで基盤整備を行った場合の平成十二年度における全国の高齢者介護費用は、四兆一千億と推計されております。これをもとに、仮に公費の負担割合を五〇%とし、そのうち都の負担割合を現在の在宅福祉サービスなどの都道府県の負担割合である四分の一とした場合、都の負担額は四百四十億円程度となります。 ◯藤田委員 一定の条件を仮定してということですけれども、四百四十億ですね。これに、ほうっておけないから、都の上乗せ分、私の目の子勘定ではほぼ六百億。そうすると概算一千億なんですね。この額から考えても、本会議答弁にあったように、全容が明らかになってからとか、国の動向を見きわめてからなどと、のんびりしておる時期ではないということをご認識いただきたい。  公的介護保険はどうあるべきかについて、早急に都としての一定の結論を出して、オピニオンリーダーとして全国をリードするような議論を巻き起こし、その中で国にいうべきことははっきりいうということが急務だと思いますが、本会議に連続して、改めて知事に伺います。 ◯青島知事 お答えいたします。  現在検討されております公的介護保険制度につきましては、大都市の実態を十分に配慮し、都民にとって望ましい制度となることが必要であると考えております。このため、老人保健福祉審議会の審議状況など国の動向を迅速に把握いたしまして、区市町村への情報提供と、都としての課題整理に努めているところでございます。  また、国に対しましては、同審議会の第二次中間報告を受けまして、現時点で都として考えられる問題点を担当局長から伝えるとともに、同様の内容を、十三大都市民生主管局長会議を通じまして要望したところでございます。  今後、都議会と連携を図りながら、区市町村や関係団体等と協力をいたしまして、全国知事会とも一体となりまして、国に対して積極的に働きかけてまいる所存でございます。 ◯藤田委員 「プラン’95」のその他は、防災問題。これは質問時間の配分で、後に回します。質問時間があれば、消防総監に聞きますから、準備をしておくように。  第二に、都財政の立て直しについてお聞きします。  代表質問で私は、昭和五十三年より深刻と指摘をいたしました。五十三年、国で定めた赤字限度額一千九十一億円、実質収支赤字一千十一億円、起債制限団体一歩手前、ぎりぎりだったということは先ほどの論議でも示されました。本日冒頭に、九年度には五千億円もの財源不足が生ずるという答弁があったんですが、では、現在の赤字限度額は幾らですか。 ◯西念財務局長 平成七年度における東京都の赤字限度額は、二千八百四十八億円でございます。 ◯藤田委員 来年は五千億もの財源不足が生ずるかもしれない。現在の赤字限度額というのは二千八百五十億円だ。これ二つ並べたら、深刻だということになるじゃないですか。そこで、小手先ではなくて、財政の構造変革が必要だ、この観点から何点かお聞きしたいと思います。  八年度の都債発行高というのは八千四十九億円で、起債依存度は一一・七%、五十三年以来だ、こういっているんですけれども、隠れ借金がありましょう。羽田沖会計、市場会計から一千百億円借りている。これを入れると実質一三・三%で、昭和五十三年を超えるんです。このような隠れ借金、特に羽田沖会計についてお尋ねします。
     まず、八年度末の累積資金残高は幾らになりますか。それから、平成八年度造成工事は終わる、運輸省の土地処分代金も繰り上げ償還で収入済みになる。会計上、あとどんな仕事が残るんですか。 ◯石川港湾局長 平成八年度末の累積資金残高は、約七百八十億円になる予定でございます。  なお、羽田沖埋立事業は、ご指摘のとおり平成四年度で完了しておりますが、関連事業である浅場造成事業や企業債の償還などが残されております。 ◯藤田委員 そうすると、今、港湾局長が答えられた残余の事業というのはいつ終了するんですか。それから、その際に累積資金残高はどのくらいですか。概算で結構ですから、お示しいただきます。 ◯石川港湾局長 浅場造成事業は、平成七年度のしゅんせつ土の発生量が少なかったこと、さらに、漁業者から良質土による覆土の要望が出されたことなどを総合的に勘案いたしまと、あと数年間延伸させる必要があるものと考えております。  仮に、企業債の償還が終わります平成十四年度に浅場造成事業などが終了するものとした場合、その年度末におきます累積資金残高は、他会計貸付金残高を含めまして、約一千四百億円になる見込みでございます。 ◯藤田委員 港湾局長の答弁では、残余の事業はほぼ平成十四年に終わる、そのときに累積資金残高は一千四百億円というご答弁ですね。そこを押さえながらですけれども、八年度の五百億円を含め、これまで羽田沖会計から他会計へ貸し付けたその状況をご説明願います。 ◯石川港湾局長 一般会計への貸し付けは、ご指摘の平成八年度お願いしておりますが、五百億円のほか、七年度は二百億円でございます。そのほか、臨海副都心開発事業会計へ平成五年度二百四十億円の貸し付けを行っております。 ◯藤田委員 今の答弁だと、羽田沖会計は八年度末に合計九百四十億円の貸し付け残があるということですね。この貸し付けの返済分が、先ほどの答弁の最終的な累積資金残高千四百億円に含まれるわけでしょう。それならば、私は都財政が深刻なんだからということを踏まえて提案しますけれども、羽田沖会計は事業はほとんど終了し、設立目的は達成したというふうに思うんですよ。だから、だらだらと償還終了を待たないで、会計を早期に閉じて、残りの事業や起債償還は一般会計が受け継いで整理をし、千四百億もあるんですから、この千四百億を一般会計に繰り入れることは、厳しい都財政の立て直しに役立つ方策である、こう思うんです。赤字限度額が二千八百五十億円、九年度五千億円もの財源不足という極めて財政状況は厳しいわけですから、親ガメが大変なわけですから、子ガメ、孫ガメはしばらく多少我慢する、この認識の上に立てば、羽田沖会計の財源は貴重だと思うんですが、財政を預かる財務局長は、私のこの提案、どう思いますか。 ◯西念財務局長 ご指摘のように、都財政は非常に深刻な事態に直面しているわけでございます。こうした状況の中で、ご提言いただきました羽田沖埋立事業会計の利益剰余金を早期に一般会計へ繰り入れることは、都財政の立て直しを図っていく上で有効な方策の一つである、このように考えます。  今後、羽田沖埋立地処分に係る経緯を踏まえつつ、関係局と十分に調整を図り、早急に具体的な検討を行ってまいります。 ◯藤田委員 石川港湾局長が渋い顔をしているから、財務局長と、あとは港湾局長の綱引きだ。十分話し合って、とにかく親ガメが大変なんだから、子ガメ、孫ガメは、石川さん、多少我慢してもらわなければだめだよ。  次に、地方税財政改革についてお尋ねをいたします。  要求資料によると、八年度対前年比、都税収入は一千百七十二億円落ち込むんです。ところが、国の都に対する財源調整の影響というのは、七年度一千二百一億円、八年度一千二百八十億円と逆に強化されているんですよ。そこで、対前年比影響額を項目ごとに示してください。 ◯西念財務局長 東京都に対する財源調整措置等による影響額の内訳でございますが、地方交付税の不交付団体などを理由とする財源調整による影響額が十三億円増の三百六十二億円、差等補助による影響額が二十八億円減の三百三十五億円、法人事業税分割基準による影響額が九十四億円増の五百八十三億円でございます。 ◯藤田委員 今の財務局長の答弁をもう一遍なぞると、法人事業税分割基準の影響額九十四億円が最も大きいんですね。そこで、この算定の基礎ですけれども、これは法人事業税収入ですね、主税局長。そうすると、おかしいんじゃないですか。平成八年度法人事業税収入見込みというのは八千九百五十四億円、対前年比二・九%減なんです。二百六十五億円減なんです。ところが、分割基準分七年度四百八十九億円、八年度五百八十三億円、百億膨らむんですよ。どうしてですか。 ◯辰川主税局長 法人事業税の分割基準は製造業と非製造業とでは異なっておりまして、製造業の方が地方への配分が厚くなる仕組みとなっております。平成八年度の法人事業税は、総額では、ご指摘のとおり前年度比マイナスと見込んでおりますが、そのうち製造業に係るものにつきましては、業績の回復で前年度を上回るものと見ております関係上、分割基準による影響額の方がふえたものでございます。 ◯藤田委員 さっきのどなたかの質問の言葉をかりますと、小学生、中学生でもわかるような表現というふうにいえば、法人事業税は全体として減っても、内訳の製造業の税が多ければ、財源調整の仕組みで減額措置がふえる、こういうことでしょう。ところが法人事業税というのは、私が主税局長に申し上げるのは釈迦に説法ですけれども、本来、事業活動と公共サービスとの受益関係に着目をして課税される。ところが、地方団体間の財源調整に用いるというのは、その性格を否定するといえなくもない。余裕のあるときはいいんですけれども、財源難の折なんですから、今僕が指摘したようなことだけは改めさせるべきじゃないですか。どうですか。 ◯辰川主税局長 お話の分割基準につきましては、累次にわたり都に不利な改正が行われております。しかし、国や大多数の県は、これは税源の帰属の適正化を図るものであって、財源調整ではないという立場を崩しませんで、状況は大変困難でございます。 ◯藤田委員 状況は困難でありますという主税局長の結びの言葉なんですが、状況は困難などと主管局長が及び腰でどうするんですか、財政難だといっているのに。  それじゃ、知事に聞きます。予算編成をにらんだ夏と冬の慣行的スケジュール消化ということで国に要望書を出されているんです。これは同時に、機会あるごとに国に要望してまいりたいという本会議答弁の中身でもあるんですが、しかし、私は、そんな状況じゃないと。私の指摘を踏まえて、地方税財源制度改革について、知事は決意を持って当たるべきだ、こう思いますが、いかがですか。 ◯青島知事 お答えいたします。  お話の点は、税源の適正な帰属というにしきの御旗のもとに、四十七都道府県が一つのパイを奪い合うという構図になっているため、解決に困難をきわめているんだと思います。したがいまして、都といたしましては、みずからの自助努力は当然のこと、さらに、パイの拡大を初めとする地方団体共通の課題にリーダー的役割を果たすことなどを通じまして、常に他の地方団体から共感の得られる行財政運営に努めることが、こうした問題の解決に資する土壌づくりとして大変重要ではないかと考えます。  その上で、委員ご指摘のマンネリ化、夏と冬に慣行的に行うというようなことにつきましては、重々意を用いまして、改革について主張すべき点はきちんと主張してまいりたいと考えております。 ◯藤田委員 知事も財務局長も主税局長も、この際認識いただきたいんですが、財政の立て直しについて、千四百億円という新しい財源、それから、影響額を遮断する点ではこんな矛盾があるじゃないかということを具体的に私は指摘したわけですから、これは財源探しにお手伝いしたというふうに思っていますよ。私、これはしっかりやってもらいたいと思うんです。  最後に、時間がありますので、「とうきょうプラン’95」の質問の積み残しの防災について尋ねます。  防災思想の普及ということは大事なことだろうと思うんですが、連合東京が、メーデーに何万人も集まるので、起震車を動かして防災思想の普及に協力したい、こういうふうに東京消防庁に申し入れたんですが、断った。総監、知ってますか。断ったとしたらその理由は何ですか。 ◯小宮消防総監 お答え申し上げます。  既に、ほかで二カ所ほど行事が入っておりまして、起震車が出ることになっております。後からご連絡いただきましたもので、既に行事が入っているということでお断り申し上げたわけでございます。 ◯藤田委員 そういう答弁はだめですよ。いいですか。もう時間ないですから、手短にいいますけれども、連合東京の会長というのは自治労東京の委員長の森川さん、この問題であなたのところに申し入れに行った生活局長というのは大井さんという交通局の人ですよ。都労連で同じ仲間なのよ。それで、区に借りてもいいんだけれども、せっかく消防庁が防災思想の共有をやりたいというふうにいっているんだから、この機会に連合百万もその受け皿になって協力しようということで、だから、東京消防庁とコネをつくろうというふうにいって、わざわざ東京消防庁に行ってそのことを説明したんですよ、丁寧に。一番連合東京が腹を立てているのは、起震車というのは都民に貸し出すもので、労働組合に貸し出すものじゃないといったんですよ。労働組合というのは都民じゃないんですか。答弁は求めないけれども、行動する都民とか、求める都民とか、提案する都民とかということを企画審議室長が理詰めで答えて、知事は、生活者の視点に立った生活都市東京なんていうふうにいっているけれども、消防庁の下の方に行ったらそんなことじゃ、パアじゃないですか。私は、善処してもらいたい、知事も厳重にそのことを消防庁にいってもらいたい、こう思うんです。  締めくくり質疑のまとめ部分について申し上げますけれども、今度の議会も青島知事はいろいろいわれた。考えれば、青島さんに限らず新知事はどなたでも、前知事の施策の大半をマイナス面も含めて引き継ぐことからスタートする。ところが、あなたは一度だけ派手におぜんをひっくり返しちゃったもんだから、にぎやかになった。それだけに私は、「とうきょうプラン’95」策定の折、何をベースにするのかということが心配になりましたので、関係局に真剣に聞きました。企画審議室長、うまい答えをしたもんだと思うんですが、私の問いに、継続と変革の調整だと答えたんです。これは私は懸命な選択肢だと思うんです。  思い起こしていただきたいんですけれども、昨年十二月二十二日、平成八年予算要望に当たって、我が会派を代表して私はこういうふうにいった。この予算編成を見詰める都民の多くは、長引く景気低迷と政治の混迷により、将来への不安と現状に対するいら立ちの中にあるといわなければなりません。だからこそ青島都知事が誕生したのであり、また「とうきょうプラン’95」において、生活者の視点の重視を掲げたことは時宜にかなったことだと評価をしております。私たちは、生活者の視点の重視から特異な事業が出てくるとは考えていません。都政に課せられた課題は多方面に及んでおり、生活者の視点の重視から生じるのは、それらの課題に取り組む優先順位が、より都民の感覚に沿ったものになるということだと考えています。そして、それ以上に重要なのは、個々の事業名ではなく、その事業の内容、執行のあり方であると考えます。生活者の視点から都政を改革していくこと、これが今の都政に課せられた、困難ではありますが、最大の課題であります、こう申し上げたはずです。  これはある意味で、青島知事への我が会派のエールでもあった。継続と変革の調整ということですから、しばらくあいまいさが残る、評価も相半ばする、しかし、そこをしのぎ切っていくしなやかさと強さが求められていると思うんです。私の締めくくり質問に答弁されたように、生活都市東京の創造を基本に、平和、福祉、防災に力を入れるというのがあえて青島カラーだというのであれば、困難な道ではあるけれども、価値ある選択なんですから、腰を据えるところは据えて私は踏ん張っていただきたいと思うんです。  例によって、私の癖で申しわけないんですが、二分残しました。一分、あなたのおっしゃりたいことがあれば、この際伺っておきます。 ◯青島知事 お答え申し上げます。  私は、都民の皆さんがそれぞれ主体的に個性的な生活を営める社会、そして調和のとれた地域社会から成り立つ都市を目指していくことが今後の都政運営の目標であると考えております。このような目標の達成を目指すためには、お話がございましたように、生活者の立場に立った施策を、奇をてらうことなく、着実に推し進めていくことが私に課せられたことだと思いますし、事業の内容や執行のあり方につきましても、生活者の視点から改革を進めるべく十二分に心がけていかなければならないと思っております。  また、みずから先頭に立ちまして、都民の皆さんとともに、これまで以上に知恵を絞り、汗を流して都政運営に当たることが大事なことだと考えておりますし、都議会の皆様方のご理解とご協力を切にお願い申し上げるところでございます。 ◯藤田委員 質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ◯塚原副委員長 藤田十四三委員の発言は終わりました。  この際、議事の都合により四十分間休憩いたします。   午後六時十六分休憩      ━━━━━━━━━━   午後六時五十九分開議 ◯中山副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  植木こうじ理事の発言を許します。 ◯植木委員 初めに、コスモ信用組合について伺います。  コスモ信用組合泰道前理事長の告発という新たな事態を迎え、都民の税金投入に対する怒りは、税金投入決定時よりさらに燃え広がっています。都民は、なぜ刑事告発まで受けるような乱脈信組の破綻処理に税金を使う必要があるのか。住専と同じように、破綻に直接責任を負う者に負担させることを求めているのであります。  総括質問でも、我が党の渡辺委員が、現在の処理スキームを再検討し、不足する資金は、税金投入するのではなく、三和銀行などの金融機関、泰道前理事長とエスエス製薬、親族企業にももっと出させるべきだと質問しましたが、知事はこれに答えておりません。改めてお答え願いたいと思います。 ◯青島知事 お答えいたします。  私は当初、旧二信用組合の問題は、極めて例外的な事件でありまして、コスモ信用組合につきましては、刑事事件に及ぶほど乱脈ではなかったというふうに認識をいたしておりまして、そこが違うといえば違うわけでございまして、しかしながら、都がみずから告発したという現段階では、乱脈な経営のために破綻を招いたということにつきましては、コスモ信用組合も同様であるというふうに今は考えております。  なお、コスモ信用組合の破綻処理に当たっては、預金者を保護することによって信用不安を回避し、都民や中小企業等への影響を最小限にとめることが必要であることを強く認識いたしまして、緊急避難的な措置をとったことは、都民福祉に責任を有します私の責務であると考えていたからでございます。 ◯植木委員 コスモも二信組も同じだということを認めたわけですけれども、やはりこの処理が進められている中で、都民は告発という事態を迎えて、税金投入はおかしいといっているわけです。福祉のためというけれども、このこと自体が都民の怒りを買っているわけなんです。しかも、不良債権も、調査が進むにつれまして、二次損失が八百五十億円にも上ることが明らかにされました。関係者の財政負担についても、エスエス製薬は、スキームで求められている預金について提供を拒んでいるじゃありませんか。処理スキームが破綻しているからこそ、現時点に立って破綻に追い込んだ張本人たちにももっと負担させろといっているんです。住専問題では税金投入に全く根拠がないこと、母体行の責任で解決が図られることが社会的ルールであり、銀行にはそれができるだけの力がある、そういうことが常識になってきているんです。政府・与党ですら、母体行にもっと負担をさせるといわざるを得なくなっているではありませんか。  信組についても、乱脈の責任者にもっとちゃんとした責任をとらせることが改めて問われているんです。まず、泰道前理事長及び同氏が支配する企業集団の責任を果たさせることであります。泰道前理事長は、グループ企業や親族の企業を今も支配して、資産をがっちり確保しているわけです。今、不良債権の飛ばしが背任罪に問われていますが、こうした飛ばしを通じて、ちゃっかり不動産を押さえているわけなんです。  例えば、コスモ信用組合のある本店のある一角でありますが、この一角がいつの間にか半分近くもコスモグループやコスモ信組につながるそれぞれの企業によって、業者によって押さえられているんです。(パネルを示す)この図が、色を塗ってあるのがコスモグループなどの所有になった土地ですが、この本店部分を除いて、それぞれコスモ信組から資金提供を受けるなど、結びつきの深い商事会社などが地上げしたものです。これらがそうです。これらは泰道前理事長が、コスモビジョンやダミー会社を使った地上げといわれているんです。ねらいは、コスモ信組がなくなっても、土地だけは残していく、こういわれているんですよ。これはごくほんの一例です。  泰道氏の千葉の邸宅やグループ企業の所有する不動産など、一族は莫大な資産を持っているんです。さんざんやりたいほうだいのことをやって、食い物にして、自分たちはのうのうとしている。負担能力もあるわけです。こういうのを許せますか。住専と全く同じじゃありませんか。知事、どうしてこれらの企業集団に破綻の責任をとらせないんですか。お答えください。 ◯青島知事 お答えいたします。  コスモ信用組合の破綻処理スキームは、昨年七月三十一日に多数の預金者が殺到したという事態を踏まえまして、預金者を保護することにより地域の金融システムの安定を図るという観点から、都が主体となって作成したものでございまして、都が財政支援をすることを前提に、預金保険機構を初め、民間金融機関等の関係各機関の間において合意したものでございます。 ◯植木委員 質問にまともに答えていただきたいんです。もう既にその処理スキームが破綻しているわけですから。私はグループ企業全体に責任をとらせるよう求めているわけなんです。エスエス製薬もスキームの責任を果たしておりません。エスエス製薬グループがスキームに組み込まれたのは、これまでの都の見解でも明らかなように、エスエス製薬がコスモ信用組合の最高出資者であり、最高預金者でもある、そして相互に役員を出し合う、コスモ信用組合の親会社ともいうべき関係だったからです。  エスエス製薬が責任を果たすことを拒むというのは、社会的にも許されないことなんです。エスエス製薬は内部留保資金を数百億円も持つ超優良企業ですよ。その会長は泰道前理事長が占めている。佐藤現理事長代行などが取締役に名を連ねているわけです。まさにグループ一体で乱脈をやってきた。当然エスエス製薬ももっともっと責任を果たさなきゃいけないんです。  さらに、もっと重い責任を持っているのは住専と同じ銀行であります。これまでも三和銀行などが巨額の資金を流し込んできたことを我が党は明らかにしてきましたが、三和銀行のかかわりはこれだけじゃないんですね。コスモ信組の親会社ともいうべきエスエス製薬に三和銀行は常務取締役を送り込んできました。大株主でもあるわけです。また、コスモ信用組合の前身である東都信用組合と東洋信用組合の合併は三和銀行があっせんしたといわれているわけです。まさに住専の母体行と同じなんです。  知事、改めてお聞きしますけれども、これらの企業にもっと負担をさせるということをはっきりと答弁していただきたい。重ねてお伺いいたします。 ◯高村労働経済局長 スキームに関しまして、銀行にさらに負担を求めるべし、あるいはエスエス製薬等に再度負担を求めるべきではないかというご意見であります。しかしながら、これは昨年の九月の議会でも十分ご説明申し上げましたとおり、まず、コスモ信用組合に貸し付けを行っておりました銀行、金融機関は、すべて貸付金額の六割を提供し、今お話のありました三和銀行等の主体の七行については、残りの四割についても、これを低利融資等の方向ですべて負担をするという形でスキームは成立をいたしております。したがって、これらの金融機関が負担すべきものについては、これ以上はないというふうに考えておるところであります。  さらに、エスエス製薬等につきましては、現在まだ私どもとエスエス製薬との間でこれらの負担について話し合いが進行いたしておりますけれども、私どもが求めている四点のうち、二点については既に合意に達しており、預金については、現在これについて東京地裁におきまして訴訟が提起され、私どもはそこに訴訟参加という形で都の主張を十分に述べていき、私どもの考えを申し上げるつもりでおります。  また、泰道三八氏自身については、持てる資産のすべてを提供したということであり、それについては誓約書も私どもは受け取っておりますので、私どもとしてはそれぞれについての責任を十分に求めるという形でスキームを作成し、これの実行に移っているところでございますから、これ以上求めるという考え方は現在ございません。 ◯植木委員 いつの間にか知事に成りかわっちゃっている。私はそういう処理スキーム自体が既に破綻をしているということをいっているわけですよ。二次損失も明らかになってきている。こういう時点で、今までの答弁聞いていても、住専問題での政府・与党の答弁より悪い。銀行やエスエス製薬に破綻の直接責任があるんですから、さらにスキームに組み込んでいく、しかも、これは大蔵省の指導があったからできたわけですけれども、銀行の監督も民間企業への指導も国だからできるんです。大蔵省が、信用組合の破綻処理責任まで都道府県には及ばないといわざるを得ない理由はここにあるわけです。だから、破綻処理は国にやらせて、国の責任で銀行や泰道企業グループに責任を果たさせるべきなんです。  我が党はこれまで、乱脈の実態と都の監督指導責任を追及するとともに、都による税金投入が住専での税金投入の露払いの役割を果たしてきたことを明らかにしてきましたが、今後も引き続きこの問題を追及していくということを表明して、次の質問に移ります。  次は、マンション施策の拡充の問題です。  東京の分譲マンションは五十一万戸を超えると推定されています。都内世帯の実に一割以上です。しかも、初期に供給されたマンションは既に建てかえ時期に入っており、マンションの老朽化や建てかえは東京が急いで解決すべき都市問題となりつつあります。都はさきの住宅政策審議会答申を受けて、マンション政策を総合的に検討していくとしていますが、やれることはすぐやるという姿勢が大事ではないでしょうか。行政の対応が不十分な中、マンションの居住者、管理組合の方々は大変苦労しているんです。  例えば、私の知人が住んでいる中野区の築二十五年のマンションの例ですが、大規模修繕の見積もりをとったら、月々の積立金では足りず、一戸当たり五十万円の新たな負担が必要になる、こういうことで、管理組合の総会では、工事費が適切かわからないなど、異論が続出して、総会自体が流会になってしまったそうです。組合の役員さんは、専門家の援助があればまとまるのにと嘆いているわけです。このように、維持管理のために区分所有者の合意形成が必要であるところが、戸建て住宅にないマンションの特徴です。それには建築や区分所有法の知識が必要なんですね。また、分譲時には業者が修繕積立金を不当に安く設定しているなどの問題もあるわけです。だから、マンションには特別の支援が必要なんです。  そこで、私は、都がすぐに具体化すべきと思う点について質問いたします。  一つは大規模修繕への支援ですが、昨年の国の住宅宅地審議会答申ですが、マンションの大規模修繕や建てかえについては、融資のみならず優良な建築物の再建の観点からも、助成も視野に入れて適切な時期に実施されるようにすべきだと提言していますが、都も現在のマンション改良助成を思い切って拡充するとともに、直接助成に踏み切るべきではありませんか。お答えください。 ◯石橋住宅局長 マンションの維持管理については、平成四年度に、共用部分の修繕改修工事に対し助成を行うマンション改良工事助成制度を創設し、現在その普及に努めているところであります。  また、本年二月の住宅政策審議会の答申では、計画的な修繕の実施に関する指導の強化や、建てかえの円滑な推進のための方策の検討について提言されたところであり、今後、この答申や国の動向等を踏まえ、適切に対応していきたいと考えております。 ◯植木委員 国でさえ、融資だけでなく助成も視野に入れてといっているんですから、まして、マンションが集中する東京での場合、成り行きを見てこれから検討ということでは済まされないと思います。  では、相談窓口の問題ですが、これこそすぐやる気になればできると思いますが、いかがですか。 ◯石橋住宅局長 マンションの維持管理に関する相談につきましては、都の不動産相談窓口や東京都住宅・まちづくりセンターの不動産相談室における住宅相談の一環として対応しており、より専門的な内容につきましては、財団法人マンション管理センター等の協力を得ているところであります。  マンションの適切な維持管理に向け、今後とも関係機関と連携し、相談体制の充実に努めていきたいと考えております。 ◯植木委員 相談の窓口、同時に建物の計画修繕や管理組合の運営、そういう点で専門家としてアドバイスするマンションコンサルタントやマンションドクターといった専門家を派遣するなど、そういうことも含めての相談体制としてやっていくべきだというふうに思うんです。現状では、マンションの相談に対応しているとはいえない状況があるわけです。マンションの相談の手引をつくるなども含めて早急に相談体制の整備を進めていただきたいというふうに思います。  次に、昨年の阪神・淡路大震災以来、特別の緊急課題としてクローズアップされてきているのが、耐震診断と耐震補強工事への支援策です。資金不足のマンションも含めて、耐震診断と必要な補強工事を行えるように、防災の観点からも、耐震診断と耐震補強工事に対して独自の融資制度、さらには直接助成の導入に取り組むべきと思いますが、これは都市計画局長と住宅局長、それぞれお答え願いたいと思います。 ◯木宮都市計画局長 マンションを含む民間建築物の耐震診断につきましては、本来、その所有者または管理者の責任において適切に行われるべきものと考えております。耐震診断助成につきましては、国等の動向を踏まえながら、引き続き研究してまいりたいと考えております。 ◯石橋住宅局長 マンションの耐震補強につきましては、マンション改良工事助成制度の中で助成対象としているところであります。また、昨年秋から、助成対象額を一戸当たり百万円から百五十万円に増額したところであり、一棟全体の資金としては相当な額となっていると考えております。  なお、マンションの維持管理は、本来、所有者または管理組合の責任において行うものであり、修繕・改修費用に対する直接的な助成は困難であると考えております。 ◯植木委員 住宅金融公庫に新設された耐震補強工事融資にも一%の利子補給をするとのことですが、それだけでは間に合わないんです。都は、防災不燃化事業や木造住宅密集地域整備促進事業では、個人住宅に直接助成している例があるじゃないですか。マンションは助成できないなんていうのは通用しないわけです。特にマンションの共有部分は公共的な性格を持っているし、マンションは一度崩れたら再建が難しい。だから、耐震診断への助成は、幾つもの区でどんどん始まっているんです。ところが、補強工事になりますと、大変大きな費用がかかるものですから、都の役割がどうしても大きいんです。なぜ直接助成を検討できないのですか。もう一度お答え願います。 ◯石橋住宅局長 先ほどもご答弁しましたように、マンションの維持管理は、本来、所有者または管理組合の責任において行うものだというふうに考えております。直接的な助成は困難であると考えております。 ◯植木委員 そんなことわかって私はいっているんです。阪神大震災から一年以上たって、各区市町村が既にどんどん進め、仕事をしている。にもかかわらず、東京都は一年たっても何もまだやっていない。  知事、マンションは個人の財産だから助成しないというのは、まさに、阪神・淡路大震災で住む家を失った被災者の人たちに、住宅は個人の財産だから個人の力でといって、国家補償をしようとしない政府の態度と同じなんですよ。それで被災地では、マンションの再建が壁にぶつかって困っているわけですね。アンケート調査の結果を見ても、被災地の管理組合は何よりも公的助成を強めてほしいと、こう答えているんです。それでも、直接助成について検討もしないのでしょうか。知事、お答え願いたいと思います。 ◯青島知事 お答えいたします。  私もマンションに居住する者の一人として非常に深い関心を持っているわけでございますが、局長が答弁しましたとおり、マンションの維持管理につきましては、居住者や管理組合による対応が本来の姿でございますが、それも十分でない場合もありますし、また、将来建てかえが問題になるというようなことも懸念されております。このたびの住宅政策審議会の答申を踏まえまして、適切に対応していきたいと考えております。  また、マンションの耐震補強につきましては、マンション改良工事助成制度の充実を図ってきたところでもございますし、今後ともその普及に努めてまいりたいと考えております。 ◯植木委員 二月の住政審答申は、知事が諮問しているわけですけれども、マンションの施策が不十分だから検討するようにという指摘をしているんですね。ところが、来年度予算案に新しいマンション施策は何一つ盛り込まれていません。このままでは、新しい施策の具体化は何年も先になってしまうんです。しかも、耐震補強への直接助成は困難だと、先ほどの答弁では初めから決めてかかっているじゃありませんか。  今、港区や中央区や墨田区などでは、マンション相談窓口の開設や建物老朽度調査への助成、耐震診断助成など、新しい支援事業を次々と始めているんです。その出発点は、どこもマンションの実態調査なんですね。こういう状況を見て、マンションに対しての実態調査を踏まえて、具体的な施策を進めるということがあると思うんです。何年に建築されたマンションがどこにどれくらいあるのか、管理組合や居住者がどんな悩みを抱えているのかだの、実態をリアルに調べて、初めて行政の課題が見えてくると思うんです。墨田区の担当者は、自分の住宅は自分で管理するのが当然だと思っていたけれども、マンションに取り組むうちに認識が変わった、将来の墨田のまちづくりの財産を残していくために、行政ができることはさせていただくという気持ちでやっていると、こう述べているんです。  知事、せめてマンションの実態調査には、すぐ踏み切るべき必要があると思いますが、いかがですか。 ◯青島知事 ご指摘のとおり、どこにどういう規模のマンションが、どの程度の老朽化を持って建築されているかというようなことを、トータルとして都が把握するということは、大変大事なことだと思います。その方向で検討をさせていただきたいと思います。 ◯植木委員 ぜひ、そういうマンション実態調査を進めていただきたいと思います。そういうやれることはすぐにやるということが大切だと私は思うんです。そして、これからの施策の検討としては、マンション居住者、管理組合など住民参加で進めていく、そういう先頭に立って進めていただきたいということで、この質問は終わりにいたします。  次に、多摩地域の広域処分場の問題について伺います。  日の出町谷戸沢処分場での環境汚染の疑惑は、処分組合が隠してきた観測データが、八王子地裁の命令で一部を除いて公にされ、汚染物質が処分場外に漏れ出ていることが判明し、都もこれを認めざるを得なくなりました。これまで、根拠となるデータの公開を拒んだ上で、安全宣言を一方的に行ってきた都と処分組合の責任は重大であります。  都は初めて、一月の都の水質検査結果解析調査で、汚染とシート破損の可能性を認めたものの、その原因として突然、雨水ますの破損を挙げ、何ら根拠を示さずに、これが原因だと強弁しています。そして、雨水ますに流れ込んだ汚染水については、地下で接続されている地下水集排水管に集められ下水処理されているから、周辺環境に影響ないとしています。こんな一方的ないい分をだれがまともに信じるでしょうか。  大体、都が破損したと推定している雨水ますとは、どのようなものでしょうか。 ◯喜多沢清掃局長 谷戸沢処分場の斜面には、高さ五メートルごとに小さな段が設けられております。この段には、それより上に降った雨水をシートの下の地下水集排水管に導くために雨水ますが設けられております。この雨水ますは、処分場の未埋立区域に降った雨水を、廃棄物と接触させずに埋立地外に排水するために設置されておりまして、浸出水原水を減らす効果がございます。
    ◯植木委員 雨水ますは、直径約二十センチの塩ビ管に一センチの塩ビ製のふたをした上で、さらにその上に二十センチのコンクリートを枠をつくって流し込んで固めるという、とても頑丈なものなんですね。もう一方のシートの方は、厚さわずか一・五ミリ、しかもこのシートは埋め立てまでは雨ざらしで、一年間で二百カ所を超える補修をやっているわけです。シート自体が日光や酸、アルカリ及び土の中のバクテリアなどによって影響を受けることは、処分組合の文書でも書かれています。しかも、第一期当時の埋立ごみは、まだ多摩各市でも分別収集は確立されておらずに、電池など酸やアルカリを含むごみが大量に持ち込まれていたのです。  シートに穴があくことは十分考えられるではありませんか。汚染漏れの原因を雨水ますに限定する根拠は全くありません。しかも、雨水ますが壊れたとしても、そのことはシートが破れていない論拠には全くならないわけです。だからこそ、厚生大臣が二十二日、青島知事に対して、第二処分場はともかく、谷戸沢処分場については、汚染漏れの原因や周辺地下水への影響の有無について、再度十分な調査を行うことをお願いしますと、こういう異例の要請を行っているんです。知事、この要請に積極的に答えるべきだと思いますが、どうですか。 ◯青島知事 お答えいたします。  おっしゃるとおり厚生大臣からは、谷戸沢処分場について調査の実施等につきまして、三月二十二日付で要請がございました。  私は、この問題については、谷戸沢処分場を管理しております広域処分組合の自主的な判断を尊重したいと考えておりますし、厚生大臣からの要請につきましては、厚生省とも相談し、また処分組合と十分協議しながら、対応を検討してまいりたいと考えております。 ◯植木委員 知事、この文書をよく見てください。大臣の要請は、知事、あなたに調査を実施されるようにといっているわけですね。都が強力に指導すべきなんですよ。知事、法律に基づいて立入検査や改善命令、措置命令などの権限も認められているんです。だから、国の厚生大臣も知事に対して要請を行っているんじゃないですか。  実際に都は、汚染漏れが初めて問題となった九三年三月、報告の徴収と立入調査を行っています。しかも、都は処分組合に毎年職員を派遣し、補助金も一億円近く出しているんです。知事、法律に基づいて当然のこの調査を指示すべきだと思うのですが、もう一度お答え願います。 ◯青島知事 お答えいたします。  二十六市一町の市町から成る処分組合の自主的な判断に任せていることが一番適当ではなかろうかという考えでございます。 ◯植木委員 任せるというのじゃなくて、知事が問題点を指摘して指示をするということが大事なんです。住民からいろいろ疑問が出されて、それに対して行政はどうこたえるか、率直に調査に入るべきだと思うんです。  それから、もう一つの問題は、第二処分場の建設の問題です。重視すべきは、多摩各地で既に精力的なごみ減量、リサイクルの取り組みが進められていることです。多摩地域では、八種、十種という多種分別収集や、市民の資源回収への支援、プラスチックの再資源化などを進めた結果、清瀬市を初め、少なくない自治体で二割を超すごみ減量を実現するなど、成果を上げ、谷戸沢処分場への持ち込みを確実に減らしているんです。  東村山市が市民とともに行った家庭ごみの排出実態調査では、古紙やPETボトルなど、これまでも資源回収の対象にされているもの、生ごみ、木くず、プラスチックなど、出されたごみの九四%が資源化できるとしているんですね。この方向を強めて、大規模処分場方式を再検討すべきなんです。第二処分場は、こういうのに全く逆行しているわけです。  ここに、第二処分場建設に当たってつくられた三多摩地域廃棄物減容(量)化基本計画書の今後の搬入見通しがあります。ごみは減るどころか、毎年三%以上のテンポでふえ続けるという見通しに、この計画ではなっているんです。関係市町村の取り組みを無視した過大計画ではありませんか。これどうでしょうか。 ◯喜多沢清掃局長 平成五年四月に、東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合が策定しました三多摩地域廃棄物減容(量)化基本計画書では、平成四年度から平成八年度まで、谷戸沢処分場への搬入量を、見込み量に比べ、全体で三五%減量する計画となっておりまして、平成九年度以降は、ごみ量の状態も勘案して、漸増する計画になっております。平成六年度までの実績では、同処分場への搬入量は計画量を下回っておるところでございます。  都としましては、今後とも、処分組合を構成する市や町が、谷戸沢処分場及び二ツ塚処分場への搬入量をさらに減量するため、一層の努力をされるよう期待しておるところでございます。 ◯植木委員 各自治体の取り組みで、現処分場に持ち込むごみは大幅に減っているということですね。ここに資料も出ています。  埼玉県の越谷市では、もうごみの処理、処分という言葉はやめよう、出されたごみは、つい前日まで家庭にあって使われていたものだから、すべて資源にできるはずだ、安易に破棄したり埋め立てたりすることは、地球をむしばみ、二重の罪を重ねていることになる、こういうふうに埼玉県越谷市ではいっているわけです。そして、埋め立てゼロを目指しています。資源化率を六三%までに引き上げ、可燃ごみの溶融化で処分場への持ち込みを九割以上減らしているんです。  知事、こうした経験に学んで、現在の建設計画は見直すべきではありませんか。お答え願います。 ◯青島知事 お答えいたします。  三百六十万以上にわたる多摩地区の方々の日常出ますごみは、資源化を進めリサイクルを強力に推し進めましても、最終的に燃せば灰になるものもありましょうし、壊し分解しても、それ以上小さくできないというようなものもございましょうし、最終的には最終処分場がどうしても必要だということから、二十六市一町の方々の組合が最終処分場を設けることで合意をなさって、これからその方策で事を進めようとしておられるわけでございますから、リサイクルを進めあるいはごみの減量化に努めることは重大なことではございますが、最終的にどうしても処分し切れないものも残るということもまた事実でございまして、これを放置することはできないというふうに私も考えているところでございます。 ◯植木委員 先ほどの埼玉県越谷市の例は、埋め立てゼロを目指そう、これを真っ正面に掲げて取り組んでいるんです。そこの姿勢が全然違うんです。  ここに地元の大久野小学校の生徒が書いた日の出町町長への手紙があります。今度、第二処分場をつくるといっていますが、日の出町に二つもつくるなんてひどいと思います。日の出町の自然が少なくなったら、動物のすみかがなくなったり、動物がどんどん減ると思います。ごみはリサイクルで少なくできると思います。もう少し自然を考えて、自然を大切にしてください。──こういう子供たちの声がたくさんあるんです。子供たちのこの切なる願いに、どうお答えになりますか。もう一度お願いします。 ◯青島知事 お答えいたします。  私は常々考えておりますのは、ごみが雑多に存在するからごみなのであって、これを細かく分別し整理すれば、一つ一つはリサイクル可能な資源になるわけでございますから、でき得る限りその方向で検討し、都民の方々にもご協力をいただいて、ごみのトータルの量を減らすことに重大に関心をお持ちいただくということが、何より大切だと思っております。  しかし、燃しましても、壊しましても、最終的に処分しなければならないものが出ることも、また確実でございまして、これを当面処分していくためには処分場が必要であるということを前提にしまして、二十六市一町の方々が組合をおつくりになって、処分場を計画なすっておいでになるわけですから、その自主性にまつのが賢いやり方だというふうに考えております。 ◯植木委員 まず処分場ありきという考え方なんですよ。  いずれにいたしましても、知事、住民の谷戸沢処分場に対する率直な声に耳を傾けることが、私は大切だと思うんです。事態解決の一歩となるためにも、せめて住民と直接話し合いを持つ気はありませんか。お答え願います。 ◯青島知事 お答えいたします。  処分組合が自主的に管理運営を進めようとなさっておられるわけですし、地元住民の方々とのお話し合いも進められようとしておるわけでございますから、その自主性にお任せしてお待ちするのが正解だと思っております。 ◯植木委員 知事が直接住民と話し合うべきだと私は思うんです。厚生省からもこういう要請が来ているわけですから、そういう点では、地方自治体の長として当然こたえるべきだと思うんです。  知事、私がるる述べた減量、リサイクルの取り組みと大規模処分場方式の転換は、朝日新聞が社説でも、今必要なことは、最終処分場をこれ以上つくらないぐらいの決意で、廃棄物行政を大胆に見直すことであると指摘しているように、今、大きな流れとなっているんです。  徹底したごみ搬入の減量と現処分場の延命とで、大規模な第二処分場は要らなくすることは可能です。同時に、現谷戸沢処分場についても、汚染漏れの原因解明のための調査とあわせて、幾つかの工期に分けて掘り起こし、ごみとして埋められているものの再資源化や、可燃物の焼却などを行うなど、工夫と知恵を出せば、十分に延命されることは可能であるということを重ねて表明いたしまして、次の質問に移ります。  最後に、青少年健全育成条例への淫行処罰規定導入の是非についてです。  ポルノビデオのはんらんやテレクラ、デートクラブなど、青少年を取り巻く好ましくない環境をなくしていきたいという願いは切実です。大事なことは、淫行処罰規定の導入が、これらの問題の解決と青少年の健全育成につながるかどうかの問題です。  そもそも、暴行、脅迫、営利などの不当な手段による性的行為から青少年を保護することは、刑法、児童福祉法、売春防止法などの現行法によって可能です。その上に、非常にあいまいな淫行という行為を処罰の対象とすることは、極めて個人的な問題である性について公権力が介入することにつながります。とりわけ、淫行の疑いがあるということによって、警察が捜査の範囲を広げていくことは重大です。  そこで伺いますが、淫行処罰規定によって、淫行の加害者とされる大人を処罰しようとすれば、その行為が淫行の構成要件となり得るかを立証するために、交際の状況や性的行為の内容に至るまで、被害者の青少年が知られたくない供述を細かく求められることになります。このことは、青少年のプライバシーや心に与える影響など、健全育成を阻害することになりかねないと考えますが、見解を伺います。 ◯小久保生活文化局長 昭和六十三年の青少年問題協議会の答申でございますが、この答申では、青少年の相手方を処罰する際、青少年自身が繰り返し事情を聞かれ、あるいは他の人には知られたくないことまで尋ねられることによって、青少年の心を傷つけるおそれがあるというふうに、この答申では述べているわけであります。  淫行を立証する過程で、仮に青少年の心を傷つけるようなことがあるとすれば、青少年の健全育成を図る上では好ましくないというふうに考えております。 ◯植木委員 公権力が青少年のプライバシーに介入し、人権を侵害することに道を開き、逆に健全な育成を阻害するおそれのある淫行処罰規定は、導入すべきでありません。先ほど触れられた第十七期青少年問題協議会答申は、性はすぐれて個人的な問題であり、社会や行政が介入すべきでないことを前提に、青少年が、はんらんする性文化の情報や環境の中から、自分にとって必要なもの、ふさわしいものを選んでいく十分な自己決定能力を育成することが大切だと述べています。その後、子どもの権利条約に見られるように、子供たちの自主性や権利を尊重することが世界と日本の趨勢となる中で、問題を解決するためには、この答申の理念を生かすことが一層重要になっています。  そのために、青少年自身が、文化的、道徳的退廃に負けない健全な判断力を養っていけるよう支援を強めるとともに、性の商品化や退廃的な文化の現状を批判し改善する都民の世論と運動を大きく広げることこそ、根本的な解決の力だと考えます。  以上の見解を述べて、私の質問を終わります。(拍手) ◯中山副委員長 植木こうじ理事の発言は終わりました。      ───────────── ◯中山副委員長 望月昭広委員の発言を許します。    〔中山副委員長退席、石井副委員長着席〕 ◯望月委員 私は、都議会民社・コア東京を代表いたしまして、予算特別委員会の締めくくり総括質問をこれからさせていただきます。  その前に、今、前発言者から淫行処罰規定についての理念的なお話がございました。あれは十年前のお話でございまして、理念は理念として、実際にそれでは、私たちが住む東京がそういった理念のもとに健全化されてきたか、全然違います。方向は逆でありまして、それを商売、なりわいとしているやからが大変多うございます。我が会派としましても、淫行処罰規定、ぜひ前進をさせていきたいというふうに考えております。  それでは、質問に入らせていただきます。  私どもは、本定例会における今日までの論議の中で、一貫して、現下の都財政を取り巻く環境が非常に深刻な状況であることを指摘し、長中期的な視点に立っての対策の確立と、その促進についての提言を行ってまいりましたが、我が会派の主張については知事にも十分ご理解いただいていることと確信いたしております。  我が会派の主張や提言について、ここで再度申し上げることは、時間の関係もありますのでいたしませんが、それぞれへの知事を初め担当局長のご答弁は、いずれも前向きに受けとめてのものであり、その点は、財政再建に向けての意欲のあらわれと意を強くしているところであります。  さて、未曾有ともいえる財政危機を迎えているという共通認識のもとに、今何をしなければならないかといえば、それはいうまでもなく都経済の活性化を図ることであります。そのためには、攻撃的ともいえる事業展開を図ることこそ肝要であります。幸いにも、東京都は、臨海副都心開発事業という、都経済活性化の核になり得るプロジェクトを持っております。既に都市基盤施設の七割が完成し、いよいよ本格的に新しいまちとして動き始めたこの臨海副都心に、どう命を吹き込んでいくかということは、今後の都経済の活性化という面からも重要な意味を持っていると考えます。  そこで、臨海副都心開発事業について何点かお伺いしたいと思います。  当初の計画どおりであれば、一昨日、三月二十三日が、臨海副都心開発の起爆剤として、また、にぎわい創出を牽引する事業になったはずの世界都市博覧会開始のテープカットが行われていたはずであります。死んだ子の年を数えることになるので、世界都市博覧会の中止については、これ以上知事に申し上げませんが、その事後処理対策として、この四月から臨海副都心を中心に多様なイベントを開催するとされている「TOKYOシーサイドフェスタ’96」の基本的な考え方を、今沢本部長に伺いたいと思います。 ◯今沢東京フロンティア対策本部長 平成八年度に実施を予定しております「TOKYOシーサイドフェスタ’96」は、都市博の準備段階で得られた成果を可能な限り都民に還元すること、市民参加の要望を踏まえ新たな発表の場を提供すること、臨海部のにぎわいを創出すること、そして関係中小企業に対する新たな需要を創出することを基本的な考え方としているところでございます。 ◯望月委員 このフェスタには、中止された世界都市博の事後処理に加え、臨海部のにぎわい創出という目的があるとのことでございますが、具体的にはどのような事業を展開するのか、お示しください。 ◯今沢東京フロンティア対策本部長 具体的な事業内容でございますが、まず市民参加事業として、市民団体の広範な活動の成果を、各種の展示、催事、会議の形で展開いたします。  次に、都市博成果有効活用事業として、映画百年の歴史の中の名場面を再現するシネマアベニューや、内外アーチストの立体作品を展示するアートギャラリーなどを公開いたします。  また、臨海部にぎわい創出事業として、若者に人気のあるアーチストによる水上コンサートや、大相撲、レガッタレース、ミニサッカー等のスポーツイベントなどの事業を予定しております。  これらの事業は、東京国際展示場や臨海部の各種施設などを有効に活用いたしまして、平成八年夏を中心に、一年間にわたって多彩に展開していく考えでございます。 ◯望月委員 本部長にまだ通告をしていないんですが、一点お伺いをいたします。  東京フロンティアを指揮担当されまして、いわゆる推進から終末処理まで、余り行政マンとして経験のない経験をされたということでございますので、感慨があればお伺いをしたい、このように思いますが、いかがでございましょうか。 ◯今沢東京フロンティア対策本部長 中止になりましてからほぼ十カ月たちますけれども、この間、各方面のご迷惑をおかけしました人に対するおわびやら、あるいは中小零細企業に対する補償等に一生懸命やっておりましたので、まだ感慨を持つほどの余裕はございませんので、よろしくご理解願います。 ◯望月委員 ありがとうございました。  さて、ただいま示された事業にはそれなりの意味があると思いますが、問題は、それ以降の臨海部のにぎわいをどう創出し続けるかということだと考えます。私は、「TOKYOシーサイドフェスタ’96」を一場完結の事業に終わらせることなく、工夫を凝らした行事の展開を図り、臨海副都心の永続的なにぎわいの創出を目指すべきだと考えるのですが、石川港湾局長の所見をお伺いいたします。 ◯石川港湾局長 今後の臨海副都心開発に当たりましては、開発を着実に進めますと同時に、各種のイベントなどを継続的に行うことによりまして、このまちににぎわいや活気をもたらし、都民にとって魅力あるまちにいたしますとともに、関連事業者等にも明るい展望を持たせることが重要だと思っております。したがいまして、ご指摘のように、今後とも工夫を凝らしました行事の展開を図りまして、臨海副都心の継続的なにぎわいの創出に一層努力してまいりたいと考えております。 ◯望月委員 今、東京都内で元気のある町としてよく引き合いや話題に出されるのが、渋谷、原宿、恵比寿、そして二子玉川、下北沢、吉祥寺等々でありますが、いずれの町も、若者を中心に多くの人々が集い、にぎわい、新たな文化創出の拠点となっています。臨海副都心を活力あるまちとして永続的に維持発展させていこうとするならば、単なる企業の集積したいわば丸の内型のまちではなく、今申し上げたような、二十一世紀の文化を担うであろう若者が集うまちとしての創造を意識的に行うべきと考えるのですが、いかがでございましょうか。 ◯石川港湾局長 臨海副都心の開発は、多くの都民が住み、働き、集い、憩う、活力ある理想的な都市を目指しております。したがいまして、こうした都市づくりを進める上で、お話のように、次代を担う若者のエネルギーを活用いたしますことは重要な視点だと考えております。  今後、さまざまな工夫を重ねまして、ご指摘のように、若者が集える魅力ある臨海副都心になるよう一層努力をしてまいりたいと考えております。 ◯望月委員 横幅八十メートル、総延長四キロとなる歩行者専用公園として整備されておりますシンボルプロムナードを、自己表現の場として利用できるよう大胆に開放すれば、例えば、原宿の歩行者天国の中止で行き場を失った感のある若いストリートミュージシャンやダンサーたちが黙っていても集うようになり、それらが相乗効果となって多くの人々が臨海部を訪れるようになる、こんなことも臨海副都心のにぎわい創出の一手段だと思うのですが、いかがでしょうか。 ◯石川港湾局長 シンボルプロムナードは、お話のように、世界に誇れる大規模な歩行者空間でございまして、こうした空間を人々の自由な交流の場として利用し、さまざまなにぎわいをつくっていくことは、臨海副都心のまちづくりを進める上で大変重要なことだと考えております。  ご提案のシンボルプロムナードの開放につきましては、このようなにぎわいを創出する手段の一つとして、今後積極的に対応してまいります。 ◯望月委員 ところで、臨海副都心には現在、都が所有する遊休地はどれほどありましょうか。  そして、そのうちの適当なところを、フリーマーケットの用地として開放することなども一案だと思うのです。よしんばそれがそのまま定着したとしても、一定の方向と規律を定めていれば、定着型のいわばノミの市として成長する可能性もあり、そうなれば東京の新たな名所になるかもしれません。私は以前、NHKや東京証券取引所等の誘致を提案しましたが、そうした企業誘致だけでなく、こうした面からのまちづくりの手法も同時に考えるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。 ◯石川港湾局長 現在都が所有しております未利用地は、約百ヘクタールでございます。  それから次に、ご提案のようなフリーマーケットでございますが、これは、都民が親しみや楽しみを持って臨海副都心を訪れ、新たな名所になることが期待できるものだと考えております。したがいまして、今後ともさまざまな工夫と手法を駆使いたしまして、まちに活気をもたらすような土地の活用を積極的に図っていく必要があるというふうに考えております。 ◯望月委員 今お答えいただいたような遊休地を利用して、全国の縁日やお祭りなどを持ってくる、また、テント芝居の用地として廉価で提供するなど、事業手法にも工夫を凝らし、シーサイドフェスタと相乗効果を発揮する都民参加型のイベントを恒常的に開催するなど、都みずからが積極的に打って出るべきであります。そのためには、一般市民や中小零細企業者が安価で土地を利用できなければなりません。極端にいえば、臨海副都心のにぎわい創出に効果の期待できる事業や行事には無料で使用を認めるぐらいの考えを持つべきだと思いますが、所見を伺います。 ◯石川港湾局長 臨海副都心の土地の有効活用を図るためには、この地域が多くの人々にとって親しみと魅力のあるまちとなるように、イベントの開催などさまざまな工夫をしていかなければならないのは、ご指摘のとおりだろうと思います。そのため未利用地を最大限に活用していく必要がありまして、ご提案の趣旨を踏まえまして早急に対応してまいります。 ◯望月委員 私は、会派を代表して、臨海副都心開発特別委員会の委員も務めていますが、昨年暮れの委員会の中で、臨海副都心にカジノの開設をという、我が国の現状からすれば無謀な提案を行いました。しかし、奇をてらったつもりは毛頭ございません。低迷が続く都経済の活性化を考えるとき、臨海副都心は、都経済再興の拠点として、あらゆる可能性を秘めており、臨海副都心開発の成否は東京の浮沈にかかわる問題であり、一日も早く活力あふれるまちとしてつくり上げていかなければなりません。そのためには、あらゆる方法を考え、チャレンジしていく必要があると考えているからであります。議会の論議には似合わない、全く俗な言葉でいえば、臨海副都心を、にぎわいのある金のもうかるまち、都税の上がるまちにすることが、東京全体に活力をもたらすことにつながると信じているからであります。  そうした見地から、今後とも機会あるごとに、私個人としても、会派としても、臨海副都心の成長につながる提案をし続けていくことを申し上げ、次の質問に移らせていただきます。  現下の重要課題ですが、本定例会の中で会派としてはまだ触れていなかった、防災対策についてであります。  早いもので、阪神・淡路大震災から一年が過ぎました。一時は新聞記事に載らない日はないまでに連日報じられていた、被災者の様子や復興の進捗状況などのニュースも、今や影を潜めつつあります。正直なところ、ふと油断していると、たった一年前の出来事であったのに、関東大震災ほどに遠い昔のことのようにとらえている感もなきにしもあらずであります。  私だけかと思いつつ、反省しながら、周囲の方々と話をいたしますと、例えば消防団活動を熱心にしている人たちの中でも、そんな感じが生まれてきております。どうも我々日本人は、のど元過ぎれば熱さを忘れるという習性が強いようで、これは大いに自戒すべきことであります。必要以上に恐怖心を与えることはありませんが、行政としては、絶えず警告を発しておく必要があると思います。限られた時間ですので、前置きはこのぐらいにいたしまして、質問に入ります。  私どもは、災害時における医療救護体制の確立を急ぐべきであるとの認識のもとに、後方医療施設の拡充を機会あるごとに指摘してまいりました。都が現在、三十施設を東京都災害時後方医療施設として指定し、その耐震診断に取り組むとともに、今後さらに三十施設ふやし六十施設にしようとしている点は評価いたします。しかし、仮に阪神・淡路大震災のような大災害が発生したら、六十施設程度では対応し切れないことはわかり切っております。当然多くの民間の一般病院に頼ることになると思います。  そこで、災害時における東京都災害時後方医療施設の果たすべき役割、また一般病院の位置づけをどのように考えているのか、原山局長にお伺いいたします。 ◯原山衛生局長 お答えします。  災害時における医療救護活動は、基本的には、被災を免れたすべての医療機関が対応することとなっています。その中で災害時後方医療施設は、重症患者の入院治療を円滑に行うため、あらかじめ地域の中核施設として指定したものであり、医薬品や医療資器材を備蓄しております。  また、一般病院などについては、医療機能に応じて、負傷者等の治療を行う役割を担っております。 ◯望月委員 そのことを一般病院にはどのような形で周知させようとしているのか、また、具体的な働きかけはどのようにしているのか、伺います。 ◯原山衛生局長 災害時における医療機関の役割については、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、現在策定中の災害時医療救護活動マニュアルの中で、具体的な活動内容や方法を示すこととしております。  今後は、一般病院等の医師を初め医療従事者を対象とした研修などを実施して、周知徹底を図ってまいりたいと考えております。 ◯望月委員 重症患者などに対応できない病院や診療所など、後方医療施設との連携は重要な問題です。対応策をどのように講じようとしているのか、さらに伺います。 ◯原山衛生局長 災害時において、医療機関相互の連携を円滑に行うためには、情報連絡体制が確立していなければなりません。このため、都は、医師会などの協力を得て、被災地やその周辺地域における医療機関の情報を一元的に収集し、各医療機関へ迅速に提供することにより、相互の緊密な連携が図れるようにしてまいりたいと思います。 ◯望月委員 私は、災害時における医療救護活動の成果をより高めるには、それぞれの施設の設備や技量を充実させることはもちろんのことですが、何よりも関係機関の連携体制を確立しておくことが重要であると考えています。各地域ごとに医療救護のネットワークを緊急に構築すべきと考えますが、現在見直しを進めている東京都地域防災計画ではどのような検討を行っておりましょうか、お聞かせください。 ◯原山衛生局長 都は、東京都地域防災計画の見直しの中で、医療救護活動に関係する機関相互の連携を強化することとしております。具体的には、二次保健医療圏ごとに、防災関係機関を網羅した地図や連絡先リストを作成し、必要な情報連絡網の整備を図ることとしております。さらに、各地域ごとに、防災関係職員による連絡会の設置などを促進し、総合的な連携体制の整備に努めてまいります。 ◯望月委員 私は、制度の確立と同時に、かなり密度の高い実践的な訓練を積んでおかないと、いざというとき機能しないおそれがあると思うのですが、いかがでしょうか。 ◯原山衛生局長 災害時における医療救護活動の実践的な訓練につきましては、各地域ごとに、災害時後方医療施設を初め一般病院、区市町村、防災関係機関等が参加し、相互に連携のとれた訓練を実施するよう、関係機関に働きかけてまいります。 ◯望月委員 災害時の医療救護のネットワークづくりに当たっては、医師や看護婦等が在宅であった場合は、その地域の医療救護体制の中で活動できるようなシステムづくりも重要なことだと思っていますが、これについてはいかがでしょうか。 ◯原山衛生局長 ご指摘のとおり、災害により交通が遮断され、医師や看護婦などの医療スタッフが自分の勤務する病院等に出勤できない場合が予想されます。このため、医師等が最寄りの医療機関等で医療救護活動を行うことは大変有効であると考えております。しかし、医療救護のネットワークづくりに当たっては、難しい問題も多々ありますので、今後関係機関と協議するなど、検討してまいります。 ◯望月委員 東京都には、保健医療に関する総合的な基本計画として東京都保健医療計画がありますが、民間病院の役割を含め、災害時における医療救護活動についてはどうなっておりましょうか。 ◯原山衛生局長 現行の東京都保健医療計画では、災害時の医療救護活動にかかわる施策として、初動医療体制及び後方医療体制を強化することや、情報連絡体制を充実することなどを掲げております。この計画の中では、民間の一般病院の役割については必ずしも明確にされておりません。
    ◯望月委員 以上のような質疑を行ってまいりましたが、地域防災計画との整合性を図りながら、保健医療計画の中でも明確な位置づけをする必要があると考えますが、青島知事の所見を伺います。 ◯青島知事 お答えいたします。  災害時におきまして、都民の生命を守るため、迅速かつ的確な医療救護活動を行うことは大変重要なものだという認識を持っております。  東京都保健医療計画は、災害時の医療対策も含め、都における包括的な保健医療体制のあり方を示したものでございまして、今後、計画の改定に当たりましては、一般病院などの医療機関の役割や位置づけにつきまして、ご指摘の点や東京都地域防災計画の見直しなどを踏まえまして、十分に検討してまいりたいと思っております。 ◯望月委員 災害医療活動を的確に行っていくためには、医療機関の確保や医薬品の備蓄、情報連絡体制や医療関係機関の連携体制の整備などが必要であることはいうまでもありません。しかし、これらハードの整備やシステムができたとしても、災害医療に総合的に対応できる医師や看護婦を育成していくことが必要なことと考えます。このためには、医学教育等、国の施策にかかわる大きな問題でありますが、救命救急センターなどの活用を図りながら、必要な医療スタッフを多数育成し、訓練を重ねることに、ぜひ東京都も積極的に取り組んでいただくよう要望しておきます。  災害時におけるもう一つの問題は、医療救護班の派遣や、重症患者の搬送であります。特に、阪神・淡路大震災のような大災害を想定しますと、陸上ルートは非常な困難を伴うことになることは十分予測できます。また、空路についても、現状では余り期待できないのではないでしょうか。  そこで考えておかなければならないのが、水上ルートであります。東京はもともと、水の都といっていいくらいに、中小河川や運河が内陸部まで入り込んでいます。これを利用しない手はありません。緊急に調査を行い、できる限り内陸部までのルートを確保するための整備を推進することを提言し、私の都議会民社・コア東京を代表しての締めくくり総括質疑を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ◯石井副委員長 望月昭広委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯石井副委員長 樺山卓司委員の発言を許します。 ◯樺山委員 初めに、いよいよ機が熟した感がある淫行処罰規定の導入に関しまして、私からもお伺いをいたしたいと思います。  去る七日でございますけれども、東京私立中学高等学校協会が、都の青少年育成条例に、十八歳未満の少年少女とのみだらな行為を禁じる、いわゆる淫行処罰規定を設けるよう、その改正を求める請願運動を始めることを決め、現在、各学校、父母会、教師総ぐるみで活発な運動が展開をされております。  協会がこのことを決めるに当たって、各学校の教師で組織する生活指導部会というのがございます。これは大変シビアな部会で、本来ですとこういった問題には腰が引けがちな部会でございますけれども、その部会が、テレクラ等で知り合った少女と性行為をしても、現状では相手の大人を処罰することができず、子供だけが被害者となる、したがって、大人の身勝手な行為を規制しなくてはならない、生徒に好ましい環境をつくるのは我々教師の役目だと断言をいたしております。  この件につきましては、私ども東京都議会あてに、本日午後五時現在、四百六件の改正を求める請願陳情が寄せられていることはご承知のとおりでありまして、ちなみに、同一問題に関してこれほど多くの請願陳情が寄せられていることは、都議会史上かつてなかったことであります。いかにこの問題について、都民並びに多くの親や教師が危機感を抱いているか、ずしりと伝わってくるわけであります。  本定例会本会議でも、私ども会派の手塚よしお議員が知事のお考えをただしましたし、また、この予算委員会でも、先ほど、中山副委員長を初め多くの委員から知事のご見解をただしているところでございますけれども、改めて、そして重ねて、知事のご決意をお伺いをいたしたいと思います。 ◯青島知事 お答えいたします。  いわゆるテレホンクラブなど風俗産業が盛り場を中心に広がりつつありまして、青少年に極めて好ましくない影響を与えるというこの実情に関しまして、私といたしましても深く憂慮しているところでございます。  そこで先般、青少年健全育成推進本部会議を開催し、本年四月以降に発足する第二十二期青少年問題協議会に、淫行処罰規定を設けるかどうかについて諮問することを決定したところでございます。  私は、同協議会におきまして、この問題について早期かつ十分に検討していただき、その答申を受けまして、判断をしてまいりたいと考えております。 ◯樺山委員 私は、実は昨年の十一月五日でございますけれども、全国に先駆けて、青少年育成条例に、テレホンクラブ、いわゆるテレクラの規制を全会一致で決めた岐阜県議会、そして岐阜県庁を訪れて、各関係者に規制に至る経緯等について詳細にお話をお伺いする機会を得ました。時間の関係上、子細については省かせていただきますけれども、岐阜県ではことしの一月一日から、県内の公共施設から半径五百メートル以内にはテレクラの設置を禁止するという条例であります。事実上、県内のテレクラを全部追放するという厳しい内容のものであります。  また、神奈川県でも現在、同様の措置を検討中とのことでございますけれども、このテレクラとはどんなものか、事務当局のご認識をお伺いしたいと思います。 ◯小久保生活文化局長 実は昨年の末でございますけれども、私は、青少年健全育成審議会の委員の諸先生方とご一緒に、いわゆる風俗産業等を視察する機会を得まして、その際、じかに目にしたところでございますけれども、テレホンクラブというのは、会員の男性が電話のある個室に入りまして、そこにかかってきた女性と会話をするシステムで営業しているお店、店舗のことをいうというふうに理解をいたしました。 ◯樺山委員 せっかく現場に行かれたわけですから、もうちょっと突っ込みがあってしかるべきだというふうに思うわけでございますが、要するに、テレホンクラブと称する場所で待機する男性に、女性が電話をかけて、気が合えば外で会うことをお互いが約束するというシステムでありまして、業者にいわせれば、その後のことなんか知らない、ただ単に自由恋愛のきっかけをつくる場を提供しているにすぎないと開き直るわけでありますけれども、実際は、電話を媒体とした売春のあっせん機関といっても過言ではない実態であります。  しかも、電話をかける女性側の、ここが一番大事な点でございますけれども、三分の二が女子高校生だそうであります。しかも、その女子高校生の大半が、町で業者に声をかけられて、アルバイト感覚で電話かけをしているという、いわゆる業者側のやらせとでもいうべき極めて組織的で悪質なものであります。  しかも、都内では、女子中学生、高校生じゃありませんよ、女子中学生の三分の一がテレクラに電話をかけたことがある、こういうシビアなデータもあるわけでありまして、もちろん、大半はおもしろ半分にかけているんだというふうに思うわけでありますが、我々大人が認識している以上に、この問題は奥が深く、根が深い、このことをまず肝に銘ずるべきであります。  余談でございますが、私は高校二年の長女がおりますが、これが先日、下校時に、山手線の電車の中で五十年配の男に声をかけられて、車両から車両へと追っかけ回され、あげくの果てに腕をつかまれて、そして、お姉ちゃん、おじさんと一時間つき合ったら五万円あげる、こういったことをいわれて、まさにかわいそうなことに、もう泣くこともできない、声を上げることもできない、そういう恐怖のどん底に陥ったという経験をしたようであります。最後は、さすがにとっさの判断で、金切り声を上げて危機を脱したということでありますけれども、率直に、この話をうちに帰って母親から聞いて、腹が立って腹が立ってしようがない。父親としては、この男を見つけ出して、どつき回してあげたい、率直にこんなふうに思うわけであります。  世の中には、私たちが考えている以上、変なおじさんがはんらんをいたしております。そんな変なおじさんや変な大人から子供を守るのは親の義務であり、まともな大人の責任だというふうに思います。そして、それにしっかりとこたえるのが行政の役割だというふうに、当たり前の認識をさせていただいているわけであります。  淫行とかいう言葉の概念が不明確だとか、罪刑法定主義の精神にそぐわないとか、甚だしいのは、性は個人的な問題だから、法の規制対象にすべきでないとの議論は、はっきり申し上げて、現実を全く省みない単なる机上論であります。本来であれば、テレクラの規制等も条例に盛り込むべきであるというふうに私は考えているわけでありますけれども、少なくとも淫行処罰規定の導入については、もはや待ったなし、後戻りをすることは許されない、そういった緊急事態にあるということを、ぜひ知事、そして行政も、この際改めてはっきりと認識をすべきであります。  重ねて、青少年育成条例に淫行処罰規定の導入を強く求めて、次の質問に入りたいと思います。  時間が限られておりますので、早口になりますことをお許しいただきたいと思います。  高齢化社会について伺います。  都財政はかつてないほど厳しい状況にありますが、その中にあっても、都民の生活を守り、支え、そして豊かにしていくため、施策の重点化を図って、「とうきょうプラン’95」の着実な推進に努める必要があると考えるわけであります。  知事は、「とうきょうプラン’95」の中でも、高齢社会への備えを最重点課題とされているわけでありますが、高齢福祉施策も、本格的な高齢社会に相ふさわしいニーズの増大や、新たなニーズに対応していく必要があると考えます。  都も、そのような時代に合った新規事業を来年度から数多く実施するわけでありますが、その中からホームヘルプサービスについてお尋ねをいたします。  介護を必要とするようになっても、住みなれた自宅で住み続けるためには、在宅福祉施策の充実が何より必要であります。介護は二十四時間必要となるものであって、二十四時間対応できる仕組みを築くことは当たり前であって、そして重要な課題であります。来年度予算案において、ホームヘルプサービスの二十四時間巡回型を新規事業として行うわけでありますが、その概要を伺います。 ◯奥福祉局長 二十四時間巡回型ホームヘルプサービスは、身体上または精神上著しい障害があるため、常時介護を要する高齢者のいる家庭に対し、深夜帯を含め、必要な時間に必要なサービスを提供することにより、高齢者の在宅生活への援助と家族の負担の軽減を目的とするものであります。  平成八年度は、十五区市で実施することといたしております。 ◯樺山委員 今お答えにもありましたけれども、この事業は、介護に悩み疲れている方々にとって、まさに吉報、朗報でありまして、待ち望んだ施策であります。今後の計画の実現とその見込みについて、具体的にお伺いをいたしたいと思います。 ◯奥福祉局長 「とうきょうプラン’95」では、平成九年度までに二十区市での実施を計画し、さらに全区市町村における実施を目指すこととしております。  各区市町村における本事業に対する認識や、これまでの取り組み状況から見ても、平成九年度までの計画の達成は十分に可能であり、引き続き着実に拡大していくものと考えております。 ◯樺山委員 二十四時間巡回型ホームヘルプサービスを真にお年寄りに喜んでもらえるものとするためには、いわゆる経験豊かな、力量あるヘルパーが派遣されなければならないというふうに考えます。この巡回型サービスをどのようなヘルパーによって実施しようとされているのか、お伺いをいたします。 ◯奥福祉局長 二十四時間巡回型のホームヘルプサービスは、排せつ介助など身体介護を中心としたサービスを、深夜帯を含め、安定的、継続的に提供するものであります。このため、質の高い実践的な介護技術を身につけたホームヘルパーによるチーム方式によって、要介護高齢者の状態に応じた介護サービスを提供する必要があると考えております。 ◯樺山委員 重ねていいますが、大変画期的な事業でありますので、これをできる限り速やかに都内全域にPRをして、そして広げるべきと考えますが、その方策等についてお尋ねをいたします。 ◯奥福祉局長 要介護高齢者の在宅生活の継続を支援する上で重要な役割を果たす二十四時間巡回型ホームヘルプサービスが、それぞれの地域においてできる限り早期に実現するよう、実施主体である区市町村に対し、専門的助言や財政支援を積極的に行ってまいります。 ◯樺山委員 また、これからは、七十五歳以上の、いわゆる後期高齢者の増加が予想されるわけでありますけれども、痴呆症、いわゆる痴呆のお年寄りの出現率は加齢とともに高まるわけであります。したがって、介護する家族の負担が極めて大きい問題でございまして、この問題は今後ますます深刻化を増していくだろうというふうに思われているわけであります。  都は今年度、痴呆性高齢者の生活実態調査を実施していると聞いておりますけれども、その結果を今後どのように具体策として活用していくおつもりか、お伺いをいたします。 ◯奥福祉局長 近々取りまとめます痴呆性高齢者の生活実態調査の結果は、現在実施している事業の充実のために活用いたします。  また、平成八年度新たに実施する痴呆性高齢者のぬくもりサポート事業において、痴呆の予防対策や相談体制、適切なサービス提供の方法などを多角的に検討していく際の基礎資料としてまいります。 ◯樺山委員 このような介護を必要とする方々の対策を充実することにあわせて、いわゆる寝たきりにならないようにする施策の展開も今、必要となっております。ひとり暮らしや虚弱な高齢者が引きこもりがちになると、寝たきりに限りなく近づく可能性が強いわけであります。そのような方々への施策の充実をどのように図っていくのか、お伺いをしたいと思います。 ◯奥福祉局長 ひとり暮らしや虚弱な高齢者に対しては、地域の人々が中心となって、日常生活を見守ることに加え、ボランティアが行う食事サービスなども組み入れた、見守りのネットワークを構築することが必要であると考えております。このため、ひとり暮らし等の高齢者を地域で支援する仕組みを平成八年度から具体的に検討してまいります。 ◯樺山委員 ただいまいろいろお答えいただきましたが、福祉事業の各般にわたる新規事業は、時代のニーズに即応したものとして大変評価するものでありますけれども、一方、既存の施策を見直していくこともまた重要であります。  今回提案された敬老金の廃止は、さまざまな議論がなされたところでありますけれども、敬老金を廃止して、今後の施策をどのように構築していくのか、その基本的な考え方について、改めて知事にお伺いをしたいと思います。 ◯青島知事 お答えいたします。  本格的な高齢社会を迎えまして、高齢者福祉サービスの仕組みを、必要とするだれもが、それぞれの状況に応じてサービスを受けられるように変えていくことが求められております。このため、平均寿命の延びや年金制度の充実など、社会状況の変化に対応して、すべての高齢者のための施策の一層の充実を図るとともに、敬老金支給事業を見直すこととしたものでございます。  今後、区市町村や関係者とも十分協議をいたしまして、限られた財源を有効に活用しまして、すべての高齢者にきめ細かく配慮されたサービスが、体系的かつ総合的に提供される安心のネットワークを構築するよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◯樺山委員 最後に、少子化対策に関連して、今回新規事業としてゼロ歳児保育推進保母の配置と延長保育促進特別事業を実施することにしているわけでありますけれども、この二つの事業の趣旨と内容について、簡単にお伺いしたいと思います。 ◯奥福祉局長 ゼロ歳児保育を推進するための保母の増配置についてですが、現在待機しているゼロ歳児は増加傾向にあり、ゼロ歳児保育の拡大が重要な課題となっております。このため、新たにゼロ歳児保育を実施する民間保育所には、初年度に保母一人を増配置し、ゼロ歳児保育に取り組みやすい条件を整備することといたしました。  次に、延長保育を促進するための特別事業についてですが、これまでは対象児童六人以上を補助要件としておりましたが、この要件を緩和し、対象児童が三人程度以上いる場合でも、初年度に限り運営費を補助することといたしました。  今後とも、実施主体である区市町村と協議しながら、ゼロ歳児保育や延長保育の拡大に努めてまいります。 ◯樺山委員 ありがとうございました。(拍手) ◯石井副委員長 樺山卓司委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯石井副委員長 大河原雅子委員の発言を許します。    〔石井副委員長退席、委員長着席〕 ◯大河原委員 まず、私は最初に、ごみ減量対策について伺います。  昨年、容器包装リサイクル法が成立いたしました。この法律は、容器包装廃棄物について、消費者、市町村、事業者がそれぞれの責任を分担することを基本としまして、資源循環型の新しい社会システムの構築に向けた第一歩として評価をいたします。  しかし一方、リサイクルに逆行しかねない内容や、市町村共通の課題もあると思います。どのような課題があるか、お話しください。 ◯喜多沢清掃局長 容器包装リサイクル法施行に向けての課題といたしましては、事業者のみずからの責任による回収の促進について十分な措置がとられていないことや、事業者に引き渡す条件が自治体にとって厳しいなど、事業者に比べまして、行政に大きな役割と負担が課せられているところにあると考えております。 ◯大河原委員 ただいまのご答弁のように、自治体の問題、そして事業者の問題があるわけですが、まず、自治体の問題から伺います。  容器包装新法では、区部の分別収集計画については、清掃事業者、すなわち都が策定することになります。しかし、リサイクル推進計画を都と区でつくったこと、そして将来の清掃事業の移管ということを考えますと、分別収集計画については、各区の実態を踏まえつつ、各区の分別、資源化が促進するように策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◯喜多沢清掃局長 都は、平成八年度に、東京都区部について市町村分別収集計画を策定することといたしております。この計画策定に当たりましては、ご指摘の趣旨も踏まえ、特別区と十分調整を図ってまいります。 ◯大河原委員 私も特別区に住んでおりますが、特別区のリサイクルへの取り組み状況というのは、区によって相当の開きがある、違いが見られております。そこで、最低条件として、市民のだれもが参加できるシステムづくりが必要と考えておりますけれども、この点についてお答えください。 ◯喜多沢清掃局長 現在、各区では、それぞれの地域実情に応じた方法で、創意工夫しながら資源回収の拡充に努めております。  都としましては、これまでの区の取り組みを生かし、さらに容器包装リサイクル法を活用して、区と連携を図るとともに、住民の協力を得ながら、区部におけるリサイクルの水準を総体として高めるようなシステムづくりに努めてまいります。 ◯大河原委員 区部の分別、資源化を支援していくという意味で、清掃局はどのような支援策を考えておられますでしょうか。 ◯喜多沢清掃局長 区のリサイクル推進を具体化するため、都と区とで、平成六年十月に第二次リサイクル推進計画を策定いたしました。  この計画に基づき、都は、区の取り組みを積極的に支援することとし、都、区、資源回収業者間の協議の場の設定、区の資源回収推進のための都有地の提供などを行っております。  今後も、区のリサイクル事業を推進していくために、積極的に支援してまいる所存でございます。 ◯大河原委員 ぜひともストックヤードの確保など、区への支援をお願いいたします。  次に、新法施行により危惧される事業者回収について伺います。  今回の新法では、例えば小売段階の販売店などには再商品化が義務づけられておりません。東京が大消費地であり、大量生産、大量販売、大量消費が、大量廃棄につながるということを考えますと、販売事業者が一定の役割を担う仕組みをつくること、この整備が必要だと考えております。  そこで、事業者の自己回収ルートの確立のためには、店頭回収や自動販売機対策を、清掃条例の改正を行って義務づける必要があると考えております。どのようにお考えでしょうか。 ◯喜多沢清掃局長 一昨年十二月の清掃審議会答申で、多量の飲料品等を扱う一定面積以上の販売店及び自動販売機に、回収施設の設置を義務づけ、事業者みずからの店頭回収、再利用・資源化を推進すべきであるとの提言がなされました。  都としましても、ごみの中で大きな割合を占める飲料容器等を製造、販売する事業者の責任の徹底を図り、ごみの減量、リサイクルを推進する上で、事業者による積極的な自己回収が必要であると考えております。  昨年十二月に設置した懇談会を中心に、都民や事業者の意見を聞きながら、今後、ご指摘の点も踏まえ、事業者による自己回収促進の具体的な方策について検討を進めてまいります。 ◯大河原委員 ぜひとも条例改正に向けた大胆な決断をお願いいたします。  さて、これまで、ごみ減量対策の議論の中でも、東京都にとってはリターナブル瓶というのを基本とするということが明らかにされてきております。都内の中には、リターナブル瓶の規格の統一化を進めるという動きもありますが、新法ではこうしたシステムはどのように位置づけられているのでしょうか。また、都として、この支援策とはどのようなことをお考えになっておられるでしょうか。 ◯喜多沢清掃局長 新法では、事業者がみずからリターナブル瓶などを省令で定める回収率を超えて回収する場合には、主務大臣の認定を受け、再商品化義務が免除されます。  都としましては、ごみの発生を抑制し、リサイクルを推進していく上で、再利用可能な製品、リターナブル品の普及が基本であると認識しております。この認識のもと、平成六年十一月から、リターナブル瓶の普及拡大をテーマに関係団体と検討を行っております。  今後、事業者によるリターナブル瓶の効率的な回収システムづくりや、行政支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。 ◯大河原委員 二年前から、東京ごみ会議の統一行動として、マイバッグキャンペーン、いわゆる買い物袋持参運動を展開しております。聞くところによりますと、都庁の中でも毎日一千五百食に上るお弁当の販売にレジ袋が用いられているということを聞いております。都庁内では率先してこのレジ袋の抑制に取り組むべきではないかと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。 ◯渡辺総務局長 都庁内におきますマイバッグキャンペーンの取り組みについてでございますが、職員食堂、職員売店、ただいまお話の弁当販売等の事業を担当しております財団法人東京都福利厚生事業団というのがございますが、レジ袋の削減を目的といたしまして、平成八年度から、耐久性のある買い物袋を庁舎内の各職場に配布いたしまして、職員が庁舎内で買い物をする際、この買い物袋の利用を徹底させることといたしております。  なお、この旨、関係業者にも周知し、協力を得て、レジ袋の削減に努めてまいります。 ◯大河原委員 既に町ではレジ袋の有料化に踏み切っているところもあります。ぜひ今後の積極的な取り組みを期待いたします。  ごみ減量のためには、まず第一に、発生抑制を強化することが重要になってまいります。そのためには、製品を製造、販売する事業者が応分の責任を果たさなければならないと考えます。  都は、事業者に積極的に働きかけ、発生抑制を促進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯青島知事 お答えいたします。  東京のごみ問題の解決のためには、生産、流通、消費のすべての段階でのごみ発生抑制を基本に置きまして、都民、事業者、行政が一体となりまして、役割と責任を適切に果たすことが必要だと考えております。  都はこれまでも、事業者に対しまして、再利用の容易な製品開発等を促すため、事業者による自己評価ガイドライン案を策定するとともに、リターナブル瓶の普及拡大を目指した関係者との協議、あるいは廃家電品の回収支援システムの構築などを行ってまいりまして、今後とも、国や他の自治体との連携を図りながら、事業者責任を徹底し、ごみの発生抑制に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
    ◯大河原委員 次に、環境行政について伺います。  国の温暖化防止計画の達成は困難という見通しが既に出されております。昨年の五月に策定されました、東京都の地球温暖化防止対策地域推進計画が着実に推進されることにより、初めて計画の目標が達成されるわけですが、この計画をどのように推進し、効果を把握されようとしているのか、伺います。 ◯中島環境保全局長 お答えいたします。  この計画事業のうち、地域冷暖房の普及、公共輸送機関の整備、資源の有効利用等の、いわゆる社会基盤事業を着実に推進するとともに、事業者の行動を支援するために、工場、事業所に対する指導助言体制について、一層の充実を図ってまいりたいと考えております。  また、できるだけ早期に、計画の初年度でございます平成七年度における東京地域の二酸化炭素の排出量の算定を行いまして、その後定期的に排出量の算定を行った上で、必要に応じて計画の見直しも行っていきたい、このように考えております。 ◯大河原委員 再び知事に伺いたいんですが、エネルギーの大量消費者である都がみずから率先して行わなければならない、実行に移さなければならないということもあると思いますが、ご見解はいかがでしょうか。 ◯青島知事 お答えいたします。  地球温暖化問題について東京地域がその役割を果たしていくためには、都民、事業者の主体的取り組みが必要でありまして、これを促すためにも、東京都がみずから消費者として率先実行することが必要でございます。  このため、地球温暖化防止対策地域推進計画で示しました都の率先実行事業を推進することはもとよりのことで、今後策定いたしますエコアップ計画とも相まって、全庁を挙げまして、地球温暖化防止に向けて取り組みの強化を進めてまいりたいと考えております。 ◯大河原委員 未利用のエネルギーの活用というのも大変大きな効果を上げると思いますけれども、この計画の太陽光発電装置の実証実験などについては現在どのような状況にあるのでしょうか。さらに、新たなソフトエネルギーの開発も進めるべきと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。 ◯中島環境保全局長 太陽光発電装置につきましては、昨年四月から本格運転に入っておりまして、一時間当たり最高七十キロワットの発電能力がございます。今までに合計五万七千キロワット時の発電が行われております。  また、現在、燃料電池についても実証試験を行っているところでございまして、さらに今後は風力発電等についても、その導入について検討していきたいと、このように考えております。 ◯大河原委員 こうした環境への取り組みというのは、どうしても経済活動との関連で壁にぶつかることがあります。これをどう関連づけていくかは大きな課題なんですが、例えば東京のヒートアイランド現象、現在どのような状態になっていますか、どの程度でしょうか。そして、その現象のもたらす経済的影響というのはどのような状態でしょう、お答えください。 ◯中島環境保全局長 お答えします。  東京の気温の経年変化を見ますと、過去百年間で最低気温が四度以上上昇しておりまして、また、地域的な気温分布を見ますと、夏、冬ともに都心部を中心に同心円状となりまして、ヒートアイランド現象をあらわしております。  このようなヒートアイランド現象の出現は、熱帯夜の増加傾向などにも影響を与えておりまして、このことが夏季の冷房のためのエネルギー需要を高め、その結果、廃熱の増加による都市の気温の上昇や環境への負荷の増加という悪循環を引き起こすと考えております。  また、環境への影響を経済的に評価していく必要性は、国連等でも明らかにされているところでございますけれども、現在の時点では検討が進められているという段階でございまして、影響を算出することは大変難しいと、このように考えております。 ◯大河原委員 大変技術的にクリアしなければならない点というのはあると思うんです。しかし、経済企画庁が昨年発表した環境経済統合勘定、この試算は、国内純生産から開発が影響に及ぼす損失など、この影響を経済的に換算し、これを差し引いてEDP、いわゆるグリーンGDPと呼ばれるものですけれども、これを換算することによって、持続可能な開発のための新しい指標をつくり出すものと考えています。  私は、こうした考え方は環境アセスメントにこそ取り入れられるべきではないかというふうに思っております。現在都が検討しておられます新たな環境配慮制度のあり方の考え方、これは社会的、経済的影響と環境への影響を総合的に検討し、バランスをとることであると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。 ◯中島環境保全局長 昨年十一月に東京都総合環境アセスメント制度検討委員会から報告がございました中間のまとめによりますと、新たな環境配慮制度においては、ご指摘のような、対象行為のもたらす社会的、経済的影響と環境影響とのバランスを十分に考慮することにより、持続的な発展に向けた社会的な合意の形成に配慮する必要があると、このようにされております。 ◯大河原委員 既に、環境行政を推進していくためには、このような環境と経済を統合してチェックしていくことが問われているというふうに思います。  東京都で、この経済企画庁の試算の考え方も参考として、環境経済統合勘定の手法の開発に取り組む必要があるというふうに思いますけれども、この点についてもう一度お答えください。 ◯中島環境保全局長 ご指摘のように、持続可能な社会を実現していく上で、環境と経済との相互関係を示します環境経済勘定システム、これらの手法を開発していくということは必要であるということは十分認識しているところでございます。したがいまして、今後、都としても、調査研究の重要課題の一つとして検討を進めていきたいと考えております。 ◯大河原委員 次に、臨海部問題について伺いますが、今回、臨海懇談会では、都民参加の都政に新たな展望を開いたというふうに私は思っております。知事もさきの本会議で、今後可能な限り多様な検討案を示すと答弁されました。  懇談会で委員が代替案を作成するケースが出てきた場合、事務局の支援や情報提供を求めてくること、これも考えられます。この場合、事務局の支援体制はどのようになっているでしょうか。  意見を聞きっ放しでなく、都民から寄せられた案に対しては、それに対する都の評価を添えて、まとめて公表すべきだと考えます。お答えください。 ◯佐々木企画審議室長 お答えいたします。  懇談会委員の調査検討を補佐するために、事務局としては、これまで資料提出や情報提供など、最大限の努力をしてきたところでございます。今後とも四月末の最終報告に向けて最大限の協力を行ってまいります。  なお、懇談会の報告や都議会での議論を踏まえて、都としての見直し方針を決定していく予定ですが、方針決定を行った上は、今後の臨海副都心開発の考え方や内容についてわかりやすい形で公表し、都民の理解を得ていきたいというふうに考えております。 ◯大河原委員 先日の懇談会では、港湾局が計算、試算をされまして、一般会計による今後の事業費、全部で一兆七千八百億円が必要であり、そのうちには一般会計で七千億円がさらに要るというふうにお答えになっています。しかし、これは基盤整備の費用であって、今後、有明の丘の売却、公共用地の売却、住宅用地の売却、また、国際展示場の時価貸付の変更によりましての増収があると思います。これは合わせて幾らになりますでしょうか。  そして、この中では土地の──私は、これから七千億円要るとおっしゃっているんですけれども、この有明の丘の売却、そして国際展示場の時価貸付の変更、これらを考えますと、四千億円さらに税金をつぎ込むことになるというふうに考えました。そして、これでは一兆一千億円以上の税金がこの臨海会計は要ることになっております。  今回、懇談会の中で検討されている都民の方々の声、これは実際に今まで借金を重ねてきた七千五百億、そして今後とも要るであろう一兆一千億以上の税金、これをどのような形で都民が負担をしていくのか、それについてはどのような形で都民が自由に使える臨海部となるのか、その検討が必要だというふうに議論ができております。ちょっと時間が足りなくなってしまいましたが、このようにさまざまな、一見行政の流れや考えと関係ないような試算も、私は都民に公表されるべきだというふうに思います。  時間がなくなりましたので、終わりにさせていただきますが、ぜひ知事は、都市博を中止されたことを、この裏にこれからの臨海部をしっかりと抜本的に見直すことという、その支持で、みんなの支持、都民の支持があるということをお忘れにならないでいただきたいというふうに思います。  質問を終わらせていただきます。(拍手) ◯花川委員長 大河原雅子委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯花川委員長 青木なち子委員の発言を許します。 ◯青木委員 締めくくり総括質疑の締めくくりに当たりまして、本委員会同僚議員の真摯な論議に敬意を表するとともに、理事者の皆様には、最後まで同僚議員に接しましたような誠意を持ってのご答弁をお願いをしたいと思います。  まず最初に、敬老金廃止にかかわって、今、市町村との協議が行われているというふうに伺いました。  市町村は、そういう意味では広く浅いという施策よりも、地域高齢者福祉の推進にかかわる独自のさまざまな活動をしていきたいというふうに苦慮していますが、独自財源ということについては、なかなかこれに当たるものがないという中で、ぜひこの際、東京都が、高齢者の福祉施策の展開を独創的に各地域で行われるような支援の取り組みを創設すべきと考えますが、所見を伺います。 ◯奥福祉局長 地域の福祉ニーズにこたえたきめ細かなサービスを提供するためには、事業の実施主体である市町村が、みずからの創意により、地域の実態に即した高齢者福祉施策を展開していくことが重要であると考えております。  こうした観点から、市町村独自の取り組みに対する新たな支援方法について、ご提案の趣旨を踏まえ、今後、市町村と十分に協議してまいります。 ◯青木委員 ぜひ市町村福祉の独自財源ともいえる施策に期待をしたいと思います。早急に協議を進めていただくようお願いいたします。  次に、臨海副都心開発について伺います。  都議会も含め、都は開発主体になって、右上がりの地価を信じて臨海開発を論議をしてまいりました。しかし、バブルに乗ってこのような開発手法を進めてきた結果、事業の採算性や第三セクターの経営の実態からも、都政への財政的影響を憂慮すべき事態を迎えております。大きな反省を議会も行政も、ともに持つべきと考えますが、見解を伺います。 ◯渡辺総務局長 臨海副都心開発に関連いたします第三セクターの統合等につきましては、経営基盤の強化や業務運営の効率化の観点から、団体や事業の再編も含めまして、今後の団体のあり方を検討する必要がございます。行政改革大綱において、都としての方針を明らかにしてまいります。 ◯青木委員 この臨海副都心の開発について、このような開発手法を進めたことに反省を持つべきだということについて、知事の見解を伺います。 ◯青島知事 お答えいたします。  臨海副都心開発は、基本計画の策定から約八年を経過しております。この間、いわゆるバブル経済の崩壊など社会経済状況の変化には大変に激しいものがございました。このため、臨海副都心開発懇談会におきまして、開発目標を踏まえつつ総合的な見直しを行うため、種々検討がなされているところでございます。  施政方針でも述べましたように、昨年十二月の懇談会中間報告には、反省すべき問題点を率直に認識し、それを今後の開発に建設的に生かすことの大切さが指摘されております。私は、これを謙虚に受けとめたいと考えております。  今後は、都議会でのご意見や懇談会の最終報告などを総合的に判断いたしまして、都としての方針を決定し、引き続き開発を着実に進めてまいりたいと考えております。 ◯青木委員 反省の上に立つ新たな臨海のあり方は、今後とも、ともに論議をしていきたいと考えます。  次に、事業系のごみの有料化に伴っての持ち込みごみの減量の問題について伺います。  これから事業系の持ち込みごみは清掃工場等の中間処理施設に入ることになりますが、持ち込みごみは、ほかのごみと比べると、ほとんど減量されていない実態であります。このような収集運搬業者に対する減量指導、搬入の際のごみ質チェックなどを強化すべきと考えますが、具体的施策を伺います。 ◯喜多沢清掃局長 都の施設への事業系ごみの受け入れに際しましては、従前から、危険物等の持ち帰り指導やマニフェスト伝票と積み荷の照合、リサイクル可能物の資源化への協力要請等を行ってきたところでございます。  今後、受け入れ施設でのごみ質の点検や監視用ビデオの活用等による適正搬入をさらに徹底し、違反者に対しては、口頭による注意、または文書による警告、さらには受け入れ拒否を行うなど、事業系ごみの分別の徹底と減量に一層努めてまいります。 ◯青木委員 次に、広域に処分をされております産業廃棄物対策について伺います。  広域の都県境を越えて処理処分されている産業廃棄物については、他県との資料交換を含めた実態把握や業者指導の協力が不可欠です。産業廃棄物を減量化し、適正処理をさせるための所見を伺いたいと思います。 ◯喜多沢清掃局長 都においては、産業廃棄物の処理が広域的に行われている実態を踏まえ、事業者の指導や情報交換を含めて、近隣自治体と緊密な連携、協力を図り、産業廃棄物の減量に努めております。  また、産業廃棄物の減量、資源化を一層促進するために、去る二月に策定しました第五次東京都産業廃棄物処理計画に基づきまして、平成八年度に専門委員会を設置し、都県境を越えて産業廃棄物を把握する方法の確立や、広域処理の実態に見合った廃棄物管理体制などにつきまして検討を進めてまいります。 ◯青木委員 ここで、都外で不法投棄などの問題を起こした許可業者に対しての対応を伺いたいと思います。  東京都の許可業者が都外においてこのような不法投棄等の問題を起こした場合、許可の見直しを含めて厳しい指導を行うことが必要です。  また、都内の許可業者がどのような産廃を扱っているのかを含め、これに関する資料を整理して、請求があれば資料提供を行えるような体制をとるべきと考えますが、具体的施策を伺います。 ◯喜多沢清掃局長 都外で問題を起こした許可業者に対しては、従来から、関係自治体と連携を密にし、行政処分を含めた指導などにより、産業廃棄物の適正処理の確保に努めてきております。  また、現在、都内の許可業者については、毎年一回名簿を作成して公表しておりますが、今後、都内外の許可業者に関する情報のデータベース化を推進するとともに、産業廃棄物に対する理解を深めていただくため、得られた情報を解析し、都民にわかりやすく提供してまいります。 ◯青木委員 次に、同じごみの問題ですが、谷戸沢の処分場をめぐる事態の問題について伺いたいと思います。  加藤まさ子議員の一般質問への答弁で、知事は、昨年十二月、三多摩広域処分組合に住民との協議等について行うよう要請文を出されたと明らかにしました。現状の組合の対応をごらんになっていて、要請が受けとめられていると認識しているのか、お答えいただきたいと思います。  また、処分組合は、この要請文をどこで図ったのか。組合議会では議論されなかったようですが、どのように承知していらっしゃるのか、伺います。  また、組合には都の職員が派遣されておりますが、都の責任は全くないのでしょうか。  今までの組合の対応というものは、ごみ問題に地域で取り組み、リサイクルの先頭に立っている市民団体や市議会議員でさえ、谷戸沢処分場の安全性に疑問を持っていると知ると、内部の視察や情報の提供を拒んできたという経過がございます。この実情をご存じだったでしょうか。  今、組合と市民団体は深刻な対立が、不測の事態を招きかねない状況を起こしております。これを放置せず、経過の把握や調停に立つような立場にぜひ知事に立っていただきたいと思いますが、知事の姿勢を伺いたいと思います。  また、厚生大臣からの要請についても、この一助として検討していただきたいと思いますが、ご見解をいただきたいと思います。  まとめてご質問申し上げましたので、それぞれお立ちになってご答弁いただきたいと思います。 ◯西念財務局長 昨年十二月に土地収用法に基づく事業認定を告示した際、広域処分組合に対しまして行った要請について、組合は、関係方面と協議して前向きに検討する旨、表明しております。現在も要請の趣旨は生かされているものと、このように考えております。 ◯渡辺総務局長 ただいま財務局長が申し上げました知事の要請文のことでございますが、広域処分組合管理者がみずから受け取りまして、その後、三人の副管理者にその旨の連絡がなされたと聞いております。  次に、処分組合に職員を派遣している都といたしましても、処分組合の運営に対して責任があるのではないかという点でございますが、都職員の派遣につきましては、広域処分組合の求めに応じまして、地方自治法二百五十二条の十七に基づき行っているものでございます。  派遣職員は、広域処分組合の職員として、組合の管理者の職務上の命令に従い、職務を遂行することとなっております。  次に、組合が視察や情報の提供を拒んできたとのことでございますが、谷戸沢処分場の視察につきましては、先着順で申し込みを受け付けており、日にちや時間が重複しない限りはお断りしたことはなく、パンフレット等による情報の提供についてはでき得る限りの対応をしており、また、データ等については、広域処分場の地元自治体及び自治会との合意を得て公開したと報告を受けております。 ◯青島知事 お答えいたします。  谷戸沢及び二ツ塚の両処分場をめぐる問題は、地方自治法上の地方公共団体である広域処分組合が、みずからの権限と責任において対応すべきものでございまして、基本的に広域処分組合の判断を尊重したいと考えているところでございます。  なお、昨年十二月、広域処分組合に対しまして、これまで単に観測してきた電気伝導度のデータを、今後、何らかの方法で記録し、公表するように期待していますと伝えましたところ、広域処分組合は現在、記録計の設置工事を行っていると聞いております。  私は、二ツ塚処分場の建設が、環境に配慮して適切に行われるとともに、管理運営に当たりまして、不測の事態が生じないよう要請したところでございまして、今後とも広域処分組合の対応を注意深く見守ってまいりたいと考えております。 ◯青木委員 この谷戸沢の処分場ができるとき、私は市議会議員でございまして、緑なす木々が切り倒され、本当にサワガニの遊ぶ沢が埋め尽くされるという中で、これだけ貴重な自然をいただいたのだから、何とかこの処分場をいいものにということで、そういう意味では、そのときは最新の技術で万全のものをつくったという、そのような気持ちをすべての広域処分にかかわった者は感じたと思います。  しかしながら、各市においての最終処分のあり方については、その後いろいろ問題が出てきていることがわかり、しかも、合理的にこのような疑いを持つことが当たり前だというような事態というのは、各地の最終処分地であるわけでございまして、しかも日進月歩の科学技術の中で、処理処分のあり方についてよりよいものを求めていくということは、今、本当に必要であります。  ところが、この対立をしておりますという処分組合についても、市民団体についても、各地域でリサイクルの先頭に立って、そしてこの減量の最先頭で頑張っていらっしゃった方たちが、今、行政に対しての不信感を持ち始めているわけです。これがこのままの対立になりますと、今後、本当に清掃事業というものが、減量にしても、安全な処理処分にしても、環境行政についても、決して住民の協力を得られないという事態になったらば、これこそ私は痛恨のきわみだというふうに思うわけです。  ぜひとも知事の調停という立場になってのかかわりを切に要望しまして、次の問題に移ります。  コスモ信用組合の問題でございます。  質問の時間が短いので、まず最初に伺います。平成七年九月二十九日に可決をしました付帯決議、これには信用組合にかかわる補正予算について、具体的に「今回の都の財政負担については、国と地方公共団体の役割分担が明らかになった時点で、適切な負担となるよう見直しを行うこと。」と、このようにあります。これは見直しを行うようにということですが、東京都はこの付帯決議に沿った見直しを行うおつもりがあるかないか、イエスかノーかでお答えください。 ◯高村労働経済局長 第三回定例会でご議決をいただいた際に、そのような付帯決議をちょうだいをいたしておるところでございます。  これについては、私どもといたしましては、現在、国において、いわゆる関連三法案といわれるものが準備されておるということは承知をいたしておりますけれども、その内容については現在、私どもも承知しないところでございます。  ただ、付帯決議の内容から見て、そのような事態になれば、その時点で改めて考えるということになろうかと存じます。 ◯青木委員 つまりこの付帯決議どおりになれば、今、金融制度調査会は、この破綻の処理についての一義的な責務は国にある、東京都を含め都道府県行政についてはその負担を期待するというだけでございます。  そういう意味では私は、今こそ見直しの時期だろうというふうに思います。この見直しを当然行うということを東京都は進めていただきたいと思います。  次に、日本版RTCといいながら、実際は金融犯罪について全く実体のない法案の整備が行われようとしているということに私は大変がっかりしているわけですが、私がまず最初に聞きたいのは、東京都の答弁を聞いても、二度とこのような支出をしたくないという気持ちや、破綻を招いた経営陣への怒りが全く伝わってきません。  モラルハザードということが何遍もいわれておりますが、これについて強力な法整備を国に強く求めるべきと考えますが、この見解を伺いたいと思います。  また、東京都の指導監督、容認という内容が、結果として不良債権を膨らませたと考えますが、この見解を伺います。  あわせまして、私は、この泰道氏を告訴しないという決定、背任はなかったという理事会の決定は、起訴や裁判上大きな影響を与えると考えますが、東京都の見解を伺います。  外国でも、告発、告訴がおくれれば、それだけ資産隠しが進むんだということで、消費者団体はあの迅速なアメリカのやり方についても大きな批判を行っているということをつけ加えて、ご答弁をいただきたいと思います。 ◯高村労働経済局長 何点かのご質問にあわせてお答えいたします。  まず、経済犯罪に関する法整備についてでございますが、お話の金融機関にかかわる経済犯罪の法整備につきましては、私も必要があると考えておりますが、現在、国政レベルにおきまして、法案を提出する準備がなされていると、こう聞いておりますので、こうした動向を注視してまいりたいと存じます。
     次に、業務停止以降の追加融資等の件でございます。  旧二信用組合に続きコスモ信用組合が経営破綻に陥ったことは、これまで都において実効性ある指導監督をなし得なかったことがその要因の一つであると、深く反省をしているところであります。今後、信用組合の指導監督に当たっては、検査指導体制の充実に努めるなど万全を期してまいります。  次に、告発に関する問題でありますけれども、都はコスモ信用組合の前理事長を告発し、既に捜査当局による強制捜査が行われておるところでございます。これ以降は司法当局によりまして、法的に厳格な判断が下されるものであり、理事会の今回の決定が影響することはないと考えております。 ◯青木委員 終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ◯花川委員長 青木なち子委員の発言は終わりました。 ◯花川委員長 以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。  お諮りいたします。  第一号議案から第三十一号議案までに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯花川委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後九時十分散会    予算特別委員会速記録中 正 誤 号  ページ  段  行        誤          正 二   三   一  末八   一兆六百十一億円   一千六百十一億円 二   四   四  一一   工区別状況      工区工事別状況 二   五   二  一五   東京港湾協会     東京港港湾協会 二   六   三  末四   現下計算式      原価計算式 二   三二  一  末九   鄭香均さん      鄭香均さん 二   四四  四  末一   どうやるということは どうやるということだけは 三   二五  四  末一三  人口透析       人工透析 三   二八  二  末一五  八〇%の稼動     八〇%の稼働 三   三五  四  末一五  (拍手)       削除 訂 正 号  ページ  段  行    発言字句       訂正字句 二   七   二  二五   都民に還元すること、 都民に還元するため、 二   一六  一  末一一  就労対策の充実    就業対策の充実 二   四三  二  九    在宅福祉施設     在宅福祉施策 二   五一  四  一二   標準化を見直す等   標準化に努める等...